財務省が自賠責保険積立金6000億円を借りて返済せず

一般に方には大して興味のない話題だと思いますが、財務省が予算(歳入)不足を補うため、自動車の自賠責保険積立金5952億円を借り入れておきながら、返済を渋っている問題を取り上げます
国の財政は法律でその運用が細かく規定されており、勝手に他の予算を流用するのを禁じています。政治家や官僚の判断で、本来使い途の定められた予算を他の事業に注ぎ込んだりすれば財政運営がめちゃくちゃになるからです
しかし、財務省はそんな規定を無視して自動車の自賠責保険として強制的に徴収しているお金を、流用しているわけです(なお、流用にあたっては国会の承諾を得た、という形になっています)
しかも借りっぱなしのまま返済は遅々として進んでおらず、全額を返済する気がないのでは?と財務省のやり方を疑問視する記事がありましたので、一部を引用します


消えた6000億円! 自賠責保険の積立金を「借りパク」した、財務省の誠意なき態度と役人天国ニッポン
鈴木俊一財務大臣は11月11日、財務省が自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)7500億円のうち、5952億円を借りたまま完済していない件に触れた。その上で、「1回でお返しするのは無理な状況」として、完済するめどは立たないと釈明した。
このお金は、すべて「自動車・バイクを所有するユーザー = 国民」の積立金だ。財務省が返還しないために、2023年度からなんと自賠責保険が値上げされるのだ。
この問題については、筆者(日野百草、ノンフィクション作家)も当媒体で「「自賠責保険」値上げでドライバー大激怒! 積み立て6000億円踏み倒し、財務省はもはや脱法組織か」(2022年6月18日配信)として、
「政府および財務省は自動車損害賠償責任保険に加入するすべてのユーザーが支払ってきた積立金6000億円を直ちに国庫から全額、返金すべきだ。 被害者救済のために積み立てられている自賠責7500億円のうち、6000億円がいまだに財務省から返還されていない。それも20年も前からである。一般会計の補填(ほてん)であり、まったくの目的外利用であることは明白だ。それを歴代内閣も利用してきた。交通事故被害者団体などが声を上げ、ようやく2018年末、国土交通省(国交省)に返還を約束する覚書を交わしたが、2018年度の被害者救済事業の支出が23億円、2019年度が150億円と考えればまったく足りない」と書いた。
さかのぼれば、1994(平成6)年から1995年の2年間で約1兆2000億円を自賠責保険から借り入れており、第1次小泉内閣による規制緩和を経て、財務省による一般会計(国の基本的活動を遂行するのに必要な経費やそのための収入を経理する会計)の補填に使われて来た。
約15年間、返還に応じなかった時代もある。特に第2次安倍内閣、麻生太郎財務大臣の時代には事実上の「返還拒否」であった。
2018年末、国土交通省に返還を約束するも、2022年度は54億円だった。つまりこの額なら100年たっても完済できないことになる。かつて不動産会社がバブル崩壊で追い詰められ、4000億円の借り入れのうち51億円だけ返す約束を交わす(のち完済せず解散)という手口があったが、財務省が同じような手口に手を染めている。
(以下、略)


自賠責保険の掛け金を値上げさせる一方、財務省は自賠責保険の積立金を借り入れたまま返済しないという、ヤクザみたいな所業です
財務省が返還できないと称しているのは大嘘です
一般の方は知らないのでしょうが、国の予算には一般会計と特別会計の2種類があります。国会の予算委員会で丁々発止の論戦が交わされるのはもっぱら一般会計予算(約100兆円)についてであり、特別会計(約100兆円)については国会で議論すらされません。財務省に言わせると、「特別会計は使途が決められた予算であって議論の対象にならないから」との説明になります。が、実は違います
例として挙げると、財務省所管の特別会計には為替相場安定化基金が約117兆円もプールされています。これは円相場を安定させるため、外国為替市場に介入するための資金です。ただし、自国通貨安定のため為替相場に介入した場合、アメリカ政府が激怒し「為替相場を不正に操作している国」として報復される懸念があるため、日本政府・日本銀行は長年、円相場に介入してきませんでした。つい最近の急激な円安に対処するため、この安定化基金が使われたようですが、それでも約100兆円以上の残高があるのでは?
この為替相場安定化の基金を取り崩せば、自賠責保険から借り入れた6000億円近い資金はすぐに返済できるわけです
財務省は自分の手持ちの特別会計には手を付けず、他所の積立金を強引に借り入れているのであり、実に厚かましいと言わざるを得ません
特別会計としてプールされているさまざまな予算が、本当に必要かつ有用なものであるかどうか、精査しないと官僚の言うがままになってしまいます
為替相場安定のための積立基金なので他に流用はできないと財務官僚が言うなら、財政法を改正して特例を設けるなり、特別会計予算の組替えを国会が議決するなりすればよいのです。それが国会の仕事です

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