和歌山県警巡査部長「どつき殺すぞ」で敗訴

警察官による取り調べが可視化されるようになり、威圧的な言動もビデオに録画されるようになりました。従来は取り調べ中に威圧的な言動を受けたと訴えても、裁判では警察がこれを否定するのが常であり、認められるケースは多くありませんでした
和歌山県警の和歌山北警察署に所属する巡査部長が取り調べ中に被疑者である男性に対し、「どつき殺すぞ」などと威圧的な発言を繰り返したとして176万円の損害賠償支払いを求める訴訟が起こされ、敗訴しています。30万円の損害賠償支払いが命じられています。この巡査部長の威圧的言動もビデオに記録されており、言い逃れは通用しなかったわけです


和歌山県警の取り調べ時に「どつき殺すぞ」などと暴言をはかれ、精神的苦痛を受けたとする男性が、県に176万円の損害賠償を求めていた訴訟は7日、和歌山地裁で和解が成立した。県が男性に30万円を支払い、県警が違法な取り調べを認めて謝罪する内容。この日、男性の代理人弁護士が明らかにした。
県警などによると、訴訟の原告は和歌山市の40代男性。2020年7月、和歌山北署の30代男性巡査部長から「泣かすぞこら」「切れさすんかほんま。暴れるぞ」などと暴言を繰り返されたという。取り調べは録音・録画されていた。
巡査部長は22年3月、和歌山簡裁から脅迫罪で罰金20万円の略式命令を受け、納付した。県警監察課は「和解内容も踏まえ、処分を検討する」としている。
(毎日新聞の記事から引用)


記事を解説すると、前段は被疑者である男性が民事訴訟で和歌山県庁に損害賠償を求めた件です。記事の後段は被疑者である男性が巡査部長から脅迫を受けたとして刑事告発し、刑事事件として和歌山簡易裁判所が巡査部長に罰金20万円の支払いを命じた件です
和歌山県警は和歌山県庁の組織ですから訴訟の対応は和歌山県庁が行い、損害賠償金の支払いも和歌山県庁が行います。まあ、和歌山県庁としては県警の不始末の尻拭いをさせられるのですから、たまったものではありません。結果として和歌山県議会に県警本部長が出席し、不祥事について謝罪を表明するのでしょう
個々の警察官の質を高める必要があるのは言うまでもなく、昔のように脅したりすかしたりして自白を強いる取り調べは通用しなと警察官が理解する必要があります
これとは別に、奈良県警では銃弾を紛失した件で1人の警察官を犯人扱いし、自白するよう強要を繰り返したとして訴えられています。結果として銃弾の紛失はなかったようであり、銃弾の管理がきちんとされていなかったのがそもそもの原因のようです。この件も警察署長の首が飛ぶ不祥事です
強い権限を与えられている組織だけに、その権限の行使には責任がつきまといます。自ら襟を正し、過ちを修正しなければなりません

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