埼玉交際女性殺害 初公判で「記憶がない」と主張

2020年7月、さいたま市で交際相手の女性を窒息死させた上に、その長女も殺害しようとしたとして傷害致死などの罪で起訴された無職、渡部晃正被告(60)の初公判がさいたま地裁(金子大作裁判長)で開かれました。渡部被告は「申し訳ないが覚えていない」と述べ起訴内容を否認し、弁護側は被告がアルコール依存症の影響で「心神喪失状態だった」として無罪を主張しています
またも「記憶がない」と主張する裁判です
まずは事件当時の模様を伝える「FRIDAY」の記事から引用します


「殺される! 殺される!」
埼玉県さいたま市に住む住民が、少女の悲鳴を聞いたのは7月2日の昼頃のことだった。住民が話す。
「極度におびえた表情で『助けて! 助けて!』と叫びながら、女の子がウチの窓をバンバン叩いていました。一目見て、その姿の異様さに驚かされた。上半身裸で、両手首を身体の前で縛られていたんです。その場で警察に通報しました。警官が来たのは、5分後ぐらいです。女の子はスグに保護されました」
少女の殺人未遂などで逮捕されたのは、さいたま市在住の職業不詳、渡部晃正容疑者(58)だ。渡部容疑者は7月2日午前中に、交際相手の熊田真奈美さん(46)宅に侵入。熊田さんの長女(10代)の首を締め、殺害しようとした疑いが持たれている。長女が助けを求めた近隣住民が警察に通報。逮捕にいたった。
「事件は、これで終わりません。県警が渡部容疑者の自宅を捜査すると、熊田さんの遺体が見つかったんです。死因は窒息。首には、強く絞められたような痕がありました。県警は熊田さんの殺人容疑でも、渡部容疑者を調べている。渡部容疑者には、過去にも交際した女性の首を絞めトラブルに発展していたことが明らかになっています」(全国紙社会部記者)
スイッチが入ると豹変
熊田さんと渡部容疑者も、交際関係にあったらしい。別の近隣住民が話す。
「昨年12月には、熊田さんの家で男性(渡部容疑者)の姿を見るようになりました。てっきり、3人家族の父親だと思い込んでいましたよ。優しそうな男性です。朝すれ違うと『おはようございます』と挨拶してくれるので、物腰の柔らかい人だなと感じていました」
ただ、この1ヵ月ほどは2人の間にいさかいが絶えなかったようだ。
「時々、ケンカをするような大声が聞こえました。『オマエ!』『この野郎!』と、男性がすごい剣幕で怒鳴って……。女性は『ごめんなさい。ごめんなさい』と、ずっと謝っていました。普段会う男性の穏やかな印象とのギャップに、驚かされました」(前出・住民)
今回の事件を受け、元兵庫県警刑事の飛松五男氏は「特殊な趣味を持つ容疑者の典型」と見立てる。
「おそらく渡部容疑者は、女性が首を絞められ苦しむ表情に快楽を感じていたのでしょう。しかも交際相手とのトラブルで不満が募り、強い快楽を求めるようになったのかもしれません。特殊な趣味を持つ人間の欲求は、一度受け入れるとどんどんエスカレートしていきます。こうした特異な殺害事件に私も何度かたずさわりましたが、犯人は普段丁寧でとても礼儀正しい。一旦スイッチが入ると、言動が豹変するんです。密室で行われることなので、防犯の難しい事件だと感じています」
(FRIDAYの記事から引用)


渡部被告は過去にも女性の首を絞めてトラブルになった(事件化されたかどうかは不明)とありますので、そうした特殊な性癖の持ち主だったのでしょう。事件当時、熊田真奈美さんの首を絞めただけでなく、長女にも襲いかかっており、両手を縛っていたところからすれば同じように長女の首も絞める気だったものと推測されます
ただし、事件は傷害致死として起訴されており殺人罪に問うているわけではありません。実際のところ、どれくらいの力で絞めれば死に至るのか、その加減を渡部被告が理解しコントロールできていたとは思えないのですが、殺人罪で起訴するのを検察は躊躇したのかもしれません
刃物で刺したなら傷の深さや刺した部位によって殺意ありと判断し、殺人罪で起訴するのでしょうが、首を絞めた場合は力加減がどうであったのか検証するのは困難で、殺意を立証するのは容易ではありません。骨が折れていたとか、致命的な損傷があれば別ですが
ましてや、渡部被告に首を絞めてセックスするという特殊な性癖があったとなると、ますます判断が難しくなります
当ブログではこれまでにも「(犯行時の)記憶がない」とか、「犯行は自分の中の別人格がやった」と主張する事件を取り上げてきました
犯行時の記憶がないと主張したのは日立市の親子殺害事件ですが、高血圧症による脳血管障害で脳の一部が損傷し記憶を失った被告に対し、裁判では死刑判決が言い渡されています。記憶がないのは事実としても、免責の理由にはならないとの判断です
解離性同一性障害を主張して「犯行は別の人格がやった。事件当時は心神喪失状態だった」と主張した西成看護師殺人事件では、犯行を行った人格も被告の人格の1つであるとして刑事責任ありと判断し無期懲役を言い渡しています
なので、渡部被告の「記憶がない」との主張が通用するとは考えられません

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