岸田首相襲撃 木村容疑者の父親

プレジデント・オンラインに元週刊誌編集長元木昌彦氏が、「首相を狙うのは頭のネジの外れた人間だけなのか」と題する記事を寄せています
岸田首相を襲撃した木村隆二容疑者や、安倍元首相を襲撃した山上徹也容疑者を並べ、若者の不安や不満がテロという形で表出されるのを憂う内容です
ただ、自分が関心を抱いたのは、この記事の前段で木村隆二容疑者の父親が取材に応じ語っているところです
木村容疑者の父親は宅配業(赤帽)をやっていたようですが、家族と別れて暮らしています。離婚したのかどうか、その辺の事情は不明です
学校に適応できず不登校になった木村容疑者を度々叱責し、隣近所に聞こえるほどだった、とも報じられています
ただ、家族と別れて暮らしている事実からも分かるように、この父親は家族と向き合おうとはせず、家族から逃げた人物です。おそらく木村容疑者とも正面から向き合おうとはせず、ただ己の価値観や人生観を息子に投げつけ、叱りつけていただけでしょう。なので木村容疑者について「何も知らない人物」ではないか、という気がします


首相を狙うのは「頭のネジの外れた人間」だけなのか…実行犯にみる「ぼんやりとした動機」の恐ろしさ
「山上と、ウチの隆ちゃん。一億分の二だよ。まぁ隆ちゃんは、宗教がどうとか、そういうのはないけどね。ただ、あんなことをする奴なんて、どこかしら頭のネジが外れているんよ」
こう週刊文春(4月27日号)に話したのは、4月15日の午前、衆議院和歌山一区補選の応援のため、雑賀崎さいかざき漁協の応援演説会場に駆けつけた岸田文雄首相を狙って、パイプ爆弾のようなものを投げつけ、逮捕された木村隆二容疑者(24)の実父である。
「一億分の二」というのは、昨年7月に安倍晋三元首相を手作りの銃で狙撃し、命を奪った山上徹也被告と、今回の事件を起こした息子のことをいっている。
父親は、こうした頭のネジが外れた人間はめったに出てこないという意味でいっているのだろうが、果たしてそうだろうか。私はこの言葉がものすごく気になっている。
(中略)
木村容疑者は、兵庫県川西市の閑静な住宅街に建つ一軒家で母親(53)と姉(28)、学年がひとつ違いの兄(25)たちと暮らしていた。
父親は赤帽の配送業者として、兵庫県内の製麺会社に出入りして配送を担当していたという。仕事は夜がメインだったが、仕事ぶりは至極真面目だったそうだ。母親は百貨店の美容部員をしていたこともあったという。
その後父親は赤帽をやめて個人で配送業を始めたそうだ。末っ子の隆二は父親っ子だったという。
中学時代はソフトテニス部に所属したが、うまいほうではなかったようだ。成績も中の中、目立たないタイプだった。
「兄弟仲も良く、不良でも優等生でもない読書好きの少年」(文春)だったが、クラスメートからからかわれたこともあってか、次第に不登校気味になっていったという。
地元の県立高校に入るが、いつしか姿を見せなくなったそうだ。父親はそんな末っ子に厳しく当たり、度を越した罵声を浴びせて警察が駆け付けたことがあったという。
それから以降、家から父親の姿が見えなくなったそうだ。一方、木村は引きこもるでもなく、家庭内暴力をふるうでもなく、母親と庭仕事をしながら仲睦まじく話している姿が目撃されていたという。
母親は生活を支えるために仕事に打ち込んでいるため、暇を持て余した木村が目を向けたのが「政治」だったといわれる。
(中略)
木村容疑者の父方の祖母の家を訪ねると、彼の実父が出てきたそうだ。
「そう、隆二の父親、何も話すことなんかないからね。隆ちゃんも、もう大人だから。本人がやったことでしょ。なんで親のところに来んの?  あなたも人の子だったら、こんなときの親の気持ちぐらい分かるでしょ。仕事なのはわかるけど」
――そんなことをするようなお子さんではなかったと話す人も多いのですが。
「やっちゃったんだから、そんなことするようなお子さんだったんだよ。あの安倍さんの、奈良の何とかさんと同じでしょう」
容疑者の自宅近隣の取材では、両親は5年ほど前から別居中とも、すでに離婚したとも囁かれていたが、それゆえか、どこか他人事のような突き放す口調だ。
――ネット上に隆二さんについて様々なことが書かれている。事実を確認したい。
「ネットなんか誹謗中傷を好きに書いたらいいよ。それで死んじゃうだけなんだから。プロレスの(木村)花さんていたでしょ。ネットの書き込みで死んじゃった。あいつが何を考えていたかなんて知らないよ。隆ちゃんに聞いてよ」
(以下、略)


父親は製麺所で作られた麺を早朝に飲食店やスーパーなどに配送する仕事を請け負っていたのでしょう。夜中に出勤し、仕事を終えて朝9時ないし10時過ぎに帰宅していたものと思われます。帰宅後は夕方の6時か7時まで寝ているはずで、生活のパターンがこどもたちと異なるため、こどもと向き合う時間は多くなかったのでは?
そんな父親が居酒屋談義のサラリーマンみたいに、「一億分の二だよ」と言い捨て「頭のネジの外れたやつ」と自分の息子を決めつける態度にはうんざりさせられます
別段、いまさら父親面してあれこれ釈明したり謝罪するのを期待はしませんが、もう少し態度・言葉の選びようがあるのでは?
息子に父親として社会で生きる術の1つでも2つでも教えたのか、と問いたくなります
アメリカで無差別の銃撃殺人をやらかした犯人の中には、テロ思想などとは無関係の「しょーもない」理由から犯行に至った人物も少なくありません。むしろ極めて個人的な理由から無差別殺人に走るパターンの方が多いのでしょう
木村容疑者には少なくとも政治的な動機があったと考えられるのですが、父親のあまりにひどさに「何もかもぶち壊し」という感想しか浮かびません
こどもは親を選べないのですから、こんな「ハズレくじ」みたいな父親の許に生まれた木村容疑者はさぞ苦労しただろうと同情します。が、犯罪は犯罪であり、刑事責任を問われるのは当然です
まあ、社会の片隅でひっそりと生きてきた父親が急にメディアの前に引っ張り出されたため、舞い上がってベラベラとしゃべりすぎた印象は否めないのですが
さて、山上被告や木村容疑者の犯行から世相の何かが見えてくるのかどうか。犯罪は社会の鏡であると言う人もいます。確かの現在の社会の矛盾や闇の一部を反映していると言えるのでしょう。が、あくまで「一部分」にとどまるのではないでしょうか?

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