保育園バス起き去り 元園長に執行猶予付き有罪判決
いまだに全国で保育園や小学校の送迎バスに園児や児童を置き去りにしたまま、運転者がバスから離れてしまう過失が繰り返されています
なぜ、運転者が車内を確認しようとしないのか、大いに疑問です。自分の住む地域にも幼稚園があり、複数台の送迎バスを運行させていますが、園児を下ろした後は運転者がきちんと車内を確認し、忘れ物がないかどうかチェックしています
運転者の資質の問題なのでしょうか?
さて、福岡県中間市の保育園で男児を送迎バスに置き去りにし、業務上過失致死罪に問われていた元園長、浦上陽子被告は禁錮2年を求刑されていたのですが、福岡地裁は禁錮2年執行猶予3年の有罪判決を言い渡しています。もう1人、起訴されていた保育士鳥羽詞子被告は禁錮1年6月の求刑に対し、禁錮1年6月執行猶予3年の判決となっています
福岡県中間市の保育園で去年7月、5歳の男の子が送迎バスに置き去りにされ死亡した事件の裁判で、福岡地裁は当時バスを運転していた元園長・浦上陽子被告(45)に禁錮2年(執行猶予3年)、保育士の鳥羽詞子被告(59)に禁錮1年6か月(同)の判決を言い渡しました。
バスに9時間置き去り、車内は50℃超えか
起訴状によりますと2人は去年7月、送迎バスを運転した後、園児全員が降りたことを確認せずにバスに鍵をかけ、5歳だった倉掛冬生ちゃんを熱中症で死亡させたとして業務上過失致死の罪に問われました。
冬生ちゃんは日中9時間もの間バスに取り残され、車内温度は、50℃を超えていたとみられています。
検察側は「同種事案の根絶は社会全体の課題」として元園長の浦上被告に禁錮2年、鳥羽被告に禁錮1年6月を求刑していました。
母親「時間が止まったまま」
これまでの審理で意見陳述した冬生ちゃんの母親は「これから、楽しいこと、つらいこと、いっぱい色々な経験をして、成長していくはずでした。冬生が味わった苦しみや恐怖を考えると、母親として二人に執行猶予が付くことは受け入れ難いです」と述べました。
裁判長「安全に配慮していないわけではない」
8日の判決で、福岡地裁の冨田敦史裁判長は「確実に降車させることは園児を預かる立場として極めて基本的な注意義務で結果は重大」と指摘しました。
一方で「日頃から声をかけあうなど安全に全く配慮していないわけではなく、焦る気持ちがあった」などとして、浦上被告に禁錮2年、執行猶予3年の判決を言い渡しました。
(RKB毎日放送の記事から引用)
裁判長の「日頃から安全に配慮していなかったわけではない」との指摘には疑問が残ります。保育園に中間市、福岡県が立ち入り調査に入り、福岡県警も捜査に入っています。当時の報道では送迎バスの運行の実態や、園児の出欠確認についてかなり杜撰さが目立つと指摘されていました
裁判長がどの部分を見て「安全に配慮していた」と理解したのかは不明ですが、本当に日頃からきちんと運営されていたのでしょうか?
今回は不幸な、たまたま偶然の事故だったのでしょうか?
交通事故における業務上過失致死事件と比較するのは難しいとしても、園児が送迎バスに置き去りにされ死亡したのは事実であり、園長や保育士が確認を怠った結果です。確認をしていれば防げた事故です。ならば、今回の1回限りの事故であっても重大な過失と判断するべきでしょう
執行猶予をつけるかつけないかを云々するつもりはありませんが、判決文の中で「安全に配慮していた」と断じてすべてのミスをなかったかのごとくするのは不可解です
執行猶予がついたからには、被害者家族との間で示談が成立していたと推測しますが、記事を読む限り被害者家族は判決に納得していません。検察は控訴しないと思いますので、刑事事件としてはこれで決着でしょう。被害者家族だけ、気持ちが整理できないまま取り残される結果になりそうです
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