少年院教官 少年にビール与えて停職処分
嫌なニュースが入ってきました。愛知少年院は戦前の海軍航空隊基地の兵舎の建物を使って、愛知少年刑務所として発足した施設です。その後、特別少年院となり、現在に至っています(もちろん、建物は建て替えられいます)
少年院の教官にしろ、刑務所の刑務官にしろ、被収容少年や受刑者との接し方には最大の注意を払うよう教育を受けます。つっけんどん、ぶっきらぼうではいけませんが、なれなれしく接するのはもっとも戒められるところです。距離が近すぎれば取り込まれてしまい、受刑者に利用される危険があるためです
愛知少年院の若い法務教官が少年を手懐けるため菓子を与えていたのが、足元を見られあれこれ要求されるがまま使役される関係になり、缶ビールを与えたり私物のスマートフォンを貸し与えていたと発覚し、6カ月の停職処分を受けた挙げ句依願退職しています
愛知県豊田市にある少年院の25歳の法務教官が、少年院に入っている2人に、菓子を与えたり、スマートフォンを貸したりしたなどとして、停職6か月の懲戒処分を受けました。
懲戒処分を受けたのは、豊田市にある「愛知少年院」で職業指導や生活指導を担当していた25歳の男性の法務教官です。
少年院によりますと、この教官は、去年10月上旬からことし5月上旬にかけて、少年院に入っている2人に対して菓子を与えたり、私物のスマートフォンを複数回貸したりするなどの不適切な行為を行っていたということです。
教官は「相手が反抗的になり、立場が逆転して指導できない状態になった」などと話し、事実関係を認めているということで、少年院は16日付けで停職6か月の懲戒処分にしました。
教官は辞職願を提出し、承認されたということです。
愛知少年院の谷村昌昭院長は「このようなことが2度と起きないよう研修などを通じて職員の指導を徹底し、失った信頼の回復に努めます」とコメントしています。
(NHKの記事から引用)
元少年院に勤務していた者としては、忸怩たる思いがします
被収容少年や受刑者との距離を謝ると取り込まれ、利用され、使役されるようになると書いたのは、そうした実例が少なくない数存在するからです
ただ、新採用の若い教官に過去の事例を出して戒めても、「自分はそんなことにはならない」と聞き流す者がいて、なかなか浸透しない現実があります
例えば戦後、最悪の不正事件として法務省内で語られているのが松山刑務所事件です。あのホステス殺害事件で整形手術により容姿を変え逃亡を続けた福田和子受刑者も被害を受けた1人です。当時、福田和子は男友達とホテルからテレビを盗んだ疑いで逮捕され、松山刑務所に併設された拘置所に勾留されていました。
当時の松山刑務所は地元暴力団員が刑務官を篭絡し、刑務所でやりたい放題を重ねていた時期でした。刑務所内の通行鍵を受刑者である暴力団員が持ち歩き、拘置所区画に入り込んで女性被告を強姦するという有様で、関与したとされる刑務官のうち2人が後に自殺しています
この以外にも、拘置所の刑務官が暴力団員に頼まれて手紙を勾留中の被告にこっそりと手渡し、見返りに飲食の接待を受けた事例もあります
今回はスマートフォンを貸したとありますので、スマートフォンを使って誰かと通話していた疑いが浮上します
飴玉1つ与えれば相手を従わせられる、などと安易に考えるとこうした結果になるわけで、きちんと距離を保ち節度を持って接するように心がけてもらいたいものです
上記の記事では25歳の教官の処分だけが記載されていますが、現場の責任者(係長クラス)から院長まで監督責任を問われ何がしかの懲戒処分を受けたはずです
(関連記事)
岩手県警巡査部長 留置場のわいせつ行為で懲役3年
岩手県警巡査部長 留置場で女性に強制わいせつ
留置場でわいせつ行為 警察官に懲役2年6月の実刑判決
少年院出の15歳が殺人 懲役10年以上15年以下の不定期刑
少年院出の15歳が殺人 心理鑑定実施
少年院出の15歳が殺人 自首を諭され逆ギレ
少年院出の15歳が殺人 保護処分か刑事処分か
ストーカー殺人の少年が出所後また殺人未遂
西尾ストーカー殺人の少年 出所後再犯で懲役1年8月