埼玉栄高サッカー部　反省できない高校生: 夾竹桃日記

2023年03月14日

埼玉栄高サッカー部　反省できない高校生

埼玉栄高校サッカー部員による東日本震災被害者を揶揄する発言は、これを発見した人物がツイッター上の有名人に伝達したため、拡散されたという経緯があります。未成年者の迷惑行為や愚行の動画（本人が顔出ししているものも少なくない）を晒し、炎上させるのはその少年の人生を潰すことにもなりかねない、との批判も出ています。が、それはまた別の問題でしょう

昨日、書いたブログの記事だけでは自分の言いたい内容が十分に伝わらないだろうと思い、補足します

退学という選択肢

まず、スシローでの迷惑行為を動画にした岐南工業高校の生徒は自主退学した、と報じられています。が、これで彼の人生が終わったなどと他人が決めつけるのは失礼でしょう。高校を退学しても数年後に定時制高校に入学するなり、通信教育で学ぶなり、リカバリーする選択肢はあります。２年かかろうと３年かかろうと、その時間は決して無駄ではないはずです

本来なら、彼が自身の迷惑行為の何が問題であると感じたのか、それをどう受け止め、改善する方策を模索したかを表明すれば、バッシングはある程度納まったものと考えます。怒涛のような批判の嵐に耐えられず、緊急避難として退学を選ぶしかなかったのかな、とは思いますが

そもそも自主退学したから決着、というものではないわけで（自主退学しようと刑事、民事で責任が問われるのですから）

埼玉栄高校の謝罪文

昨日取り上げた埼玉栄高校の対応は、学校としての至らなさを認めた上で謝罪を表明する、という点につきます。これを無駄だと切り捨てたり、否定する気にはなれないものの、大事なのは学校としてどう対応するかではなく、当該生徒に何を考えさせるかです

謝罪文には「心の教育」とか「道徳心の向上」とか「メディア・リテラシーの教育」などの文言が並んでおり、いかにも現場の教育者らしい文章です

が、やはり大事なのは動画に映った生徒と動画を撮影した生徒に、何が問題で大騒ぎになったのか、を考えさせることです

生徒が「ショックを受けている」とか、「落ち込んでいる」のが重要ではないのであり、そうした精神的ダメージ＝反省ではありません

反省とは、自身の言動のどこに問題があったのかを考え、なぜこのような逸脱した言動になってしまったかを顧み、誰にどのような迷惑をかけ不快感を与えたかを想起し、今後は何をどう対処して改めるか具体的な方策を探ることであり、このプロセスを言語化する作業です

反省といってもその内容が言語化されなければ周囲の人間には伝わりませんし、自身の心に刻むこともできません

少年院の矯正教育ではあれこれやってはいますが、一番重要なのはこの言語化だろうと自分は思っています

課題作文としていろいろなテーマを投げ与え、考えさせ、言語化を促すのも以上のような狙いがあるからです。単に文章の練習ではありません

しかし、こんな基本的な取り組みが埼玉栄高校の謝罪文からは見えてこないのであり、「何やってるの？」あるいは「何がしたいの？」と思ってしまいます

ゲンコツ３発で許してやれ

フリーアナウンサーの長谷川豊は高校生の迷惑行為について、「ゲンコツ３発で許してやれ」などと発言しています。これは何をどう反省したのか問い質すのを放棄し、単なる体罰で済ませるという方法です。これでは自身の迷惑行為の何が問題であったのか内省が深まったりはしません（言語化されないので）。ですから体罰で決着させるのはあまりに愚かな対処法なのです

こどもは犬や猿ではありません。きちんと言語を介して理解を促し、内省を深め、行動の変容を進めるのが筋でしょう

教師は教育のプロ？

教師は教育のプロであり専門家であるというのは買いかぶり過ぎかもしれません

学校教育は各教科の教科書に沿って、単元ごとに何を学習させ理解させ習得させるか、事細かに学習指導要領で定められています。つまり最初から問題と答えがセットになっています

しかし、本件のように問題はあっても模範解答が用意されていない事態に遭遇すると、教師といえどもどう対処すれば分からなくなり、右往左往します。学級内のいじめ、校内暴力も同様です

その結果、埼玉栄高校の謝罪文のように立派なお題目が並んだだけの、中身のない教育の取り組み？が表明されるのです

「メディアリテラシー教育」を進めると言っても、どこかの教育教材販売会社のテキストをそのまま使うだけなのでは？

教師自体、メディアリテラシー教育が何であるのか理解できていないのであり、テキストに丸投げする姿が想像できます

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