妻子3人殺害の男を逮捕 心中か?
妻と小学生の娘と息子を殺害して逃げていた男が逮捕されてました。父親が小学生の娘と息子を自分の手で絞め殺すという陰惨な犯行なのですが、動機が「妻と口論してカッとなった」という、身も蓋もないものです(田中大介容疑者が現時点で語っているというだけで、それが本当の動機なのかどうかは断定できません)
愛知県犬山市の山中で車の中から小学生のきょうだいが遺体で発見され、その後、同県扶桑町の自宅で母親の遺体も見つかった事件で、県警犬山署は13日、父親で職業不詳、田中大介容疑者(42)=同町小淵=を妻への殺人容疑で逮捕した。「妻と口論となり、カッとなって殺した」と容疑を認め、きょうだいの殺害への関与もほのめかしているという。
逮捕容疑は今月8~9日、自宅で妻智子さん(42)の首を絞めて殺害したとしている。田中容疑者は事件後、行方が分からなくなっていたが、13日午前9時半ごろ、親族に付き添われて同署に出頭した。田中容疑者の首と腕には切り傷があり、「自分で傷つけた」と話しているという。
事件は9日に発覚。犬山市の山林に止められたワゴン車内で田中容疑者の長女で小学4年の千結(ちゆ)さん(9)と長男で小学1年の十楽(とら)さん(6)が、自宅で智子さんが、それぞれ遺体で見つかった。司法解剖の結果、千結さんは胸を刺されており、死因は心臓の周りに血液がたまって圧迫する「心タンポナーデ」、十楽さんと智子さんは首を圧迫されたことによる窒息死だった。
(毎日新聞の記事から引用)
親子心中というのは日本だけに見られる固有の事件、との見方があります。海外で親子心中がどれだけあるのか、統計上の数字は把握していないので何とも言えないのですが
ただ、親子心中といってもその背景、事情などはさまざまであり、一括りにして語れるものではありません
類似した犯行としては福岡県警の警察官がパチスロにのめり込み、妻との関係も悪化した挙げ句、妻とこども2人を殺害し自宅に火をつけた事件がありました。中田被告は冤罪を主張し、なお精神的な不調も言い訳にしていましたが死刑判決が確定しています
他方で、2005年に起きた中津川一家6人殺傷事件のような、特異なケースもあります。地方公務員だった男が実母との険悪な関係に悩み、妻や娘など親族5人を殺害し、1人に重傷を負わせた後自殺を試みるも死ぬ切れず、逮捕された事件です
検察は親族を巻き込んだ身勝手な犯行と断じ死刑を求刑したのですが、岐阜地裁は「犯行は私利私欲目的でなく、ことさら残忍な殺害方法を用いていない。長年に渡る母からの嫌がらせで精神的に追い詰められていた。また被害者も極刑を望んでいない。再犯の可能性もない」として無期懲役を言い渡しています。この裁判で特筆すべきは、「一家心中だから罪一等を減じる」との判断が示されたところです
つまり「心中であれば3人殺しても5人殺しても生き残った犯人は死刑にはしない」との理屈です。もちろん、殺人を心中に偽装した犯行は別です
ただし、この判決には批判も多く、最高裁の小法廷(判事は5人)で無期懲役とする原判決が支持され確定したものの、裁判長を務めた判事は反対意見を述べています
当ブログでも取り上げた、2017年の日立母子殺人事件で妻とこどもの6人を殺害し、自宅に放火した小松博文死刑囚は自身も火傷を負ったものの現場から逃げ、心中とは認められませんでした。小松死刑囚は逮捕後、高血圧症のため危篤状態となり脳に障害が残り、記憶を失ってしまったのですが、死刑判決が確定しています。記憶を事後的に失ったとしても、その人格(本人の命)でもって償うべし、との考えです
上記のように心中にまつわる事件はさまざまな様相があり、刑罰を巡って議論が定まらない実情があります
今回の事件はどう扱われるのか、今後の捜査や裁判に注目しましょう
検察は親族を巻き込んだ身勝手な犯行と断じ死刑を求刑したのですが、岐阜地裁は「犯行は私利私欲目的でなく、ことさら残忍な殺害方法を用いていない。長年に渡る母からの嫌がらせで精神的に追い詰められていた。また被害者も極刑を望んでいない。再犯の可能性もない」として無期懲役を言い渡しています。この裁判で特筆すべきは、「一家心中だから罪一等を減じる」との判断が示されたところです
つまり「心中であれば3人殺しても5人殺しても生き残った犯人は死刑にはしない」との理屈です。もちろん、殺人を心中に偽装した犯行は別です
ただし、この判決には批判も多く、最高裁の小法廷(判事は5人)で無期懲役とする原判決が支持され確定したものの、裁判長を務めた判事は反対意見を述べています
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