「集団ストーカー調査」で顧客を騙す探偵社摘発

インターネットの掲示板「2ちゃんねる」に特定の宗教団体の名前を挙げ、「集団ストーカー行為を繰り返している団体」と告発するような書き込みがしばしば見られるようになったのは20年以上前からでしょうか?
「集団ストーカー」とは個人の動静を監視するため、とある組織・団体が多人数で監視や盗聴を実施する行為であり、または監視されていると訴えるものです
ただし、本当に多人数で監視を続けている組織・団体が存在するわけではなく、ほとんどは「自分が監視されている。集団によるストーカー被害を受けている」という被害妄想です
その被害妄想につけ込んで、「集団ストーカー事件を解決します」と宣伝していた探偵社が、被害を訴える顧客から多額の探偵料を騙し取っていたとして社長らが逮捕されています


心神耗弱状態の相談者に不当に調査料を支払わせたとして、警視庁は22日、探偵事務所運営会社「マピオティブ」(東京都渋谷区)社長の安藤巨樹(なおき)容疑者(49)ら3人を準詐欺容疑で再逮捕し、発表した。3人は別の相談者からも同様に調査料を支払わせたとして同容疑で逮捕されていた。
生活安全総務課によると、3人は2020年8~11月、相談に来た50代女性が心神耗弱状態であることにつけ込み、調査料計約54万円を支払わせた疑いがある。同課は3人の認否を明らかにしていない。
同社は当時、自社サイトで「集団ストーカー被害解決」をうたっており、それを見た女性から「集団ストーカー被害を受けている」と相談を受けていた。
安藤容疑者らはそうした被害が実在しないと認識しながら、女性に対して「町内で班ができて当番制で嫌がらせしている」「これ以上被害が大きくなる前に対策をしたほうがいい」と助言し、「もう少しで犯人を捕まえられる。あと10万円くらい出せれば機材や人員を増やして証拠がとれる」として調査料を振り込ませていたと同課はみている。
同社は同様の手法で215人から計約1億3千万円を得ていたという。
(朝日新聞の記事から引用)


集団ストーカー被害を訴え、探偵社に調査を依頼する人が215人もいるというのは驚きです。恋愛沙汰から異性、あるいは同性へのストーカー行為を繰り返して逮捕に至る事件ばかり注目されますが、実はこの「集団ストーカー被害妄想」というのも社会問題の1つに挙げるべきなのかもしれません
窓の外から家の中を覗かれている気がするとか、間違い電話がかかってきたのを「監視者」が電話をしてきたと思い込んだり、玄関先の植木鉢が倒れているのを誰かによる嫌がらせだと決めつけたり、さまざまな思い込みから「自分は集団ストーカーの被害に遭っている」との妄想を抱え込むのでしょう。もちろん、そのようなストーカー集団は実在しませんので警察に被害相談を持ちかけても相手にされず、家族からも相手にされず、最後は探偵社に依頼して集団ストーカーの証拠を掴むしかないと、多額の探偵料を支払う結果になるのでしょう
探偵社から「そのような集団ストーカーが付け狙っている証拠はなかった」との報告を受けても納得できず、さらに別の探偵社に依頼をする…ことの繰り返しだと推測します
一人暮らしの高齢者とか、被害妄想を抱きやすいのかもしれません。高齢者ではなくても、さまざまな精神的葛藤を抱えていたり、情緒的に不安定だったり、育児に悩んでいたりする人が、被害妄想を膨らませ「集団ストーカー」なる幻想を生み出すとも考えられます
ただ、「集団ストーカーなどいない。誰もあなたを監視などしていない」と納得させるのは難しいのであり、日常生活の中のさまざまな不安や困難、迷いなどを1つ1つ取り除いて「安全で安心に暮らしていられる」と理解させる必要があります。1人暮らしの高齢者については家族が同居するとか、老人介護施設に入居させるとか環境を見直す工夫も必要でしょう。場合によっては心療内科を受診させ、不安に対処できる投薬療法を試みるのも1つの手でしょう

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