大阪交番襲撃 飯森被告の控訴審が続く

2019年6月大阪府吹田市の交番で警察官を包丁で襲い拳銃を奪ったとして、強盗殺人未遂などの罪に問われた飯森裕次郎被告の控訴審が続いています。控訴審は被告の出廷が義務付けられておらず、飯森被告が出廷しないまま公判が続いています
飯森被告の意志による控訴審なのか、あるいは弁護人が無罪判決を勝ち取りたいので控訴したのか、どちらなのでしょうか?
一審判決では飯森被告の統合失調症を認めながらも、限定的な責任能力があったと判断して懲役12年の判決(求刑は懲役13年)を言い渡しています
控訴審で弁護人は、限定的な責任能力があったとした一審の判断は誤りで、飯森被告に責任能力はなく無罪にするか、または量刑不当であると主張しています
控訴審の初公判は7月であり、まだ続いています。7月の報道を貼っておきます


令和元年に大阪府吹田市で発生した交番襲撃事件で強盗殺人未遂などの罪に問われ、1審大阪地裁で懲役12年の判決を受けた無職、飯森裕次郎被告(36)の控訴審初公判が27日、大阪高裁(齋藤正人裁判長)で開かれた。弁護側が無罪または量刑不当、検察側が控訴棄却を主張。被告は出廷しなかった。次回期日は10月14日。
控訴審の公判で、弁護側は1審判決が採用した「限定的に責任能力はあった」とする被告の精神鑑定書について「誤診している」と主張。別の精神科医の意見書を提出し、被告の犯行当時の精神状態は刑事責任を問えない心神喪失か、鑑定書の診断よりも深刻な心神耗弱だったと訴えた。
1審判決によると、元年6月16日、大阪府警吹田署千里山交番の駐車場で警察官を包丁で多数回刺し、一時意識不明となる重傷を負わせて拳銃を奪い、丸1日逃走するなどした。
(産経新聞の記事から引用)


被害者である警察官は半年もの入院で4度の手術を受け、職場に復帰しています。が、肺の一部を切除したため呼吸に難があって階段の上り下りがしんどく、また両足を包丁で何度も刺されたため歩行も円滑にはできない状態だそうです。現場での勤務は無理なので、警察署内で事務仕事を担当していると報じられています
さて、1審の模様を報じる記事では飯森被告の統合失調症の程度について、詳しく報じられていませんでした。統合失調症(精神障害)という事情もあり、報道各社も記事にするのを控えたのでしょう
ただ、そこが一番重要なところですから素通りしたまま事件を語るわけにはいきません
公判を傍聴された方のツイッターやブログから、一審の場で明かされた飯森被告の症状・妄想について抜き出します

「見たことがなくとも、天皇陛下や北京原人も自分のことを殺しに来る。今まで会った人など、100万人以上が頭の中に浮かび、殴る蹴るなどの暴行を加えられ、触られる感触も痛みもある。うんこやしょんべんをかけられたら臭いもする」
「2009~2010年から精霊さんが現れてニート状態になり、2013年からさらに悪化した。心臓の痛みもある」
「黒い精霊さんに指示される。逆らうと痛みが出る」
「弁護人からは、裁判終わったら殺すからな、と頭の中で言われている」
「東京ドームで行われる野球の試合の観戦チケットを購入した。これは長嶋茂雄と原辰徳が幻覚に現れたためで、原を殺すように指示があったから。高橋克典のディナーショーのチケットも購入しているが、これも彼を殺せと指示されたから」
「初公判の1ヶ月前の公判前整理手続からは、裁判官・裁判員から暴行を受ける幻覚を見るようになった」
「被害者に対しては申し訳ない気持ちだが、頭の中では今でも戦っているし、母親も襲われているため心の底からは思っていない」

ただ、こうした妄想を語っている反面、犯行は極めて冷静・冷酷であり、偽の通報で交番の警察官を呼び出して交番に警察官が1人になったところで、包丁を持って襲いかかり拳銃を強奪しています。支離滅裂な状態で交番に押しかけ犯行に至ったのではなく、計画的な行動をしているのですから心神喪失とはみなされません。善悪を判断して自身の行動をコントロールできたとまでは言えませんが
犯行前は高校の元野球部員だった知人たちを殺害するつもりでいたのが、現在は警察官を憎悪の対象として「心の底から(申し訳ない)とは思っていない」と述べており、本当に犯行を悔いているとは思えないのであり、また誰かを敵意の対象にして殺害を企てる可能性があります
なので懲役12年が重すぎる、とは思えないのであり控訴棄却が妥当でしょう

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