中国のスパイ気球 米軍が撃墜

既に報じられているとおり、アメリカ大陸を横断するように飛行していた中国のスパイ気球を米空軍の戦闘機が撃ち落とし、残骸をアメリカ海軍が回収しています
中国政府は、「民間の気球が誤ってアメリカ上空に入り込んでしまったものであり、危険を及ぼしたりはしない。戦闘機で撃ち落とすなど過剰な武力行使だ」とアメリカの対応を批判しています。が、中国のどの民間企業、研究機関、大学が飛ばした気球であるかは明らかにせず、ただアメリカ政府の対応を批判するという、みっともない逆ギレを披露するだけです。例によって、「中国のメンツが潰された」という反応なのでしょう
「現代ビジネス」のサイトに掲載された元航空自衛隊空将補である鈴木衛士の分析が筋の通った記事になっていますので、その一部を引用します
全文を読みたい方は「現代ビジネス」のサイトへアクセス願います


中国「痛恨のミス」?元空自情報幹部が「アメリカは偵察気球撃墜のタイミングを待っていた」と分析するワケ
(前略)
このミッションの後に、米国防総省は、この気球がトランプ前政権時代にも複数回、米本土上空を飛行していたことや、中南米、東アジア、南アジア、欧州など5大陸の各地域でも飛来が確認されている、という事実を明らかにした。
要するに、米国防総省は以前からこのような中国(人民解放軍の部隊と推定)による偵察気球の活動を把握していて、いつか米本土上空でこれを確認した際には、今回のようなミッションを実行することによって「中国に警告を与える」べく、その機会を狙っていたのであろう。それが、こともあろうにブリンケン米国務長官が訪中する直前という時機でこの気球が飛来してきたのである。まさに、米国にとっては千載一遇のチャンスと映ったことであろう。
今後、この落下物からさまざまな情報が明らかになるに違いない。
米国が、一発47.2万ドル(米空軍発注額:約6,230万円)のミサイルを費やしただけのメリットは十分にある。中国は完全に米国に情報戦で手痛い一本を取られたという形だ。中国による強い反発は、この焦燥感の表れであろう。
中国という国家の危うさが露呈
仮に中国が主張するとおり、「民間の研究用気球」だとしたならば、なぜ国外を飛行させるのに通常民間で広く使用されているADS–B(放送型自動従属監視装置:Automatic Dependent Surveillance–Broadcast)を搭載して位置を把握しなかったのか。
加えて、位置が把握できなくなった、または何らかの手段で予定のコースを逸れていると認識できたならば、なぜジェット気流に乗って領空に到達する可能性のある国家にこの気球の存在を通知しなかったのか。
そして、何よりも、このような気球が飛来してきたことを発表したカナダや米国に対して、中国は即座に「これは自国が飛ばした気球であり誤って領空を侵犯した」ということを謝罪するべきであっただろう。結局のところ、中国は「超高高度の気球など黙殺するだろう。仮にこれを発見しても民間の研究用だと言い逃れできるだろう」と甘い認識を抱いていたに違いないのだ。
(以下、略)


「民間の気球が誤ってアメリカ上空に入った」と中国政府は主張するわけですが、それならばアメリカ上空に入る前にアメリカ政府に通知しておく必要があります。たとえ民間の気球であろうと、高度が下がれば航空機の飛行に支障を来すのですから
通知しなかっただけでも(本当はスパイ気球なので通知するつもりなどなかったのでしょう)、疑いを持たれ撃ち落とされても文句は言えないところです。それでも敢えてアメリカ政府に噛みつくのは、習近平国家主席かそれに次ぐ人物から、「アメリカに抗議しろ」と命じられたからなのでしょう
実際、気球は相当に高いところを飛ばしているため、通常の戦闘機ではこれを撃ち落とすのは困難です。戦闘機といえども高度2万メートルを飛行する能力はないのですから(最高上昇高度として2万メートルまで到達できたとしても一瞬であり、2万メートルの高度を飛び続けるのは不可能)。なので推力に優れたエンジンを積んだF-22ラプターで1万9千メートル近くまで上昇し、対空ミサイルで撃ち落とすという芸当をしてのけるのはアメリカ空軍くらいでしょう
中国側としては高度1万9千メートルくらいで気球を飛ばせば、アメリカでも撃ち落とせないはずと踏んでいたはずです。が、思惑が外れてしまい恥をかいた格好です
習近平国家主席、あるいは人民解放軍の幹部は激怒し、スパイ気球の担当者をクビにするのでは?
省略した記事の中で、中国は領空侵犯も領海侵犯も意に介さない無法者国家であり、国際法を遵守するつもりがないと指摘していますが、その通りでしょう
さて、日本でも2度、中国のスパイ気球が過去に目撃されているわけですが、岸田首相はどう対処するつもりなのでしょうか?

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