大阪倉庫放火で被害200億円 懲役12年判決
2021年11月、大麻市此花区の「日立物流西日本」の倉庫から出火した火災は放火によるもので、派遣社員として倉庫に勤務していた当時19歳の男が逮捕され、精神鑑定を経て起訴されていました
当ブログで取り上げた今年6月の時点で被害金額は80億円と報道されていましたが、それは建物分だけだったようで、倉庫にあった商品の損失も併せると被害額は200億円にもなるのだそうです
大阪市此花区の人工島・舞洲(まいしま)にある「日立物流西日本」の倉庫に放火したなどとして、現住建造物等放火などの罪に問われた元派遣社員の男(20)=事件当時(19)=に対する裁判員裁判の判決公判が14日、大阪地裁で開かれた。中川綾子裁判長は「生じさせた危険は重大で、被害も類を見ないほど多額」として懲役12年(求刑懲役13年)を言い渡した。
判決によると、昨年11月29日午前、舞洲の倉庫で段ボール製の台にライターで火を付け、延べ約5万3千平方メートルのうち約3万平方メートルを焼損させたほか、今年1月14日には、同市西淀川区にある同社の別の倉庫にも放火しようとした。
判決理由で中川裁判長は、舞洲の倉庫には当時、109人の従業員らがおり「死傷者が出ないほうが不思議といえる状況」だったと指摘。財産的被害も少なくとも計約200億円にのぼるとして「類を見ないほど多額で、多数の関係者に与えた派生的影響も計り知れない」とした。
また、男は同じ派遣社員の先輩から暴力や叱責を受けていたが、「被害を受けた多くは無関係な第三者。身勝手な考えによるところが大きい」と述べた。
(産経新聞の記事から引用)
大手物流企業「日立物流」ですから、保険はかけていたと思われます。が、倉庫内にあった商品まで全部火災保険でカバーできるはずもなく、会社側にとっては大きな損失でしょう。また、火災によって倉庫が使用できなくなったのですから、それだけ商売に影響が生じます
被告は派遣社員として送り込まれていたので、派遣会社は派遣社員が何かトラブルを起こして損失を与えた場合、賠償する責任を契約上負っていたものと考えられます。が、200億円も賠償金を払える派遣会社はないと思います。小規模な人材派遣会社であれば会社が吹っ飛びます
どこまで派遣会社が賠償するか、上限や責任の範囲が契約書に定めてあればともかく、そうでなければ会社同士で丁々発止のやり取りがあったのかもしれません。あるいは今後、訴訟によって決着を図る事態になるのか?
被告は損害賠償を請求されても支払えないので、自己破産を申請して免責を得るのでしょう
判決でも指摘しているように、倉庫内の作業員が火災に巻き込まれなかっただけでも不幸中の幸いです。複数人の死者が出たなら放火殺人で死刑を求刑されたに違いありません
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