アニメ「幼女戦記」に激怒した中国

国内でのさまざまな事件とその裁判にかまけて、ネタの宝庫であるレコードチャイナやサーチナといったメディアをしばらく見ていませんでした
久しぶりに記事を見ていたら、日本のアニメ「幼女戦記」が軍国主義を賛美する内容でけしからん、と批判するものがありましたので取り上げます
「幼女戦記」はライトノベルとして話題になり、その後テレビアニメとして制作され、劇場版も公開されています
ですが、以下の記事では「幼女戦記」で起用された声優までも「中国を侮辱した前科者」と槍玉に挙げられており、その器量の狭さが目に付きます


米華字メディア・多維新聞は15日、日本のあるアニメが「軍国主義を美化し、中国を侮辱している」として中国のネット上で物議を醸していると伝えた。
記事によると、問題視されているのは小説を基にアニメ化された「幼女戦記」。同作は、エリートサラリーマンが死後に20世紀初頭の欧州のような場所に少女として転生、軍人としてステップアップしていく様子を描くが、その内容から中国のネット上では軍国主義的だとの批判や、南京事件と重ね合わせて非難する声が上がっているという。
中国版ツイッター・微博(ウェイボー)のある認証アカウントは同作について「軍国主義を美化し、中国を貶める内容が大量に含まれているにもかかわらず、国内の正規ウェブサイトで配信されている(視聴には会員登録が必要)」と指摘。配信しているテンセント・ビデオ(騰訊視頻)、iQIYI(愛奇芸)をメンションし、「第2期の制作も進んでおり、数カ月後には全世界で放送される。まだ削除されていないのはとんでもないことだ」と主張した。
多維新聞の記事もこうした批判に同調しているようで、「(同作の声優の)早見沙織、戸松遥は中国侮辱アニメとして知られる『魔法科高校の劣等生』に出演したという“前科”があり、悠木碧は『幼女戦記』の興行を盛り上げるためにナチスを思わせる軍服を着て、日本の民衆の軍国主義感情をあおったことがある」などと伝えている。
また、今年8月15日の終戦の日前後には、中国の大手映画情報サイト・豆瓣(Douban)で宮崎駿の「風立ちぬ」や「紅の豚」、小津安二郎の「東京物語」、「戦場のメリークリスマス」といった作品に相次いで低評価や中傷コメントが付けられたが、記事はこれについても「第2次世界大戦に関わる日本映画は、制作チームの中に中国侵略戦争に関わっている人がいたり、ストーリーが中国侵略戦争に関係していることから不評を買った」と説明。「多くのネットユーザーは日本のいわゆる反戦映画は『反戦争』ではなく『反戦敗』であると批判している」と伝えた。
(レコードチャイナの記事から引用)


上記の記事にあるところの「風立ちぬ」にしろ、「紅の豚」にしろ、宮崎駿の趣味や関心事を作品化したものであり、中国人相手に歴史の講釈をしようと試みたものではありません。彼ら中国人が何をどう考えるのかは勝手ですが、そんな左翼教条主義的なものの見方しかできないとは情けない話です。よほど、心に余裕がないのでしょう
その余裕のなさが声優を槍玉に挙げて批判しているところにも現れています。悠木碧、早見沙織、戸松遥は日本を代表する声優であり、数多くの作品に起用される売れっ子です。彼女たちがたまたま出演した作品が「反中国」だとか、「軍国主義を賛美する」内容だとして、戦犯扱いするのは頭がどうかしているのでは?
中国メディアが日本のアニメを批判したからといって、その作品の価値が下落したりはしませんし、逆に中国アニメの評価が高まったりはしません
さて、記事では「悠木碧がナチスを思わせる軍服を着て、日本の民衆の軍国主義感情をあおったことがある」とありますが、おそらくアニサマのイベントで登場した際のことを書いているものと思われます。日本国民を扇動した、などという大げさなものではなく、アニメファンをいじっただけなのですが。動画を探したのですが見当たりませんでした
本編の予告を以下に貼っておきますが、登場人物が着ているのはドイツ国防軍の軍服を模した物であってナチス親衛隊の軍服ではありません。ドイツには国防軍という正式の軍隊と、ナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)の私兵としての軍事組織である親衛隊という2種類の軍隊があり、これをしばしば混同する人がいます。ユダヤ人虐殺といった行動をしたのはナチス親衛隊であり、国防軍とは異なる軍服を着用し、異なる兵装をしています

TVアニメ『幼女戦記』

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