兵庫強盗致傷事件の被告 留置場で自殺
以前から気になっていたのが拘置所や警察の留置場での自殺です。せっかく逮捕した容疑者、被告が裁判で判決を受けることなく自殺してしまい、事件としては被疑者、被告死亡という形で控訴を棄却し決着せざるを得ない状況になってしまいます
深夜の巡回勤務を経験されたことのない方がほとんどでしょうから、自分の経験を交えて少し書きます
兵庫県内で強盗事件を起こしたとして逮捕、起訴されていた吉岡隼人被告(32歳)は、余罪の調べがあったのか拘置所ではなく、兵庫県警兵庫署の留置場に勾留されていました。兵庫署では自殺の可能性ありとしてより監視を密にする「特異被留置者」に指定していましたが、真夜中に留置場内のトイレで衣服をひっかけ縊首自殺したようです。取り調べを受ける中で、「死んでやる」とか口走っていたのでしょう
吉岡被告逮捕の報道と、自殺の報道の記事2本を貼ります
神戸市兵庫区の宝飾店に押し入り、店員をハンマーで殴って重傷を負わせたとして、強盗殺人未遂容疑などで兵庫県警に逮捕された無職吉岡隼人容疑者(32)=加古川市=が、この事件の4日前に姫路市の質店で発生した強盗事件で奪われた貴金属類を別の質店に売り払っていたとみられることが10日、捜査関係者への取材で分かった。
県警捜査1課などは、吉岡容疑者が姫路の強盗にも関わった可能性が高いとみて詳しく調べる。
姫路市の事件は3日夕、同市野里寺町の質店に男1人がハンマー様の凶器を持って押し入り、貴金属類を奪って逃走した。
捜査関係者によると、この時盗まれた物が別の質店に売却されていたことが判明した。売却時に吉岡容疑者の身分証が提示されていたことが分かり、防犯カメラにはよく似た人物が写っていたという。
吉岡容疑者の逮捕容疑は7日夕、神戸市兵庫区上沢通8の宝飾店で、男性従業員(50)の顔をハンマーで複数回殴って重傷を負わせた上、ネックレスなどの貴金属類を盗んだ疑い。容疑を否認している。県警は10日、強盗殺人未遂容疑などで送検した。
(神戸新聞の記事から引用)
6日午前0時半ごろ、兵庫県警兵庫署内の留置施設で、強盗致傷などの罪で起訴され勾留中だった男性被告が衣類を首に巻き付け、意識不明の状態で見つかった。病院に搬送されたが約1時間40分後に死亡した。同署は自殺を図ったとみて詳しい状況を調べる。
捜査関係者によると、2月に神戸市兵庫区の宝飾店に押し入って男性従業員にハンマーで重傷を負わせた上、貴金属類を奪ったとして強盗致傷罪などで起訴された住所不定、無職の男性被告(33)。姫路市の質店での強盗罪などでも起訴されていた。
同署によると、個室になっている留置施設内のトイレの上部に衣服を引っかけ、首をつった状態だった。署は被告を「特異被留置者」に指定して見回りの頻度を増やすなどしていたというが、詳しい頻度や時間帯などは「調査中」としている。西藤勉副署長は「今後このような事案が起こらないように努める」とコメントした。
被告は死亡したことにより公訴棄却となる見通し。
(神戸新聞の記事から引用)
こうした自殺があると、ニュースサイトのコメント欄には「監視カメラをつけておけ」とか「監視カメラ付きの監房に収容しておきべき」とのコメントが並びます。が、夜間の留置場(小規模施設)では起きて勤務している署員は1人しかいないのであり、監視カメラの画像をチェックする者はいません。深夜勤を2人勤務体制にすると(1人が巡回をし、1人が監視カメラの画像をチェック)、翌日は非番者を2人出さなければならず、留置場勤務者そのものを増員しなければなりません
警察署は緊急事態に備えて当直勤務をする警察官がいますが、これはあくまで外部の緊急事態に備えたものであって、留置場の監視業務までは担当しません
自分の経験だけが正しいというわけではありませんが、自殺要注意の指定を受けた者がいるときは頻繁に巡回していました。それこそ待機場所に戻って椅子に座る間もないくらい、監視のため歩き続けます。翌日は非番で休めるだろうと、それだけを楽しみに足が棒になるくらい巡回していました。もちろん、その間にも事務処理の仕事があるので、歩きながら書類に記載する内容を考え、待機場所に戻ったら手早く記入し、また巡回しながら考えるわけです。若くて体力があったからできたのでしょう。特に被収容者が寝付くまでの1時間から2時間、そして起床させる前の早朝の時間帯に自殺が起こるため、気持ちを張り詰めていたものです
自分が勤務している時に自殺されたり、逃走されるのは嫌だとの思いだったのですが、おかげさまで法務省の矯正施設に勤務していた間は自殺も逃走もされませんでした(危ない目にあった経験はいくらでもありますが、それはまた別の話です)
さて、話を吉岡容疑者に戻します。いわゆる闇バイト事件とは別件のようで、犯行はいずれも単独です。自分で下見し、犯行を計画したと推測され、警察は複数件の余罪があったと睨んで取り調べを続けていた途中でした。盗品を自ら売却し換金しようとしたため、買い取り時に身分証明書を出して足がつき逮捕に至っています
神戸市内の宝飾店では従業員がハンマーで殴打され、全治2カ月の重傷を負っています。頭部の怪我ですから2カ月で完治するとは限らず、さまざまな後遺症に悩まされる可能性があります
しかし、犯人が自殺してしまったのですから損賠賠償の請求もできません
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