大分の女子高生を自殺に追い込んだ既婚教師 賠償請求へ

2019年1月、大分県の公立高校に通う女子高生が自殺を図り、一命は取り止めたものの意識不明の状態が続いているのだそうです
自殺を図った原因は既婚の担任教師と性関係を持つに至り、別れ話がこじれたためとされます。が、教え子である女子生徒を担任教師が弄んだ結果と断じて間違いないでしょう。妻子ある男性教師ですから教え子に手を出すなど教師として職業倫理に反しますし、社会人としても重大な落ち度と言わざるを得ません
生徒側は大分県を相手に損害賠償請求の訴訟を起こし、和解に漕ぎ着けています。大分県教育委員会は元担任教師(懲戒免職済み)に対し、負担を求め請求すると報じられています


担任教諭との不適切な関係に悩んでいた女子高校生が自殺を図った問題で、大分県教委は18日、和解で支払った解決金のうち、200万円を元担任に求償することを決めました。
この問題は2019年に県立高校2年の女子生徒が担任教諭との不適切な関係に悩んで自殺を図り、後遺症が残ったとして、保護者が県に損害賠償を求めていたものです。
県側は再発防止策を示し、500万円の解決金を支払うことで和解しています。
18日は県教育委員会が開かれ、元担任に対する解決金の求償について、審議しました。
県教委は「不適切極まりなく、許されざるもので、県の実質的な負担額を求償したい」と判断して、解決金のうち保険で支払われる金額を除いた200万円を元担任に求償することを全会一致で決めました。
(大分放送の記事から引用)


現職の公務員(教員も含む)が何らかの不法行為を働き損害が発生したとしても、この公務員を直接相手取って損害賠償請求を求める訴訟を提起することはできません。公務員を監督する官公庁、県庁、市役所を相手に訴訟を起こすことになります
他方、損害賠償に応じた官公庁、県庁、市役所は不法行為を働いて損害を発生させた公務員に対し、賠償金の一部の支払いを求める権利があります。これが求償権と呼ばれるものです
上記のような事例としては、大阪市立桜宮高校のバスケットボール部員が顧問である教師から体罰を繰り返され、自殺した事件があります。大阪市が自殺した生徒の遺族に損害賠償として7500万円と延滞損害金(裁判で争ったため支払い請求があった時点から判決まで時間がかかり、その分の延滞金約1200万円が加算)を支払ったのですが、バスケットボール部顧問だった元教師(懲戒免職)に対し、半額の4360万円の支払いを求めて提訴し、支払いを命じる判決が下されています
ただし、求償権を行使するかどうかは官公庁の判断によります
大分の自殺未遂の場合、元教師が積極的に女子高生を誘い出してホテルに連れ込み、性交渉を持っていたのが明かされており、都合の良いセックス相手として弄んでいたのですから、求償権を行使して請求するのは当然でしょう
記事を読んで、自殺を図った元生徒が意識不明の状態のまま長期入院しており、大分県側と500万円の解決金で和解したのはどうかな、と心配になります。親御さんとしては元担任に8000万円くらいの賠償を請求したいところでしょうが、説明したように直接元担任に請求はできません
追記:報道によれば、元教諭が求償権に基づいて支払いを請求された200万円を12月5日付けで県に納入したそうです

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