服着た女性盗撮 犯罪であると最高裁判決

盗撮事件について最高裁の判断が1つ示されましたので取り上げます
都内に住む男性が町田市のアニメグッズ販売店で、女性の背後から臀部の辺りを小型カメラで撮影したところ、女性が気づいて声を発し、男は店員に追いかけられ捕まった事件です。男は一貫してわいせつ目的ではないと主張し争う構えを示したため、東京都迷惑防止条例違反で起訴されました。盗撮行為なので犯罪容疑を認めていれば罰金刑で済まされたであろう事件です
1審の東京地裁立川支部は被告弁護人は、「被告人は普通にしていても目に触れることができるようなAさんの横からの姿や後ろ姿を撮影したにすぎず、この行為は卑わいな言動にはあたらない」と無罪を主張した。判決では、被告の行為を「社会通念上、相当な行為(妥当な行為)とはいえない」と指摘しつつも、撮影された後ろ姿の動画について「客観的に見て、尻や太ももなどの特定の部位をねらい、それらを強調して撮影されたものとはいえない」と判断して、被告の行為は下品でみだらな「卑わいな言動」にあたらないと無罪判決を言い渡しています
2審の東京高裁では、「結果として性的意味合いのある部位が映っていなかったからといって、そのことだけで禁止行為にあたらないということはできない」として、動画の中身(写っていた部位)を重視して無罪とした1審の判断を厳しく非難した上で、「被害者や周囲の人から見て、衣服で隠されている下着などを撮影しようとしているのではないかと判断されるものについては、違法行為にあたると判断するのが相当」として、犯罪にあたるかどうかの基準には、動画の中身だけでなく、撮影を試みる行為についても考慮すべきだと指摘し、被告に懲役8か月を言い渡しています
被告側は高裁の判断を不服として最高裁に上告したわけですが、最高裁は東京高裁の判断を支持する判断を示しました


小型カメラで女性の尻付近をスカートの上から動画撮影したとして、東京都迷惑防止条例違反に問われた男性被告(52)の上告審で、最高裁第1小法廷(安浪亮介裁判長)は5日付の決定で、被告側の上告を棄却した。衣服の上からの撮影であっても条例が禁じる「卑わいな言動」に当たるとして、1審・東京地裁立川支部の無罪判決(2021年1月)を破棄して懲役8月の実刑とした2審・東京高裁判決(今年1月)が確定する。
小法廷は決定で「前かがみになった女性のスカートの裾と同程度の高さで至近距離からカメラを構えており、人を著しく羞恥させる行為だ」と指摘した。裁判官4人全員一致の意見。東京高検検事長として控訴審に関わった堺徹判事は審理から外れた。
(毎日新聞の記事から引用)


起訴された内容がはっきりしませんので、1回の盗撮行為だけで懲役8か月なのか、あるいは別に余罪があったのか不明です
被告は新聞配達員の52歳という人物ですが、小型カメラを持って若い女性の尻を撮影して回っていたようです。店の中であろうと路上であろうと、見知らぬ男性が後ろにピタリとついて尻を撮影していたら、誰もが不快な気分になったり羞恥心を覚えるわけで、痴漢されるのと同じです。まさに迷惑行為であり、有罪判決が下されるのが相当でしょう
ただし、過去には着衣の上から写真を取っただけなので犯罪には当たらないと無罪になった例もあります。今後はこの最高裁判決を踏まえ、着衣の上からの撮影だろう同意を得ないで行う盗撮は迷惑行為として立件されるケースが増えると思われます
なお、本件は盗撮する行為そのものが卑猥であると問題とされたケースであり、実際に撮影されたかどうか、動画や静止画像が記録に残っているかどうかは問いません
類似した問題としては「肖像権侵害」があります。みだりに容貌を撮影されたり、それを公開されないよう求める人格権の1つですが、判例として憲法判断として「肖像権」はいまだ確立してはおらず、あくまで個々の訴訟のケースで判断が下されているのが実情です

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