3人死傷事故 運転の90歳に禁錮3年判決
「一昔前は」と切り出すのは年寄りくさい言い回しになりますが、「80歳以上は交通事故を起こしても実刑にはならない」などと言われたものです。もちろん間違いであり、都市伝説みたいなものです
池袋の事故以来、飯塚幸三受刑者のように90歳でも実刑が科せられると世間は認知したはずです。交通事故でも業務上過失致傷(事故で怪我を負わせたケース)では執行猶予付き判決が下される場合が多いため、「高齢者は交通事故を起こしても刑務所に入らないで済む」という都市伝説が生まれたものと推測します
しかし、交通事故でも過失致死に問われた場合、高齢者でも実刑判決が下されるのであり、交通刑務所に収監されます
2021年11月、大阪府大阪狭山市で車が暴走し、3人が死傷した事故の裁判で、1月27日に大阪地裁堺支部は車を運転していた90歳の男に対し、禁錮3年の実刑判決を言い渡しました。
起訴状などによりますと、無職の横山孝被告(90)は、大阪狭山市のスーパーマーケット周辺で、自身が運転する乗用車を急発進させて2人をはね、店舗に突っ込んだ後、車をバックさせて妻をはね、計3人を死傷させた過失運転致死傷罪に問われていました。
これまでの裁判で、検察側は事故の状況について、「スーパーの西側路上で、サイドブレーキをかけずに停車し、妻が買い物を終えた後、トランクを開けようと体を運転席から出した際、車がゆっくり動き出して慌てて、ブレーキを踏んだつもりが踏み間違えて急発進した」と説明、「運転者として極めて基本的な注意義務を怠った」として、禁錮5年を求刑していました。
一方、横山被告は起訴内容を認め、「今回の事故に対して重大な過失を犯しました。一生償いをしたい」と話し、弁護側は「アクセルとブレーキを踏み間違えるということは、同じ状況であれば、年齢関係なく考えられる」などとして執行猶予付きの判決を求めていました。
1月27日に大阪地裁堺支部は、「車のエンジンをかけっぱなしにして確実に停止させておくべきだったのに、十分しないまま誤発進させた。横山被告がかなりの高齢で、若年者と比べて機敏で的確な判断ができなかったとみられ、過失の程度は相当大きい」としつつ、「罪を認め反省を続けると述べている」などどして、横山被告に禁錮3年を言い渡しました。
(MBS毎日放送の記事から引用)
禁固刑とは懲役刑のように刑務作業を定役として科せられない刑罰です。ただ、何もせずに舎房の中で過ごしているのも苦痛ですから、禁固刑でも希望して作業を実施する受刑者がいます。舎房の中でできる封筒貼りのような作業です
日本では刑務作業に従事させることが刑罰となっていますので、作業を拒否する受刑者には刑罰を拒絶する者として懲戒が科せられます
これがアメリカでは奴隷制度という過去の歴史を踏まえ、受刑者を強制的に働かせるのは奴隷労働に該当ので禁止になっています。なので、受刑者は何もせずもぶらぶらと過ごしているわけです。職業訓練は認められており、希望者のみ実施されます
さて、本件の事故では横山被告が車を駐車場に入れず、路上でエンジンをかけた状態で止まっていました。おそらく駐車場にバックで入れたりするのが煩わしかったのでしょう。あるいは他の車にぶつけてしまうと恐れたのか
しかも、路上に車を止めている際、サイドブレーキを使わないのが習慣になっていたようです。ですが、運転者の個人的な悪癖では済まないのであり、足でブレーキを踏み続けた状態で長時間止まっているなど事故のもとです
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