神戸弘陵高生徒殺し 懲役18年判決

2010年10月、神戸弘陵高校の男子生徒を路上で刺殺した泉龍都被告は、当時17歳でした。それから10年あまり逃げていたのですが逮捕され、現在30歳になっています
検察は泉被告に懲役20年を求刑し、弁護側は改正前の少年法の規定により有期刑の上限は15年だと主張していました。神戸地裁は泉被告懲役18年の判決を言い渡しています


神戸市北区で平成22年10月、高校2年の堤将太さん=当時(16)=が刺殺された事件で、殺人罪に問われた当時17歳の男(30)の裁判員裁判の判決公判が23日、神戸地裁で開かれた。丸田顕裁判長は「殺人事件の中でもかなり残忍な態様で、殺意も相当強固だ」などとして、被告に懲役18年(求刑懲役20年)を言い渡した。
検察側、弁護側ともに事実関係に大きな争いはなく、争点は殺意の有無と被告の当時の刑事責任能力だった。
丸田裁判長は判決理由で、被告が堤さんの首や背中などを執拗(しつよう)に刺し、逃げようとした堤さんを追いかけて襲っている点などを挙げ、「被告人に殺意があったことは明白」と認定。責任能力については、被告を「詐病である可能性が非常に高い」と法廷で証言した医師の鑑定内容を信用できると判断し、「犯行当時の被告には完全責任能力があった」と結論付けた。
量刑をめぐっては、検察側が刑法12条で定められた有期刑の上限である懲役20年を求刑したのに対し、弁護側は事件当時の少年法を踏まえ、懲役15年が上限と主張していた。
この点について、丸田裁判長は「法律を正しく解釈すれば、上限が20年であることは明らか」と判示。元交際相手への怒りを募らせていた被告が、女性と一緒にいた堤さんに制裁を加えようとした動機は「常軌を逸している」などとし、有期刑の上限かそれに近い領域で処罰されるべき犯行と指摘した。
その上で、犯行当時17歳だった被告について「年齢ゆえの未熟さもあって、感情のコントロールが十分できなかった可能性はある」としつつ「人を殺してはならないことは17歳でも理解できないはずはない」と非難。大幅に刑を軽くすることはできないが、「前科のない17歳の少年であったという事情は、無視することはできない」として、懲役18年にとどめるとした。
判決によると、被告は22年10月4日夜、神戸市北区の路上で、折りたたみ式ナイフで堤さんの右鎖骨上部などを多数回突き刺すなどし、失血死させた。
(産経新聞の記事から引用)


「犯行当時17歳で前科もない」との理由で求刑から2年割り引いて懲役18年という裁判官の判断です
この判決が重いのか軽いのか、被害者遺族や泉被告にそれぞれ言い分はあるとしても、妥当なところと受け止めるしかないのでしょう
泉被告側が控訴する可能性はありますが、控訴して何を争うつもりなのか?控訴審で懲役18年が無罪になったりはしません。弁護人は旧少年法の解釈(当ブログの前回の記事で触れました)をめぐり、判決に反発して控訴を促すものと考えられます
弁護人の側にすれば、旧少年法で18歳以下の少年については有期刑の上限を15年と読んだ法令解釈を否定され、なおかつ心神耗弱の主張も否定されたのですからダメージは大きいと推測されます
なおかつ、泉被告が事件後10年も自首せず、逃げていたのは「反省がない」と検察・裁判官が判断したからです
これで泉被告が不平・不満を口にするのは大間違いでしょう
付け加えると、泉被告は現在30歳ですが犯行時は17歳であり、親に彼を監護する義務がありました。殺人事件を起こしたからには親の監護が不十分だったと判断されますので、被害者遺族は泉被告の親に対して賠償請求ができます
追記:元少年側は6月27日付けで控訴しています。元少年側の弁護人としては、主張をことごとく否定された判決ですから、憤懣やるかたないところでしょう。元少年としても控訴して刑期が1年でも2年でも短くなるなら、との思いだと推測します

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