中国メディア「日本のアニメはなぜ特別なのか」
劇場版「THE FIRST SLAM DUNK」の公開が始まった中国ですが、前売り券売上だけで22億円に達したのだとか。また、新海誠監督の「すずめの戸締まり」は中国での興行収入が146億円を超え、日本での興行収入を上回っています
中国メディアが「日本のアニメ映画はなぜ『飛び抜けている』のか」と分析していますので、取り上げます
繰り返しになりますが、昨年も今年も「中国アニメが日本を超えた。もう日本アニメは対抗できない」などとする報道が幾つも見られました。そんなトンチキな認識を流布した評論家やジャーナリストに、今日の状況をどう解釈するのか説明してもらいたいものです
中国のポータルサイト・百度にこのほど、「日本のアニメ映画はなぜ『飛び抜けている』のか」とする文章が掲載された。
文章は「日本のアニメ映画は一種の特徴的な文化現象として、その誕生からすでに数十年の発展を経てきた。視聴者に視覚的な楽しみをもたらすだけでなく、素晴らしく感動的なストーリーとキャラクター作りを通じて独特な文化の表現を可能としている」とした上で、「世界的にその影響力はますます大きくなっており、映画産業において無視できない存在になりつつある」と述べた。
日本のアニメ映画の成功は多彩な題材に支えられているという。文章は、「日本は文化が極めて内包された国で、アニメ映画はその文化の多様性を網羅し、伝統的な歴史の物語から現代的なSFまで、すべての作品が関わりあっている」と前置きし、「かつて世界的にヒットした宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』は、奇妙な世界観と愛らしいキャラクター作り、そして精密な映像効果など多くの面で幾千万もの観客を魅了した日本文化の代表作の一つ。加えて、作中では日本独特の文化と伝統的精神も表現されている。例えば、忍者や武士、神話、伝説など、これらの要素も人気を集め、成功度を高める重要な要素となっている」と具体例を挙げながら説明した。
また日本の作品について、「制作の細かさでも優位性が際立つ」と指摘。「アニメの制作過程において、日本の人々は常に完璧を求める姿勢と厳密な作業フローで有名。これが制作における堅実な柱として機能している。さらに細部へのこだわり、キャラクター作り、音楽の選定、シーンの構築など、あらゆる面から完璧な仕上がりを追求している」と考察し、新海誠氏が監督を務めた映画「君の名は。」を挙げ、「作中の町や村の生き生きとしたシーン、精密で繊細なビジュアル、熱がこもった感情表現。これらは人々に日本文化の深い魅力と表現の真髄を感じさせ、だからこそ世界のアニメファンに喜ばれる傑作の1つとなった」と伝えた。
さらに、「他の国や文化が、日本のアニメ映画に含まれているヒューマニズムと人間性に対する関心のレベルに到達するのは難しい」という認識もあるようだ。文章は、「その多くは人類の文化と文明の角度から、人間性、社会、価値観など深い問題を追及している。例えば、堀辰雄氏が原作、宮崎駿氏が監督を務めた『風立ちぬ』は、苦境にあっても懸命に生きなければならないという考えを表現している。そして、個人の理想と国家の正義の冲突、国家の罪業が個人の理想を踏みにじることを示した」と伝えた。
そして、日本のアニメ映画が優れている最後の要素に、「独特な芸術表現方法と強く結びついている」点を挙げ、「現実世界から離れた芸術形式として、アニメ映画はアニメーション、キャラクターの声、音楽、構成などのさまざまな要素からストーリーを表現する。同時に、個性的なキャラクターデザインといった方法を多く採用し、映画の表現と鑑賞体験を豊かにした」と指摘した。
最後に文章は、日本の作品がアニメ映画界で秀でている理由を、「多彩な題材、精密な制作過程、人間に対する深い関心、独特の芸術表現方法」の4点にあるとし、「今後の発展の中で、われわれは優秀な日本の作品の成功体験から学び、わが国のアニメ事業を発展させることができるだろう。将来的には中国のアニメ映画が世界でも異彩を放つことを期待している」と付け加えた。
(レコードチャイナの記事から引用)
有り体に言えば、「人間性を否定し、ヒューマニズムの何たるかも理解できない中国に面白いアニメが作れるはずはない」です
また、「美は細部に宿る」と日本のアニメーターは理解し、手抜きの作画を戒めているのであり、露骨に手抜きをする中国アニメとは違います
そして何より、「面白いものを作りたい」という情熱と、これまで数多く作られてきた秀逸な作品を「超えなければならない」という使命感があります。「深夜時間帯の放送だし、見るのは一部のアニメオタクだけだから、この程度の作品で十分」などとナメた真似をすれば、世界一うるさいアニメファンである日本の視聴者から徹底的に叩かれるでしょう
つまり、作り手だけの問題ではなく、視聴者の目が肥えていて要求の高い日本だからこそ、質の高い作品が生み出されているのです
上記の記事はそうした受け手の側の文化的側面への考察が抜け落ちています。同時に、作品を理解するための評論の不在、を示すものです。質の高い評論があってこそ、作品の質も向上するわけで
余計な指摘ですが、上記の記事の中で「堀辰雄氏が原作、宮崎駿氏が監督を務めた『風立ちぬ』は、苦境にあっても懸命に生きなければならないという考えを表現している」と書かれており、知識の不足は明らかです。この程度の理解で何かを見抜いたかのごとく文章にしても、失笑されるだけです
日本のアニメーション作品を理解し、語るには知識も理論も経験も不足していると、この記事は示しています
また、作品を作るのも日本を見て真似てやってきた中国ですが、いろいろと不足しているものが多いと言わざるを得ません
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