大和市男児殺害 次男に続き三男殺害容疑で再逮捕

自分で生んだこどもを次々と殺害した容疑がかけられている上田綾乃被告についての続報です。当時小学1年生だった次男を殺害した疑いで逮捕、起訴されている上田被告が、三男も殺害したとの容疑で再逮捕されています
上田被告には4人のこどもがいましたがいずれも死亡しており、上田被告の手によって殺害された可能性が大です
こどもは母親の所有物ではなく、1人の独立した人格を有する存在です。勝手に殺害してよいはずもなく、その犯行の異常さが際立っています
再逮捕を報じる記事と、今年2月の週刊女性の記事の2本を貼ります


神奈川県大和市で小学1年の次男を殺害したとして殺人の疑いで母親が逮捕・起訴された事件で、神奈川県警は31日、三男に対する殺人の疑いで、無職の上田綾乃被告(42)を再逮捕した。容疑を否認している。
再逮捕容疑は、平成29年4月5日午後1時過ぎごろから同2時過ぎごろまでの間、自宅で三男の康生君=当時(1)=の鼻と口をふさぎ、窒息死させたとしている。
県警によると犯行時、自宅には上田容疑者と康生君の2人だけがいたとみられ、上田容疑者が自ら119番通報した。遺体に不審な点があったことからその日のうちに病院から警察に通報があり、死因について調べが進められていた。
上田被告には康生君を含めて、4人の実子がいたが、生後1年未満から7歳までの間に全員が死亡している。大和市は、上田容疑者が子供に危害を加えて注目を集めようとする「代理ミュンヒハウゼン症候群」である可能性も想定し、過去に家庭訪問などを実施していた。
(産経新聞の記事から引用)


「雄大は素直ないい子だったよ。うちには大きな水槽があって、そこにいる金魚をよく見に来ていた。だけど、自宅にいるより、児童相談所(以下、児相)にいる期間のほうが長かったかな……」
男性は戸惑いの表情を浮かべていた。
2月20日、神奈川県警捜査一課と大和署は、同県大和市の自称看護助手の上田綾乃容疑者(42)を逮捕した。19年8月6日、自宅アパートで次男・雄大くん(当時7)の鼻と口をなんらかの方法で塞ぎ、窒息死させた殺人の疑いだった。事件が起きた日、容疑者みずからが“(子どもが)突然、苦しみだした”と119番通報したのだが、
「司法解剖の結果、口などの皮膚にはがれたような跡があり、後頭部には強い力が加えられたような皮下出血があった。さらに、雄大くんに異常があってから、通報までには40分ほど時間が経過していたという不審な点もあった」(全国紙社会部記者)
取り調べに、綾乃容疑者は容疑を否認しているという。
「実は雄大くんは生後4か月のときにも心肺停止で病院へ搬送されて一命をとりとめています。その後はしばらく児相に引き取られていた」(同・社会部記者、以下同)
20年ほど前、容疑者には前夫がいて、その間に2人の子どもがいたのだが、
「長男は生後5か月でミルクの誤えんで、長女は生後1か月で乳幼児突然死症候群で共に亡くなっていた。その後、前夫と離婚して、現在同居する男性との間に雄大くんが誕生したんです」
“代理ミュンヒハウゼン症候群”の疑い
2子の死を不審に思っていた児相が、雄大くんの命を守るために一時保護。
「その後、雄大くんは自宅に戻るも、同居の男性との間に生まれた第4子が1歳5か月で死亡し、再び児相が雄大くんを一時保護しました」
児相が横浜家庭裁判所に施設入所措置を申し立てるも却下。一時保護が解除された9か月後に、雄大くんは死亡。
「県や市は、容疑者に“代理ミュンヒハウゼン症候群”の疑いがあるとみていたが、結局は命を守ることはできなかった」(前出・社会部記者)
代理ミュンヒハウゼン症候群とは、いったいどのようなものなのか。児童虐待や犯罪学に詳しい南部さおり・日本体育大学教授はこう説明する。
「77年に小児科医が発表した虐待の一種。子どもに対する複雑な虐待で、人格障害などがベースにある人もいれば、精神的な問題のない人もいます。虐待で何らかの精神的な満足を得るとされていて、子どもに危害を加えて医療者には虚偽の報告をしてバレないように細工する知性があり、冷静沈着に行動することもできます」
この特徴からも“代理ミュンヒハウゼン症候群は精神疾患ではない”と南部教授は断言。
「刑事責任は問われてしかるべきです。今回は、突発的に雄大くんを殺害した上で、自分が疑われないために救急車を呼び、病死を装っていると考えられます」(南部教授)


上田被告の凄惨な生い立ちについては前回触れましたので繰り返しません。自身の生い立ちの不幸を再現するかのような犯行を繰り返し、そこで何がしかの満足感を味わおうというのでしょうか?
こどもを殺してしまいたいという衝動が上田被告の中に湧き出して彼女を犯行に走らせ、それでも心の中に空いた穴は満たされず、さらなる犯行へと駆り立てられたのか?
上記の記事にもあるように代理ミュンヒハウゼン症候群とは表に現れる症状(犯行)で分類された症例であって、統合失調症のような精神病ではありません。なので、上田被告が責任能力を欠いた前後不覚の状態で犯行に至ったのではなく、正常な状態のままこどもを殺害したと考えられます。ただ、何が上田被告を犯行へと駆り立てたのか、衝動の正体を上田被告自身が認識していたかどうかは難しいところであり、彼女がそれを言語化して供述できるとは思えません
どうあれ、精神鑑定を実施して詳しく調べるしかないでしょう。精神鑑定抜きには検察官も起訴状を書けないのでは?(裁判の冒頭に検察官は起訴状の朗読をするのですが、犯行の経緯をそれなりに理路整然と示す必要に迫られます)
追記:上田被告については検察側の判断ですでに精神鑑定が行われていました。ただ、上田被告が犯行に至った心的力動がこの事件を読み解く鍵になるため、弁護側が「検察の実施した精神鑑定は不十分である」として新たに精神鑑定や心理鑑定を請求するかもしれません

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