岡崎警察署留置場で暴行　被疑者死亡

事件を考える
留置場で被疑者に対し複数の警察官（留置係）が暴行を加え、結果として被疑者が死亡したと報じられています。なお、現時点で暴行と被疑者死亡原因が直接結びつくと断定されたわけではありません
この事件の前に、名古屋刑務所の刑務官２２人が受刑者３人に対し繰り返し暴行を加えていた件を取り上げたかったのですが、そちらの方は詳細がまだ報道されていませんので、後日あらためて取り上げるつもりです。名古屋刑務所では以前にも受刑者の暴行を加えたとして刑務官が逮捕・起訴される事件がありました。当時、監督官庁である名古屋矯正管区の人事を担当していた職員課長が心労のため自殺しています


愛知県警岡崎署（同県岡崎市）の留置場で無職男性（43）が勾留中に死亡した問題で、身体を拘束された状態の男性に、複数の署員が暴行していた疑いがあることが、県警関係者への取材で判明した。特別公務員暴行陵虐容疑に当たる可能性があり、県警は署員らから事情を聴くなどして調査している。
関係者によると、留置保護室内に設置された監視カメラに、複数の署員が横たわる男性に対し暴行するような様子が映っていた。それぞれ入室した際、問題の行為があったという。けがは確認されていない。男性は暴れるなどしたため保護室に移され、ベルト手錠や捕縄といった「戒具」で身体を拘束されていた。
また、男性は保護室に100時間以上収容されており、収容時間を延長する際の手続きに不備があったことも明らかになった。刑事収容施設法は、留置保護室への収容は72時間以内とし、継続が必要な場合は刑事施設の長（警察署長）が48時間ごとに更新すると定めているが、必要な手続きを怠っていたとみられる。
死亡した男性を巡っては、戒具による長時間の身体拘束や、男性に持病があったにもかかわらず薬を服用させていなかったことが既に判明している。同法は、自傷の恐れがある場合などに戒具の使用を認めているが、捕縄とベルト手錠には使用時間の規定はない。
同署や県警留置管理課によると、男性は4日午前4時35分ごろ、息をしていない状態で見つかり、搬送先の病院で約1時間後に死亡が確認された。司法解剖の結果、死因は腎不全だった。県警は薬を飲まなかったことと死亡の因果関係はなかったとみている。
（毎日新聞の記事から引用）


いつも書いているように、留置場を担当する警察官の中には現場で使えない問題児が含まれていたりします。有能な警察官であれば現場が必要とするわけで
留置場担当者全員を役立たずと断定はしませんが、警察署の中では質の低い職員が集まる場所です
まず投薬を怠っていたという点からして、被疑者の持病を配慮していなかったと推測されます（暴れたり興奮状態にある被疑者に薬を服用させるのは容易ではなく、後回しにしたという事情はあるのでしょう。が、拘束状態でも定期的に水を飲ませる必要があます。２時間に１度、３時間に１度でも水を与える機会に薬を服用させるべきでした）
戒具の使用について法務省の刑務所や少年院では、かなり厳格な規定があります。他方、同じ法務省でも入国管理の収容所は規定が杜撰であり、乱暴な戒具使用がまかり通っていました。そのため、収容した外国人が死亡する事件が相次いだのであり、現在では改善されているものと思います（確認できていません）
一般の方には想像できないかもしれませんが、覚醒剤を乱用して狂乱状態になったり、統合失調症の急性発作で自傷・自殺を企てる人間が留置場や拘置所に収容されます。なので、ある程度の実力行使、制圧は認める必要があります。でないと、収容した被疑者や被告人、受刑者らの身の安全を守れません。ただし、その一方で過剰な実力行使、暴力の問題がつきまといます
矯正施設の場合、保護房に収容したり戒具を使用したケースについては詳細な行動観察記録を残すよう義務付けられており、１５分に１度はその様子を記録して残すやり方です。おそらく警察の留置場では戒具を使用した場合、被疑者の行動観察記録を文書として記載していないのでは？
これでは留置場係のやりたい放題になってしまいます。今回は保護房の天井に取り付けていた監視カメラの映像が残っていたのですが、そうでなかったなら留置係で口裏を合わせ、被疑者が突然死したとの扱いで押し通したかもしれません
いずれにせよ、長時間の戒具使用は血流を妨げたり、エコノミー症候群のように血栓をつくって血管をつまらせる事態も予想されるのであり、慎重な判断と綿密な動静観察が必要です。戒具を使用して放置、では本件のような結果を招きます

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