アポ電強盗殺人控訴審 1審を破棄して差し戻し

東京都江東区で起きたアポ電強盗殺人事件の1審判決では、検察が強盗致死罪にあたるとして3人の被告に無期懲役を求刑していたましたが、裁判官は慢性心不全の持病により死亡した可能性があるとして「致死罪」を認めませんでした。無期懲役を免れた被告は法廷で「よっしゃあ」と大声を上げていました
控訴審となった東京高裁では1審の持病による死亡との判断を厳しく批判し、3人の被告のうち1人が首を絞めた結果死亡したと見るのが妥当、と結論付けて1審判決を破棄し東京地裁に差し戻す判決を下しています。「よっしゃあ」と叫んだ被告たち3人は、あらためて1審で強盗致死罪に問われ無期懲役を求刑されるはずです


東京都江東区で平成31年、電話で資産状況を尋ねる「アポ電」後に強盗目的で高齢女性宅に押し入り死亡させたとして、強盗致死などの罪に問われた須江拓貴(ひろき)被告(26)ら男3人の控訴審判決で、東京高裁は25日、3被告を懲役27~28年とした1審東京地裁判決を破棄し、審理を地裁に差し戻した。
1審で検察側は女性が3被告に首を圧迫されたことなどで窒息死したと主張。いずれも無期懲役を求刑していたが、地裁は「事件のストレスで慢性心不全が悪化して死亡した」と認定し、有期刑を選択していた。
伊藤雅人裁判長は「少なくとも1人が被害者の首を圧迫する暴行を加えたことは明らかだ」と述べ、1審の判断を否定した。
判決理由で伊藤裁判長は、慢性心不全の状態にあったことと、暴行で死亡したことは両立すると指摘。「1審判決は合理的な根拠がないまま、首の圧迫を示唆した解剖医の見解を排斥した」とし、被告らが犯行後に被害女性の脈を測って生死を確かめ、強盗殺人罪の刑期について検索したことも、首を圧迫したとする認定を補強すると述べた。
その上で、被害女性に死亡に結びつく持病はなかったとする解剖医の見解を支持し、慢性心不全を死因とした1審判決の事実認定は「不合理」と批判。事実誤認に基づく誤った評価で刑が減軽された1審判決は「破棄を免れない」と結論し、量刑判断は裁判員裁判で判断するのが相当として審理を地裁に差し戻した。
(産経新聞の記事から引用)


1審判決は当ブログでも取り上げたところですが、3人の被告の強盗致死罪を認めたくなくて無理やり「慢性心不全により死亡」だと決めつけているような、不自然な判決でした
被害者は80歳の女性であり、強盗に押し入って結果として死に至らしめた凶悪な犯行ですから、強盗殺人で死刑にしてもよいくらいの悪辣さです。それをなぜ「慢性心不全による病死」だなどと屁理屈をこねるような判断を下したのか、大いに疑問です
差し戻し審では1審とは別の裁判官と別の裁判員によって行われます
3人の被告に「よっしゃあ」などと言わせない判断を望みます
1審の懲役27年~28年では、25年くらい服役して仮釈放という可能性もあったわけですが、無期懲役の場合平均の服役期間は35年くらいです。刑罰の重さが断然違います。遺族が仮釈放に同意しなければ35年以上服役するのであり、一生刑務所から出られないかもしれません
昨今、続発する強盗事件への戒めとして、強盗殺人犯は無期懲役だと知らしめる必要があります。「闇バイト」に気軽に応じただけで、強盗殺人事件になるとは知らなかった、などと弁解してもダメです

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