「トラブルから逃げる中学校」厳しく糾弾する意見

熊本県で小学生が担任から執拗な叱責と体罰を受けたのを苦に自殺した件があり、世間の注目を集めました。さらに、教育委員会がこの教師を庇い、なかなか責任を認めようとしなかった姿勢も批判されています
いまや教育委員会は学校の不祥事を隠蔽したり、教師の異常な振る舞いをなかったことにするのが仕事のようです
埼玉県所沢市の教育委員会が男子中学生の自殺に関し、第三者委員会を設置して報告を求めたところ、学校や教員、教育委員会の「逃げの姿勢」を厳しく意見が提出された、と報じられています


2018年7月に埼玉県所沢市の市立中学校1年(当時)の男子生徒が自殺した問題で、市教育委員会が設置した第三者委員会がまとめた最終報告書の概要が、関係者への取材でわかった。自殺した要因の特定は「極めて困難」としたが、担任教諭による指導を男子生徒が「理不尽」と感じていたことや、中学校生活の閉塞へいそく感などが複合して「将来への希望の喪失が急激に増幅した」と指摘した。一方、同校では17年にも別の生徒が自殺し、19年には生徒同士の殺人事件が発生した「異常な事態」にあるとして「学校は何を内省し、改善したのか、厳しく問われなければならない」と批判した。
男子生徒は18年7月17日朝、自宅近くの高層住宅から飛び降りて死亡した。遺書はなく、自殺の原因が特定できなかったこともあり、市教委は翌月に第三者委を設置して、遺族や教員、同学年の生徒らへ聞き取り調査を実施してきた。
昨年11月に遺族に示した素案では、男子生徒が校内でのいたずらに関与していなかったのに、別の生徒から「(男子生徒も)やった」と言われ、苦痛を感じていたとして「いじめ」を受けていたと記載していた。
これについて、遺族側が「学校側の責任を棚上げし、生徒間の問題にしようとしている」と反発したこともあり、最終報告書では「いじめに該当するとの明確な結論にまでは至らなかった」と記載を変更。その上で、自殺要因の特定はできなかったが、閉塞感や担任への不満などに加え、「大人に一歩近づいた不安や、将来への希望の喪失が増幅し、家族や友人にも相談できないまま、自死の選択に至ってしまったと考えられる」とした。
また、同校の姿勢について「(聞き取り調査で)教職員の語る言葉にはあまりにも当事者意識がなく、ひとごととしか思えないものも少なくなかった」と疑問視し、「教師自身が何をすべきか、どう変わるべきかが見えてこない。生徒だけを変えようとする意図が露骨」と厳しい言葉を突きつけた。
さらに、遺族への対応についても、学校や市教委側が葬儀に参列しなかったことや、死後1か月以上自宅を訪問しなかったことなどを挙げ、「たとえ、罵倒されても、石を投げつけられても、遺族に会うべきではなかったか」と指摘。市教委に対しては「遺族の心の支援を含めたさらなる詳しいマニュアルを作るべきなのか、それとも、すべての教職員に対し、『教師以前』の社会人としての人間教育を徹底させるべきなのか、検討すべきだ」とした。
(読売新聞の記事から引用)


記事にある「遺族の心の支援を含めたさらなる詳しいマニュアルを作るべきなのか」との指摘は随分と皮肉に聞こえます。マニュアルがないと学校や教師は何もできないのでしょうか?
所沢市での中学生自殺に限らず、最近では生徒や児童が自殺しても担任や校長は弔問しないのが当たり前のようで、「遺族の心情を慮って弔問は控えた」などと、弔問もせず葬儀にも出席しないことが「遺族の心情に沿う行動」であるかのような主張が目に付きます
本音では葬儀に出席して遺族から罵声を浴びせられるのが嫌なので、屁理屈をこねて出席しないことを正当化しているだけでしょう
上記の記事では「たとえ、罵倒されても、石を投げつけられても、遺族に会うべきではなかったか」と指摘しており、現場の教師にとっては耳の痛い指摘だと思われます
他方で、些細な事案で学校に怒鳴り込んでくるモンスターペアレントへの対応を担任教師1人に任せきりにしたため、担任教師が精神疾患を訴え休職に追い込まれる事案もあります。学年主任や教頭、校長といった立場の者が逃げてしまい、かかわりたくないので担任教師に押し付けてしまった結果です
トラブルから逃げようとする姿勢を改め、もっと積極的に関与して問題を解決しようとする攻勢の組織に組み替えないとダメでしょう
戦前の学校教育に政治や軍が介入し、これを歪めてしまったのを反省して教育委員会制度が導入されたわけですが、そろそろ教育委員会制度そのものを見直すべきではないか、と思います

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