中国アニメは日本を超えたのか?

たびたび、「中国アニメは日本を超えた」と主張する記事を紹介しています。が、はっきり言って門外漢のジャーナリストなどが宣伝のため、中国アゲの記事を書いているだけであり、説得力に欠けるものばかりです
世界一うるさい日本のアニメファンを黙らせてしまうような、そんな傑作が次々と生み出される状況ではありません
またもダイヤモンド・オンラインが「『日本のアニメにはもう飽きた』アジアの消費者の中国推しが進む、本当の理由」と題する記事を掲載しています
執筆者はこれまた門外漢のベンチャー企業経営者です
何度か読み返してみましたが、中国アニメの何がすごいのかさっぱり伝わってこない内容です

「日本のアニメにはもう飽きた」アジアの消費者の中国推しが進む、本当の理由
(前略)
CGという第3の軸を持ち込んだ中国のアニメ業界
少し前までアジアで人気だったのは日本のアニメですが、私が住んでいる東南アジアでは『羅小黒戦記』や『狐妖小紅娘』など中国のアニメが人気となっています。日本のアニメ業界の関係者からすれば、それらは日本アニメの模造品かもしれませんが、アジアの消費者は、ハイテクのコンピューターグラフィックス(CG)を駆使した中国製のアニメを好んで観ています。今後は、人工知能によってストーリー自体も自動生成されることでしょう。
私はアニメの専門家ではありませんが、これまでにヒットしたアニメはキャラクターかストーリーが秀逸だったものと理解しています。それに対して、中国はCGという第3の軸を持ち込んでいます。大量のエンジニアを抱えている中国の特性を基にアニメ業界の工業化を一気に進めた結果、属人的ではない工業製品をアニメという形で大量生産しています。
アーキテクト思考の重要性が高まっている
他の業界でも同様の現象が起きていて、例えば米国で大人気のファッションブランドであるSHEINは中国国内向けには販売をしていない中国企業です。なお、SHEINの売上高は2.5兆円とも言われています。
グローバル化とデジタル化が急速に進展した結果、業界や国といった垣根がなくなり、それまでの常識が通用しなくなっています。アニメ業界にしても、日本アニメのレベルが落ちたというよりも、新たな競争環境に日本のアニメ業界が対応できていないと理解する方が自然です。
このような現象が世界中の多くの市場で起きている結果、人間の寿命と比較して会社の寿命が圧倒的に短くなっています。したがって、会社に依存して今あるものの延長で考えるのではなく、皆さん自身が、新しい世界をゼロベースで構想できる力である「アーキテクト思考」を身につけて、将来を構想することの重要性がより一層高まっているのです。
時代を変革するのは、よそ者、若者、馬鹿者
(中略)
アップルがiPodを発売した頃には、多くの日本企業が「アップルは自社でiPodを製造していないが、弊社の技術を使えば単体でiPodを製造できる」と豪語していました。その真偽は別として、日本ではiPod、その進化系であるiPhoneも生まれていないのが現実です。
イノベーションとは、既存の技術の組み合わせで新しいものを生み出すことですが、(更地に)ゼロベースで白紙に絵を描く「アーキテクト思考」の重要性が分かるエピソードではないでしょうか。
(ダイヤモンド・オンラインの記事から引用)


またしても「羅小黒戦記」です。この作品については当ブログでも何度か言及していますが、中国アニメにしては良い出来ではあるものの、日本のアニメ作品を超えたとは言い難いレベルの作品です。「狐妖小紅娘」はこの記事を読んで知った作品ですが、以下のような内容です
狐妖小紅娘 月紅篇

記事あるように中国アニメがゼロベースから新たな思考を積み上げてアニメを制作しているのではなく、アホ毛やケモ耳、もふもふのキャラクターと、日本アニメのフォーマットを忠実に模倣している作品で、新しさは皆無です。それに上記の記事で激賞しているところの、「ハイテクCGによる目を見張るような映像」を含んだ作品ではありません。せっかく記事本体で中国アニメのハイテクCGを駆使した映像を称賛しているのですから、それを含む作品名を挙げてもらいたいものです
確かにゲームのCGを彷彿とさせる動画で構成された中国アニメはありますが、それを見て「すげー、日本は負けたな」と思う人がどれだけいるのでしょうか?
いまさらグリグリ動くシーンを見せられても、それで感動するアニメファンはいません
そして毎度のように、「グローバル化とデジタル化が急速に進展した結果、業界や国といった垣根がなくなり、それまでの常識が通用しなくなっています。アニメ業界にしても、日本アニメのレベルが落ちたというよりも、新たな競争環境に日本のアニメ業界が対応できていないと理解する方が自然です」と筆者は何やら指摘した気分になっているわけですが、これまで多くの日中、日韓アニメ比較の記事を紹介してきたブログ主からすれば、すでに何度も目にしたセリフです
グルーバル化などまったく関係もなく、日本アニメは日本アニメとしてあり続けているのであり、それが「シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇」(興行収入102億円)、「劇場版鬼滅の刃 無限列車編」(興行収入404億円)、「劇場版 呪術廻戦 0」(興行収入137億円)という結果として提示されます
デジタル化とかグルーバル化といった、経営コンサルタントの好んで使うキー概念など、まったく無駄・無意味でしかないと判ります
東南アジアであのクソつまらない中国アニメが人気だとしたら、それはそれでお気の毒な話です。あんなものを見て何が楽しいのやら

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