旭川いじめ凍死事件9 いじめはあったが自殺原因は否定
旭川市のいじめ事件について、第三者委員会が最終報告をまとめ発表しています
凍死体で発見された廣瀬爽彩さんについていじめがあったと認める内容ですが、いじめが直接、廣瀬さんの死につながったものであるかどうかんついては「不明」としています
第三者委員会に学校内のトラブル、いじめ、自殺の調査を委ねるのが昨今の流行りではありますが、その時々にメンバーを集めて運用するのですから調査能力にはバラツキもありますし、公平公正な調査が行われるとは限りません。そもそもメンバーの選出も教育委員会が独断で決めていたりするので、人選が適切かどうかという問題もあります
旭川市のいじめ事件を調査した第三者委員会も教育委員会主導であり、その調査能力には疑問があります
去年3月、北海道旭川市の公園で凍死した当時、中学2年生の女子生徒のいじめ問題で、第三者委員会と旭川市教育委員会は24日午後、最終報告書に関する記者会見を開きました。
今月、公表された最終報告書の中で第三者委は、亡くなった廣瀬爽彩(ひろせ・さあや)さんに対する6項目のいじめについて、あらためて認めた上で、学校や市教委の対応を「法律違反になる」などと批判。
爽彩さんの死は「自殺」との見解を示しつつも、いじめとの因果関係は「不明」としていました。
24日午後、最終報告書の公表後、初めて開かれた会見で、第三者委の辻本純成委員長は、抑うつ状態での自殺とする凍死といじめの因果関係を不明とした理由の1つについて「遺族側に担当医との面談や通院時の医療記録の提供を求めたが、実際に提供を受けたのは、医療記録の表紙1枚のみで、報告書に記載した以上の踏み込んだ判断ができなかった」と述べました。
また、遺族側が「学校内での無視などをいじめとして認めていない」と指摘していることについては「生徒への聞き取りをした結果、文言通りの無視という状況ではなく、対象生徒が心身の苦痛を感じていたとしても、背景などを調べた上で、報告書でいじめとして取り上げるものではないと判断した」としました。
一方、4月の第三者委の中間報告まで、いじめについて認めず、遺族側だけでなく、第三者委員会からも対応を批判された市教委の黒蕨真一・教育長は「学校および市教委にいくつもの問題が指摘され、遺族や市民に大変なご負担と不安をかけた。一連の事態を招いたことの責任をとる」として、24日付けで辞任したことを明らかにしました。
(HBC北海道放送の記事から引用)
遺族側が医療記録を提供しなかったと書かれていますが、それは第三者委員会の調査に不信感を抱いた結果です。遺族に対し何ら情報提供もしないまま、第三者委員会が一方的にあれを提出しろ、これを出せと要求したところで、遺族が応じるはずはありません。遺族側と守秘義務について協定を結んだ上で、第三者委員会の保有している情報の一部を提供して信頼関係を構築するべきだったのでは?
遺族側の言い分が週刊文春によって記事になり、全国的に知られる事件になった経緯があるため、第三者委員会(教育委員会を含む)が疑心暗鬼になり、遺族に情報を渡すと週刊誌に書かれると過剰に警戒したためかもしれません
結局、教育委員会主導の第三者委員会の調査結果に遺族側は納得できず、旭川市の市長直轄で新たに第三者委員会が新たに設けられると決まりました
なお、引用から省略した記事の中で、第三者委員会は辻本委員長は「私たちは弁護士なので、裁判のことを考える。裁判で使う『相当因果関係』という意味では、いじめと亡くなられたことについて因果関係があるとは言えない。ただ、それはあくまで裁判での損害賠償に関わる話のことなので、それ以外の部分で、いじめと死が無関係だったとは言えない」と述べたと伝えられています
が、これも随分とおかしな言い分です。第三者委員会は裁判所ではなく、警察でもないのですから
行政機関に代替して公平な調査(教育委員会は利害関係があるので調査主体として不適格)を実施するものです。なので、「こうした一連のいじめが繰り返された結果、廣瀬さんを精神的に追い詰め自殺を選択せざるを得ない状況に至らしめたとの結論に当委員会は達した」とすれば足りるのであり、「因果関係」を個別、具体的に証明する責任を負うものではありません。あくまで第三者委員会として入手した資料や証言によって判断すればよいのです。後日、民事訴訟になれば、それは弁護士なり裁判所の役割です
辻本委員長は第三者委員会の報告書が不当なものとして裁判の対象となり、その妥当性が争われるケースを想定して逃げた、と思われます
あるいは最初に教育委員会から、「いじめによる自殺とは認定しないでくれ」と言い含められていたのかもしれません
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