札幌女子大生殺害 嘱託殺人だったかどうか?

札幌市内のアパートで遺体となって発見さた瀬川結菜さんは本当に死を望んでいたのか、小野勇容疑者は嘱託殺人なのか、毎日新聞が記事を書いていますので引用します
現時点で瀬川さんがどのような悩みを抱いていたのか、報道されていません。故人の抱えた悩みを暴き立て、報道するのもどうかと思います
ただ、小野勇容疑者は瀬川さんが何を悩み死にたいと思っていたのか、具体的な事情は聞いていないまま絞殺に及んだ、と報じられており、犯罪立件に関しては重大な事実です
こうなると小野容疑者は瀬川さんの内面には立ち入らないまま、ただ自殺願望の人間を手伝う元自衛隊員で海外で傭兵をやっていたタフな男、を演じていただけ、という話になります


女子大生は本当に死を望んだのか 殺人か、嘱託か 死体遺棄事件
10月中旬に札幌市東区のアパートで北海道小樽市の大学生、瀬川結菜さん(22)の遺体が見つかった死体遺棄、殺人事件は、「殺してほしいと依頼されて殺害した」として、殺人罪よりも刑罰の軽い承諾・嘱託殺人罪の適用を求める弁護側と殺人罪の裏付けを進める警察、検察側の主張が対立する。専門家にポイントを聞いた。「被害者が直前まで本当に死にたいと思っていたかどうか。慎重な判断が必要だ」と言う。
事件を巡っては、札幌地検が殺人容疑で再逮捕された無職、小野勇容疑者(53)=札幌市東区=の刑事責任能力の有無を調べるため、16日に鑑定留置を始めた。期限は2023年2月13日まで。捜査側の最終的な判断は、この結果を待つことになる。
刑法は殺人罪と相手から同意を得て殺害する承諾・嘱託殺人罪を区別する。罰則は殺人罪が「死刑または無期懲役、もしくは5年以上の懲役」なのに対して、承諾・嘱託殺人罪は「6カ月以上7年以下の懲役または禁錮」と大きく異なる。
刑法に詳しい立正大学法学部・友田博之教授(54)は承諾・嘱託殺人について「被害者が本当に死を望んでいたのか、真摯(しんし)な承諾が二人の間に存在したのかが、罪名を判断する重要な論点だ」と指摘する。
承諾・嘱託殺人が認められたケースとしては、介護疲れなどを理由に親族を殺害した例が多数ある。友田教授は「夫婦のように両者の間に信頼関係がある場合が多く、容疑者の刑事責任能力や道徳性を考慮して不起訴になる場合もある」と話す。道内でも8月、札幌市白石区で夫を殺害した80代の妻が殺人容疑で逮捕された事件があった。札幌地検は承諾・嘱託殺人罪を適用後、心神喪失状態だったとして不起訴処分とした。夫婦ともに病気を抱え、将来を悲観していたという。
小野容疑者は今回の事件の約1カ月前の9月、SNS(ネット交流サービス)で瀬川さんと知り合ったとみられる。二人の間にどの程度の信頼関係があったかは不明だ。道警の見立ては、瀬川さんが死を望んでいなかった可能性があるというもの。この方向で、携帯電話の解析や友人らからの聞き取りを進めている。友田教授は「知り合ったばかりで年齢も離れている。(承諾・嘱託殺人の適用に)慎重な判断が必要だ」と指摘する。
(中略:座間連続殺人の白石死刑囚との比較)
小野容疑者は承諾・嘱託殺人を主張する一方、捜査関係者によると、「死にたい理由を詳しく聞かなかった」と供述しているという。ただし、友田教授は裁判例から「被害者の死にたい理由を知らずに殺したかどうかは、嘱託の有無と無関係」と指摘する。また「死にたいという思いを持つ人の感情は変化しやすい。たとえSNSで『死にたい』と伝えても、本当に死を望んでいるかは別。止めてほしいと思っている人もたくさんいる」として、被害者が置かれていた状況を総合的に考慮して、事件当時の心境を見極めることが重要とみる。
(毎日新聞の記事から引用)


小野容疑者は現在、精神鑑定を受けています
連日のようにSNSを更新し、「凄腕の傭兵だった自分」をアピールしている男が心神耗弱だったとは思えないのであり、刑事責任能力を欠くほど心身に異常をきたしていたとは考えられません。空想上の自分と現実の自分を取り違えるほどアイデンティティが混乱していたとも考えられないのであり、十分な現実検討能力を有していたと推測されます
なので、本件は承諾・嘱託殺人として扱うのではなく、あくまでも小野容疑者による殺人として扱うのが筋でしょう
瀬川さんが小野容疑者に自分の悩みを打ち明けようとしなかったのか、小野容疑者が瀬川さんの内面に立ち入ろうとしなかったのか、立証するのは困難です。瀬川さんが誰にも迷惑をかけず、心配もかけずこの世から消えてなくなりたいと願っていたとすれば、わざわざ小野容疑者の悩みを打ち明けたりはしないでしょうし、遺書も残そうとはしなかったはずです(遺書は見つかっていません)
また、自殺する理由・動機をしつこく尋ねてくるような相手に、自殺を手伝ってもらおうとはしなかったはずです
小野容疑者は瀬川さんの抱える悩みや自殺の動機に興味も関心もなかったのかもしれません

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