少年院出の15歳が殺人 懲役10年以上15年以下の不定期刑
福岡の商業施設で出会ったばかりの女性を刺殺した少年に対し、福岡地裁は懲役10年以上15年以下の不定期刑を言い渡しています
不定期刑は未成年者に対する刑罰として適用されるもので、成人の被告人に不定期刑が科せられることはありません
刑務所に収監し、その後の生活態度(専門用語では行刑成績と称します)に応じて仮釈放にするかどうか、判断します。逆に刑務所内でケンカや反抗(専門用語では抗命と称します)を繰り返せば満期として15年で出所になります
福岡市の大型商業施設で2020年、女性客を刃物で刺して殺害したとされる当時中学生だった少年の裁判員裁判は、少年に対する処分が「刑罰」か「保護」かで争われていましたが、福岡地裁は「更生の可能性が高いと見ることは困難」「保護処分とするのは社会的に許容しがたい」として、懲役10年以上15年以下の不定期刑判決を言い渡しました。
「主文。被告人を懲役10年以上15年以下に処する」。
事件当時中学生だった少年が殺人の罪などで起訴され、公開の法廷で裁かれた異例の刑事裁判。17歳となった少年への処分が、「刑罰」なのか「保護」なのか裁判所の判断が注目されていましたが、福岡地裁は「刑罰」を科すのが相当と判断しました。
判決によりますと、当時中学生だった17歳の少年は2020年8月、福岡市中央区の大型商業施設で、面識のない21歳の女性を包丁で何度も刺して殺害するなどしました。これまでの裁判で起訴内容に争いはなく、争点は、少年に対する処分の内容でした。
刑事処分か保護処分かが争点に
検察側は少年が過去にも保護処分を受け、少年院などの施設を出入りしていたことから、「保護処分では更生の見込みは非常に乏しい」「更生が可能でも事件の重大性などから保護処分は許容されない」などと主張。刑事処分である懲役10年以上15年以下の不定期刑を求めていました。
一方、弁護側は、少年の生育環境が悪く、虐待を受けた経験が事件につながったとし、「これまでの施設では投薬治療のみで不十分だった」「再犯を防ぐためには適切な治療などが必要」と主張。医療少年院で治療を受けさせるべきとして、少年法に基づく家庭裁判所への移送を求めていました。
「刑事罰」とした判断の理由は?
午後3時から始まった判決で福岡地裁の武林仁美裁判長は「更生の可能性が高いと見ることは困難」と指摘しました。
「長期間複数の施設や少年院で処遇を受けたにもかかわらず、粗暴傾向が改善されないまま残虐な事件を引きおこしている。保護処分によって更生する可能性が高いとみることは困難である」
また、保護処分とするのが許されるかについては、「見ず知らずの被害者に対する通り魔的な、非常に残虐で凶悪な犯行で、社会に与えた影響も大きい」「人格的な未熟さや生育歴などを理由に保護処分を受けることは社会的に許容しがたい」と述べ、少年に対し懲役10年以上15年以下の不定期刑判決を言い渡しました。
(RKB毎日放送の記事から引用)
極刑(死刑)を求めていた被害者遺族は不満でしょう。が、18歳以下の少年に死刑を科すのは法令上認められていません
弁護人は控訴するかどうか、被告少年と話し合うとコメントしており、判決を受け入れるかは不明です。少年院送致が妥当だと主張していましたので、控訴するのではないかと思われます
被告少年は判決公判前のメディアとの取材(拘置所での面会)で、「めんどくさい」とか「(裁判が)早く終わって欲しい。刑務所でも少年院でもどっちでもいい」など投げやりな発言を繰り返しており、内省が深まっているようには感じられません。また、被害者遺族への謝罪は相変わらず拒否しており、「適当に言葉を並べて謝罪するのは違うと思う」と語っています。殺人が悪いと理解はしていても、それと遺族への謝罪は別だ、と考えており、この辺りは「家族」というものへの不信感、拒絶が根深くわだかまりとして心の内に存在している気がします
(関連記事)
少年院出の15歳が殺人 粗暴な少年にクレーマーな親
少年院出の15歳が殺人 心理鑑定実施
少年院出の15歳が殺人 自首を諭され逆ギレ
少年院出の15歳が殺人 初公判を前に
少年院出の15歳が殺人 保護処分が刑事処分か
少年院出の15歳が殺人 あまりに短絡な犯行
ストーカー殺人の少年が出所後また殺人未遂
西尾ストーカー殺人の少年 出所後再犯で懲役1年8月
石巻3人死傷事件を考える2 人格障害
石巻3人殺傷事件を考える6 死刑判決
石巻3人殺傷事件を考える7 死刑判決批判の愚
光市母子殺害事件 最高裁も死刑判決支持
光市母子殺害事件で福田死刑囚が再審請求
光市母子殺害犯 再審申し立てるも棄却
木曽川長良川連続リンチ殺人の少年被告3人に死刑判決
木曽川長良川連続リンチ殺人を考える 暴走する少年
木曽川長良川リンチ殺人を考える3 再審請求
4人を射殺した永山則夫を聖人視するメディア