妻子3人殺害の父親起訴 自殺図るも死にきれず

2022年8月、自宅で妻を絞殺した後、車で連れ出した小学生の長女と長男を絞殺した父親が殺人の容疑で逮捕される事件がありました
妻と口論になりカッとなって首を絞めたようですが、その後は心中を図るつもりでこどもたちを車に乗せ連れ出したようです。結果として、自分の手首や首を切りつけたものの死にきれず、親族に電話で連絡した後警察に出頭しています
「殺人犯のこどもとして生きるのはかわいそうだ」と思い、こどもを殺害したのだとか。それも随分と身勝手な考えです


去年、愛知県犬山市などで妻と小学生の2人の子どもを殺害したとして逮捕された42歳の父親について名古屋地方検察庁は19日、3人に対する殺人の罪で起訴しました。
起訴されたのは愛知県扶桑町の電気通信工事業、田中大介被告(42)です。
起訴状などによりますと田中被告は去年8月、扶桑町の自宅で42歳の妻の首をしめて殺害しその後、犬山市内に駐車した車の中で9歳の長女と6歳の長男を殺害したとして3人に対する殺人の罪に問われています。
名古屋地方検察庁は事件当時の刑事責任能力を調べるため去年9月から1月まで、およそ4か月にわたって「鑑定留置」をして精神鑑定を行ってきましたが、刑事責任能力があると判断しました。
検察は被告の認否について明らかにしていません。
(NHKの記事から引用)


この事件について精神科医の片田珠美氏が、「子どもを道連れにした拡大自殺」との見方で記事を書いています。記事は事件があった8月の時点で書かれたものですから、田中大介被告がいかなる人物であったのか十分な情報を得た上で書かれたものではなく、あくまで一般論として読むのが妥当でしょう


なぜ「いい父親」ほど家族大量殺人に走りやすいのか…私物的我が子観の危うさ
(前略)
田中容疑者は妻の首を絞めて殺害した時点で、「もうダメだ」と絶望したのではないか。つまり、妻の殺害を「破滅的な喪失」と受け止めたわけで、その時点で自殺願望を抱いた可能性が高い。
そこから、なぜ子どもを2人とも殺害するのかと不思議に思われるかもしれないが、残された子どもが「殺人犯の子ども」として世間から白い目で見られ、苦しみながら生きていくのを不憫に思ったことは十分考えられる。そういう苦境から子どもを救い出すための他の手段を見出すことができないからこそ、「一緒に死んだほうが子どもにとって幸せ」「生きていても子どもは不幸になるだけ」などと思い込んで殺すわけである。
客観的に見れば身勝手きわまりないが、家族大量殺人の犯人自身は家族のためと思い込んでいることが実は少なくない。典型的なのは、田中容疑者のように夫でもあり父親でもある男性が「もうダメだ」と感じるような喪失体験に直面し、家族の行く末を思って落胆した結果、自分の命を絶つだけでなく、家族全員を不幸や苦悩から救うつもりで殺害してしまうケースである。なかには、自身の犯行は愛情ゆえに遂行する「愛他的殺人」だと思っている犯人もいる。
見逃せないのは、田中容疑者が犯行後自殺しようとしたことだ。今回の事件に限らず、家族大量殺人の犯人が犯行後自殺を図ることは珍しくない。また、もともと自殺願望があって、残された家族がかわいそうという気持ちから全員道連れにしようとすることもまれではない。その結果、自殺が未遂に終われば犯人は逮捕されるが、既遂の場合は一家心中として扱われる。
いずれにせよ、家族大量殺人は拡大自殺の形を取ることが多い。「もうダメだ」と絶望して自分が自殺しようとするのに、家族全員を巻き添えにするわけである。しかも、家族全員を道連れにする傾向は、家族との一体感に比例して強まる。
(以下、略)


「我が子の将来を悲観して」という理屈なのでしょうが、そもそも田中被告が妻を殺害したところに責任があり、我が子の生きる権利を勝手に奪う犯行は許せません。それを親の愛情と呼ぶのなら、そんなに身勝手で歪んだ愛情はないと言わざるを得ません
田中被告は電気工事の下請けをする自営業で、連日のように仕事に追われ朝から夜遅くまで働いていたようです。自営業ですから労働基準法の適用は受けず、週に40時間以上働き、休みも満足に取れなかったのでしょう。妻は保育士だったと報じられています。常勤だったのか、非正規だったのかは不明ですが、2人で働いていたので収入はそこそこあったのでしょう。しかし、夫婦はすれ違いの生活で、それが不和の原因になったのかもしれません。自営業で身を粉にして働くのではなく、収入は多少減ってもどこかの工場勤務で週休2日の生活を手にする選択肢もあったのでは?
田中被告が何をどう考えて犯行に及んだのか、公判の場で明かされるとしても、3人を殺害した事実は重いのであり死刑が求刑されるはずです

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