増税論議の疑問 政府の隠れた財産をどうする
防衛費をGDPの2%程度まで増やすという話から始まって、「では財源をどうするのか?」という問題が連日報道されています
ただ、その議論も財務省の筋書き通りに展開しているようで、はなはだ疑問です。岸田総理は就任当時、「改革」を全面的に打ち出していたはずなのに、結局は財務省の敷いたレールの上を走らされている感があります
政治家もマスコミも日本の財政についてあまりに知らない、と言うほかないので思うところを書きます
一般会計と特別会計
これまでにも書いてきたことの繰り返しになりますが、日本政府の予算は大別して一般会計と特別会計の2つからなります。話題になっている防衛予算も一般会計です。ただ、衆議院や参議院の予算委員会で審議されるのはもっぱら一般会計の方で、特別会計が議論されるのは稀です
特別会計は特定の政策を継続して(10年~20年)推進するためのものであり、単年度の一般会計とは区別して扱う、というのが建前です。国会議員に当選すると新人研修に財務官僚が出向いて財政について講義をするのですが、「特別会計は特別な政策のためのもの。一般会計とは違います。特別会計のお金を一般会計に回すのは財政法で禁止されています」と説明しているのでしょう
しかし、その特別会計が一般会計なみの100兆円あるという事態を、誰も疑問に思わないのでしょうか?
自分は特別会計を廃止し、一般会計と併せて一本化すべきだと考えます。そうしないと、いずれは特別会計が一般会計を上回るという本末転倒の事態に陥ります
さらに、国会議員は特別会計の中身にまったく注意を払っておらず、無知で無関心というのも大問題です
例えば農業関係の特別会計にも、農地整備やら食料の計画的生産を謳った特別会計がいくつも存在します。これらの特別会計が拡大解釈され、田舎の交通量も少ない区画整理された農地の間に自動車専用道路かと錯覚するような、立派な農道が開通していたりするわけです。本来なら農作業用のためのトラクターなどがすれ違える程度の農道で十分なはずが、特別会計の趣旨を拡大解釈して自動車専用道路なみの高規格の道路を建設するという馬鹿げた現実があるのです。特別会計の予算があるから使ってしまおう、という発想です
この立派な農道を航空機の離発着も可能な農道空港にすると、農林水産省はさらにお金をかけたのですが、全国に整備した8箇所もの農道空港は現在でも利用されているのでしょうか?
「盆踊り大会の会場として使用されている」とのニュースもありましたが
日本政府の保有する有価証券は117兆円
日本政府が保有する有価証券がどれくらいの額になるか、ご存知でしょうか?
その一部、外貨準備として積み立てているお金の中で有価証券は117兆円にもなります。中身のほとんどがアメリカ政府の保証債(国債)です。日本の通貨「円」は国債基軸通貨であり、日本銀行はアメリカやEU、イギリス、スイスなどの中央銀行と無制限の通貨スワップ協定を締結しています。どこかのヘッジファンドが円買いによって為替相場を操作し、利益を得ようと仕掛けてきても、日本銀行は円売りドル買いで対抗できるのであり、通貨のスワップ協定によってその資金を他国の中央銀行から無制限で借り出せる仕組みです
ならば、アメリカ政府の国債を大量に保有する意味・意義がどれだけあるのかと思うわけです。117兆円が116兆円になったとして、その政策目的が揺らいだりはしないはずです。財務省は「アメリカの国債を売ったりすればアメリカに怒られるから売れないのだ」と説明しているようです
が、例えば1兆円分を郵便貯金・簡易保険で積み上げられた資金で買い取り、資産運用の一環として保有される手もあるでしょう
郵便貯金・簡易保険で積み上げられた資金は200兆円を超えます。これはもちろん、預金者や保険契約者のものですから勝手には使えません。しかし、積み上がった資金は資産運用しなければならないのであり、アメリカの国債に投資するのは悪手ではありません。市場に出して売却するのとは異なり、政府系の金融機関が長期保有するならアメリカも文句は言わないはずです
財政の仕組みを変える
素人の思いつきにすぎませんが、過去には政府が保有するNTT株を売却し、そのお金を一般会計の財源に充ててもいます。直近では郵便事業会社の株式を上場させ、政府保有分の株を売る計画もありましたが、郵便事業会社の経営悪化により見送られています
財務省が所管する特別会計の1つ、2つを廃止するだけでもかなりの額を捻出できます。財務省は猛反発するのでしょうが
財政再建の旗を掲げる財務省はすべからく「国民への増税でまかなうべき」と主張し、自分たちの抱える特別会計には指一本触れさせようとはしません。特別会計100兆円の中には必要性を疑いたくなるものも含まれており、これらを廃止すれば数兆円が浮くのです
予算を財務省任せにせず、1つ1つ中身を精査する仕組みを与野党は持つ必要があります。自民党の税制調査会など財務省の手の上で踊らされているだけであり、財務省案を追認するだけの組織でしかありません
ドバイに居座ったまま国会に出席しない議員もいますが、スキャンダル暴露だけでなく財政についてもしっかり勉強し、国会で議論してもらいたいものです。財政については情報公開もされているわけで、財務省のホームページや各省庁のそれを見れば、各官庁所管の特別会計についての情報も手に入ります
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