16歳で東大に合格した男の「日本人批判」

日刊SPA!のサイトに１６歳で東大に合格した人物の日本人批判が載っており、「何だかなぁ」と感じたので取り上げます
いわゆる日本人論のつもりで書いているのかもしれませんし、編集部から「日本のダメなところを遠慮なく指摘して」と注文を受けて書いているのかもしれません。しかし、彼は１６歳で東大に合格したというだけで、現在３０歳ですがどれだけ日本人に接した期間があるのか疑問です
つまり日本人や日本社会をほとんど理解できていない（いかに受験テクニックが優秀であっても）のであり、日本人論を語らせるのは無理がありすぎです。従って、彼を揶揄したり論破したりする気はなく、ただ気の毒に思うばかりです


16歳で東大に合格した男が「必要以上に群れたがる日本人」に思うこと
不安遺伝子保有率が8割を超える日本人は、世界で最も不安を感じやすい。そのせいか、孤独を恐れ、必要以上に群れたがる日本人は多い。
・誰かと同じで安心する
・学校や会社、国に依存する
・人の顔色ばかり見て行動する
・外したくてもマスクをつけ続ける
・流行りの洋服や音楽だけ追いかける
・馴染めないと不安障害やうつ病になる
思考停止と没個性。人間は、1人でしか「思考」も「選択」もできないはずだ。それなのに、群れの中に紛れているうちに本来の「個」を見失ってしまっているのだ。
孤独は、孤独死から連想される、他者から拒絶される「寂しくて惨めなもの」ではない。孤独は『孤独のグルメ』から連想される、他者に本当の自分をぶつける「自由で堂々としたもの」だ。
僕たちは1人になって初めて、自分の眼で視て、自分の心で感じて、自分の思考で考えて、自分で道を敷くことができる。
当然、何か新しいことをすると、無視されることだって、失望されることだってある。でも、それは自分が道の最端に立っている証なんだから、自分の感性を信じて良いし、自分の慣性を誇って良いし、自分の完成を願って良い。
だから勝ち組は「自分」を信じ、負け組は「空気」を信じる。
「人間は、考えることは1人でしかできない。1人になって自分を見つめ直すことで人との繋がり方を見出すことができる。それを唯一可能にしてくれる孤独が寂しいんですか。僕の経験では『孤独は嫌だ』という人の共通点は本を読まないこと」（林修）
◆何も考えずに、ただ群れ続ける人生はやめよう
周りを見渡せば、群れから離れて傷つくのが嫌で、多数決を美徳として生きている人がとても多い。しかし多数決で「改善」は起きても、「革新」は起きない。
ほとんどの会社・学校・地域・国が潰れる現代において、創造性を殺した無難な選択をしても、ジリ貧になるだけ。得点を決めるには、結局は、勇気あるエゴイスト1人に頼るしかない。
僕が起業するために独立したときも、1人だった。1人だったからこそ、独立的で、独善的で、独創的でいられた。だから「世界を巻き込む医療AI革新を起こす」という僕のビジョンには、多くの仲間・投資家・病院・提携先が惹かれ集まってくれた。それまでの1年8か月間の無給・無休生活はとても苦しかったが、僕は自分で道を敷いたことを一生誇りに思う。
何も考えずに、ただ群れ続ける人生はやめよう。希望は「感情」ではなく「意志」なんだから、一歩踏み出せば「なりたい自分」になれるさ。
「意志もまた、一つの孤独である」（アルベール・カミュ）
（以下、略）


冒頭の「不安遺伝子保有率」ですが、最近の説では日本人がこの不安遺伝子の保有率が高いというのが定説になっているようです
ただ、不安遺伝子を持つ高い日本人を見下した書き出しが「？」であり、不安遺伝子保有率が高いからこそ日本人が安定した社会、安心して暮らせる社会を構築しており犯罪率も低いという事実を、彼がまったく考慮しないのが不思議です。ポジティブ人間の集まった社会がどれだけ対立に溢れギスギスした社会になるのか、想像もできないのでしょう。明らかに社会経験が不足した人間で、狭い視野しか持っていないのが分かります
「群れたがる日本人が多い」などというのはメディアがそう主張しているにすぎないのであり、彼がどこまでそうと実感しているのか謎です
結局、メディアの提供する日本人像というものを鵜呑みにして語っているだけなのでは？
更に進んで、「馴染めないと不安障害やうつ病になる」とまで決めつけているところが何とも。東大に合格して天下を取った気でいる彼には、うつ病に苦しむ人達の心情など理解できないのでは？
ちなみに不安遺伝子保有率が日本人よりも低いはずの韓国人は、極めて自殺率が高いのですが（日本よりも高い）、これを彼はどう説明するのでしょうか？
こうした考えしか持てない若者が東大に合格しようが、企業して若手実業家になり成功しようが、羨ましいとは思えません。他人の痛みを理解できないまま大人になった奇異な人物、というだけです
また、人を「勝ち組」と「負け組」に分けて扱うことしかできない、器量の狭さにも辟易とします
こうした人物が自分の成功体験を綴ったビジネス書やら自己啓発書を出すのでしょう。読む気にもなれません
以上、日本人批判と自慢話大会でしかない記事です。こんな記事を書いて彼は、「言ってやったぜ」と満足しているのでしょうか？
自分のこどもにはこうなってほしくない、と感じましたので取り上げました

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