近畿大サークル飲み会死亡 参加学生に賠償命令

新入学に時期なると、「新入生歓迎コンパで急性アルコール中毒となり死亡」という事故が起きます。大学の新入生の多くは18歳であり、年齢としては成人扱いになりますが飲酒は20歳を過ぎてからです。そうと承知していても新入生に無理やり飲酒を勧め、しかも急性アルコール中毒になるまで飲ませるというバカな風習が続いています
当然ながら、酒を飲ませた方も責任が問われるのであり、「ノリで飲ませた。大学生になったんだから酒を飲むのも自己責任」などという弁解は通用しません。酒を飲ませて死亡させた場合は保護責任者遺棄致死罪に問われるケースもあり、大学生のうちに前科者になってしまいます


近畿大学の学生が酒の一気飲みで死亡したことをめぐり遺族らが賠償を求めていた裁判で、3月31日に大阪地裁は当時同席していた元学生ら16人に賠償を命じました。
2017年12月、当時近畿大学2年生だった登森勇斗さん(当時20)は大阪府東大阪市で行われたテニスサークルのサークルの飲み会でウォッカなどの酒を大量に一気飲みし、急性アルコール中毒で死亡しました。
登森さんの両親は大学が指導を徹底せず、ほか同席していた学生らも適切な救護措置を怠ったため死亡したとして、大学と当時の学生ら18人に約1億500万円の賠償を求めていました。
3月31日の判決で、大阪地裁は「放置すれば死亡する危険の状態に陥るとことを認識していたのにもかかわらず、救急隊を要請するなどの措置をとらなかった救護義務違反が認められる」などとして飲み会に参加していた元学生らに約4200万円、介抱役の元学生らに約2500万円、あわせて16人に賠償を命じました。
大学と両親の間では大学が両親に弔意を示し再発防止策を実施するなどの内容で和解が成立しています。
亡くなった勇斗さんの両親がコメント「救急車呼ぶことはできたはず…知らなかったは許されない」
判決後に亡くなった登森勇斗さんの両親は次の通りコメントしました。
「私たちは、突然の息子の死を受け入れることができない中、あの日、一体何が起きたのか、真実が知りたいという思いで学生から聞き取りを行いました。その結果、息子は事故ではなく事件によって命を奪われたのだと確信しました。『息子のために最後にしてあげられることをしよう』ただその思いで走ってきました。今回の裁判では、イッキ飲ませやアルコールハラスメントの違法性だけではなく、意識を失った者が放置されたことが問題であると訴えました。救急車さえ呼ばれていれば、息子の命は確実に助かっていました。過去にもそのことが理由で亡くなった方も多く、息子もまた、昏睡状態で放置されたことが原因で死に至っています。今回、一部の学生らは過失致死罪で略式起訴されました。しかし、皆睡状態にある者を放置することは、保護責任者遺棄致死罪にも値する行為であり、このことが、広く周知されることを願います。今回の判決では、彼告らの責任が軽減されていますが、意識のない状態にあった息子がどうすればよかったのか、この判断を受け止めることができません。また、一部の学生について責任が否定されていますが、関与した全ての学生が、息子が意識を失っていたことを認識し、また救急車を呼ぶことができたはずであり、『自分は知らなかった』という言い分は許されないと思います。今回の判決に対する不服申し立てについては、これから検討したいと思います。今後、二度とこのような事件が起きないことを強く願います」
(MBSの記事から引用)


刑事事件としては、学生12人が書類送検され、うち9人が過失致死罪で略式起訴されています。おそらく罰金刑が科せられたのでしょう
刑事責任とは別に民事での責任を問われるのは、上記の記事を読んでもらえば分かります
飲み会に参加していた学生と介抱役の学生という立場の違いがよく分からないのですが、少なくない金額の賠償責任を負う判決となりました。この他にも弁護士を雇って訴訟に対応したのでしょうから、その費用も負担となります
「悪酔いしただけだから」などと安直に考えず、すぐに救急車を呼べばこうした結果にはならなかったのでしょう。経験不足の大学生ゆえ、という感があります
サークルや部の伝統などと称し、強い酒を飲ませ、酔い潰して面白がるなどという風習は根絶しなければなりません。大学であろうと会社であろうと
追記:大阪高裁が両者に和解を勧告し2024年1月、元学生らが和解金約5000万円を両親に支払うことなどで、和解が成立しています

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