熊本小学生自殺 懲戒免職教師が不服申し立て
2019年4月に熊本市立中学1年の男子生徒が自殺し、その後の調査の結果、小学6年時の担任がこの少年に対し体罰や暴言を繰り返し、精神的に圧迫し続けたのが原因として、この熊本市立力合西小の教諭(60)を懲戒免職処分にています
教育委員会はこの教諭が自殺した生徒や他の生徒に対し、5年間で体罰や暴言などを42件繰り返していたのを問題視ししたものです
ところが懲戒免職を受けた元教諭は、処分は違法であるとして審査請求を申し立てています
申立ての趣旨は懲戒処分の審査の際、懲戒の対象となる行為が何であるか具体的説明もなく、弁明の機会も与えられなかったというものですが、何より生徒を自殺に追い込むような暴言や体罰はしていないとの主張が目を引きます
2019年に自殺した熊本市立中男子生徒の小学6年時の担任で、複数の不適切な指導で昨年12月に懲戒免職処分となった男性元教諭(60)が27日、免職相当の不適切な指導は一切なく処分は違法として、同日付で市人事委員会に不利益処分に関する審査請求を申し立てた。退職手当支給制限処分も同日付で大西一史市長に審査請求書を出した。
元教諭と中村輝久弁護士らが、同市中央区の県弁護士会館で記者会見。19年に始まった市教育委員会による聴取は、行為の日時や対象児童など具体的な内容が一切知らされないまま進められ、弁明の機会もなかったとして「違法な手続き」と主張した。免職の根拠となった42件の不適切な指導について、「思い当たるのは数件のみで、いずれも免職には相当しない」と反論した。
市人事委によると、審査請求は地方公務員法に基づく制度。弁護士や社会保険労務士ら委員3人が処分の妥当性や違法性について、書面や口頭で審理し、処分の承認、取り消し、修正を裁決する。
元教諭は、男子生徒が自殺直前まで通っていた市立小の児童らに対する体罰や暴言、不適切な言動が理由で免職となった。自殺前年には別の児童への暴行容疑で書類送検され、不起訴処分(起訴猶予)となっている。会見では、この暴行についてはおおむね認めた上で「免職には当たらない」とした。
市教委は「処分は適切に行った。審査請求の内容が届き次第、適切に対応したい」とコメント。自殺した男子生徒の母親(48)は「元教諭が、やったことは一切問題なかったと考えていることに驚き過ぎて言葉が出てこない。理解が追い付かない」と話した。(植木泰士、元村彩)
■記者会見要旨
男性元教諭の記者会見要旨は次の通り。
【審査請求の理由】
懲戒手続き自体が違法。私が受け取った書面には処分理由として「計42件」の「体罰、暴言または不適切な指導または対応などと認定」とあったが、具体的な行為の内容は一切記載されていなかった。
弁明の機会もなかった。処分の前に市教委の聴取を受けたが、いつ、どこで、誰にどんな行為をしたから聴取されるのか知らされなかった。弁明の前提を欠いていた。
懲戒されるような不適切な行為は一切ない。長い教員生活では、子どもたちが社会に出るときの幸せのため、子どもたちの良さを引き出すため、自分に何ができるかを第一に考えて教壇に立ってきた。個性に応じて厳しく指導する子どもはいたが、気に入らない子どもはいなかった。
【報道機関の皆さまへ】
取材に対して消極的だったのは強い不信感があったから。目的を偽って私に取材して発言の一部を切り取り、私の意図と懸け離れた形で伝えるなどした報道機関もあった。
(熊本日日新聞の記事から引用)
まず教え子が自殺した事実に関し、この教諭は「自分の責任ではない」と言い切っているのが驚きです。熊本市教育委員会の委託した第三者委員会がこの教諭による42件もの体罰や暴言を問題ありと認定しているのに対し、「問題となるような体罰や暴言はない」と主張しているのですから、全面的な対決となります
ただし、上記の記事にもあるように2018年には別の児童に対する暴行で警察の取り調べを受け、起訴猶予になっており(犯罪事実があったと確認されたものの起訴するまでには至らないと判断され、厳重注意ですませた)、この教諭が児童に対して暴力を振る人物であったのは間違いありません。推測するに、日常的に暴言を吐き、体罰をする教師だったのでしょう。それでもなお退職金が欲しくて、審査請求に踏み切ったのか?
今回はあくまで懲戒処分に対する審査請求です。審査の結果、懲戒処分に瑕疵はない(誤りはない)と判断されたのであれば、あらためて訴訟を起こし、裁判の場で争う展開になります
それにしても、懲戒審査の場で弁明の機会を与えなかったとすれば、教育委員会の過失です。弁解として申し立てた内容を採取し、記録に残さなければならないのであり、忘れるとか弁明の機会を与えないとか信じられないポンコツぶりです。審査結果で教育委員会の手続きに重大な過失があったと判断されれば、弁明を機会を与え上で懲戒審査をやり直す羽目になります。民間企業では社員に弁解の機会も与えず、一方的に懲戒解雇を言い渡すのはざらですが(これも労働協約違反になります)
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