王将社長射殺事件 工藤会幹部を逮捕
2013年12月、王将フードサービス社長が京都の本社ビル前で射殺される事件がありました。が、その後は捜査が難航し、犯人検挙に至らないままでした
京都府警は福岡を拠点とする暴力団工藤会幹部田中幸雄(別の事件で福岡刑務所に服役中)を容疑者と特定し、逮捕する見込みだと報じられています
王将フードサービスの社長だった大東(おおひがし)隆行さん(当時72歳)が本社ビル前の駐車場で銃撃されたのは2013年12月19日早朝。運転してきた車を降りた直後に撃たれたとみられ、発射された4発全てが急所に命中した。「銃の扱いに慣れたプロの手口だ」(捜査幹部)。そんな見方を強めて、初動捜査を進めた。
京都府警が着目したのは現場から走り去ったバイクだ。近隣の防犯カメラ映像をたどる「リレー捜査」で、14年4月、約2キロ先のアパート駐輪場で乗り捨てられたホンダ・スーパーカブを見つけた。射殺事件の2か月前に京都府城陽市内で盗まれた車両で、そのハンドルから銃を撃った際に残る硝煙反応が検出された。
アパート駐輪場の近くにはナンバープレートが付け替えられた不審なミニバイクも放置されていた。これは京都市伏見区の飲食店で盗まれたもので、2台が盗まれたのは同じ日だった。飲食店の防犯カメラには、福岡・久留米ナンバーの軽乗用車から降りた人物が盗む様子が映っていた。
府警が逃走用バイクの調達に軽乗用車を使ったとみて、その所有者の交友関係を調べる中で、名前が挙がったのが田中容疑者だった。田中容疑者と所有者は同郷だった。
◇
府警が当初から重要な証拠とみていたものがある。現場近くの王将本社別棟脇の通路に落ちていたたばこの吸い殻だ。
犯人は通路にバイクを止めて、たばこを吸いながら大東さんが出勤してくるのを待ち伏せしていたのではないか――。府警はそう見立て、通路から発見した数十本の吸い殻の付着物のDNA型を調べ、社員らのものと1本ずつ照合した結果、誰が吸ったのかわからないものが残された。
その吸い殻の付着物のDNA型と、田中容疑者のものが一致したのは15年6月頃。捜査は一気に進展するかに見えたが、たばこだけでは第三者が現場に捨てた可能性が排除できなかった。
府警は、火災の専門家に吸い殻の詳細な鑑定を依頼。事件当時、現場では小雨が降っており路面はぬれていた。専門家は、吸い殻の消え方や過去の研究データなどから、「ぬれた現場通路で消されたたばこであると推定できる」との鑑定結果をまとめた。田中容疑者が現場でたばこを吸っていたことを示すものだった。
(中略)
15年12月に暴力団組員が事件に関与した疑いが報じられたことを受け、反社会的勢力との関係を調べるため、同社が事件後に設置した第三者委員会は16年3月、報告書を公表。同社が05年までの10年間に特定の企業経営者と総額約260億円に上る不適切な不動産取引などを繰り返し、うち約200億円が王将側から流出、約170億円が回収不能になったことを明らかにしている。
大東さんは、こうした不適切取引の解消を進め、13年11月に内部報告書をまとめていた。しかし報告書は公表されず、その1か月後に大東さんは殺害された。
府警は田中容疑者から詳しく事情を聞き、事件の背景を含めて慎重に捜査を進める。
(読売新聞の記事から引用)
まだ田中容疑者の単独犯行なのか、工藤会による組織的な関与があったのか、誰が犯行を指示したのか、分からないことだらけです。が、警察が公表していないだけで、ある程度の事件の概要は掴めているのかもしれません
田中容疑者が現在服役しているのは、2008年にゼネコン「大林組」の社員の乗る車に拳銃を撃ち込んだ事件によるもので、懲役10年の刑が言い渡されています
犯行は銃撃した後バイクで逃走するという、王将事件とそっくりのパターンです
大手ゼネコン「大林組」従業員らが乗った乗用車が2008年に福岡市の路上で銃撃された事件で、銃刀法違反(発射)と器物損壊の罪に問われた指定暴力団工藤会系組幹部の田中幸雄被告(53)に対する判決公判が6日、福岡地裁であった。足立勉裁判長は懲役10年(求刑懲役12年)を言い渡した。
田中幸雄被告は工藤会系の元組員らと共謀して08年1月17日、同市博多区下川端町の路上で、大林組の社用車に拳銃で弾丸4発を発射し、フロントバンパーなどを壊した。従業員ら3人が乗っていたが、けがはなかった。
足立裁判長は、着衣や使った原付きバイクの特徴などから、田中被告が実行役として犯行に関与したと認定。直接の動機は不明としながらも、自分たちの利益のために同社を威迫する意図がうかがわれ、「反社会的な犯行として厳しい非難に値する」と述べた。
この事件をめぐっては、共謀関係にあった工藤会系の元組員(68)が懲役5年、元準構成員(44)が懲役3年執行猶予5年の判決を受け、確定している。
(朝日新聞の記事から引用)
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