神宮外苑「ジャングルジム火災」 元学生への有罪判決破棄

2016年、日本工業大学の学生が明治神宮外苑のイベントに出品したジャングルジム状の作品は、こどもたちが直接触れ、遊べる仕様でした。しかし、その作品に照明用のライトを後から付け足した結果、作品と一緒に置かれていた木屑が加熱されて発火し、中で遊んでいた幼稚園児が焼け死に、助けようとした父親も重度の火傷を負う事故がありました
日本工業大学は父親と民事上の和解に至っていますが、父親は息子の死に納得できず学生への処罰を訴えてきました(大学の指導教授は不起訴処分)
1審東京地裁は当時学生だった2人の被告に対し、執行猶予付きの禁固刑を下していましたが、2審の東京高裁はこの原判決を破棄し、簡易裁判所へ事件を送付する決定を言い渡しています。重過失致死罪に問うた東京地裁の判断は誤りであり、罰金刑が相当の過失致死罪で審議すべきとの判断です(当然、簡易裁判所で罰金刑が言い渡される結果となり、刑罰がぐんと軽減されます)


東京・明治神宮外苑のイベント会場で2016年11月、木製オブジェが燃え、遊んでいた幼稚園の男児(当時5歳)が死亡した火災で、重過失致死傷罪に問われた日本工業大の元男子学生2人=当時未成年、現在は24歳と25歳=の控訴審判決で、東京高裁(大善文男裁判長)は13日、ともに禁錮10月、執行猶予3年とした1審・東京地裁判決(21年7月)を破棄した。高裁判決は、罰金刑が法定刑の上限である過失致死傷罪にとどまるとし、簡裁で審理をやり直す必要があると判断した。
元学生2人は控訴審で、1審に続き「火災の発生は予見できなかった」などと無罪を主張していた。
1審判決によると、同大工学部建築学科の1年生だった2人は大学の有志らとともに、木製のジャングルジムを大量の木くずで装飾したオブジェ(高さ最大約2・7メートル、幅最大約3・8メートル)をイベントに展示した。オブジェの監視役だった2人は16年11月6日午後5時ごろ、投光器をオブジェ内部で点灯させたまま放置。約15分後に投光器の白熱電球に接触した木くずから発火し、オブジェは全焼した。中にいた男児は焼死し、助けようとした父親は顔などに3年近い治療期間を要する重度のやけどを負った。
(毎日新聞の記事から引用)


照明用に用いたのは白熱電球を使った投光器です。ライトアップしてきれいに見せる狙いがあったのでしょうが、一面にまかれていた木屑に引火する可能性は考慮しなかったわけです。白熱電球ですから人の手で触れないほど高温になりますし、紙や木屑などに触れれば発火します
なので、学生の過失は明らかです。ただ、東京高裁は過失致死罪で裁かれるべきとの言い分です
民事で和解が成立していますので、死亡した男児の逸失利益を勘案した慰謝料、父親の医療費、休業補償など日本工業大学が支払っているのでしょう
ただ、人の命が失われた火災(当事者が注意を払っていれば防げた火災)で罰金程度の刑罰として処理してよいのか、どうか?
これでは息子の命が、「罰金50万円程度の価値しかない」と言われるのも同然であり、父親としては納得し難いものがあると推測します
日本工業大学は父親の要望を受け入れ、建築学科の学生に対し安全を優先すべきとの授業を実施しており、この事故が学生たちの意識向上につながるよう祈るばかりです

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