少年院出の15歳が殺人 粗暴な少年にクレーマーな親

福岡の商業施設のトイレ内で面識のない女性を包丁で滅多刺しにして殺害した、犯行当時15歳の少年の公判が続いています
小学校時の担任が証言に立ち、「手がつけられないほど粗暴な少年だった」と証言した上で「父親や祖父もクレーマーで度々学校にねじ込んでくる人物だった」と語っています
通常、裁判に小学校時代の元担任が呼ばれ証言するなど稀なケースです。が、元担任を証人として招いたのは少年の弁護人であり、生育環境の劣悪さを裁判官に印象付ける狙いで証言を求めたのでしょう。つまり、生育環境の劣悪さを少年本人のせいにするのではなく、切り離して考えるべきだと
ただし、裁判官がどう受け止めるかは不明であり、一種の賭けのようにも思います


少年の元担任「命を狙いに来ている」「学校教育の限界を完全に超えた」
質問は、初公判で弁護側が読み上げた、少年が小学4年生の時に担任だった女性の供述調書をもとに始まった。
少年の元担任の女性:少年は、父・母・姉・兄との5人家族。少年は家庭環境に問題があった。
父親からは電話でのクレームが度々あり、「お前が来い! お前の対応が悪いから子どもが言うこと聞かないんだ! お前を辞めさせてやる!」と言われた。母親は、自分で家事ができない。料理ができない
さらに、祖父についても…
少年の元担任の女性:祖父は学校運営協議会の会長で、クレーマーだった。少年が車のドアに挟まれたとき、「先生のせいにして、カードを買ってもらう。ケガが証拠になる。おじいちゃんに言って先生をやめさせる」と言うことがあった
そして、少年本人について元担任の女性は「少年は、人間関係を冷静に見ることができる」と見ていた。九州南部で生まれ育った少年は、弁護側によると、小学校2年の頃から学校でよく暴れるようになり、3年生の頃には成人向けの精神科に入院したが、暴力性が治まることはなかったという。
少年の元担任の女性:少年は、数えきれないくらいの問題を起こした。教諭に対して、殺すぞと暴言を吐く。女の子の髪を引っ張る、腹を蹴る。ほかの児童の首を絞める。首を絞めた場面では、教諭が仲裁に入ったので大事には至らなかったが、少年を見て、命を狙いに来ていると感じた
さらに、少年についてこのように続けた。
少年の元担任の女性:暴力を振るうのは、自分よりも体の小さい男の子や、女の子など。暴力を振るう相手を選んでいた。少年は学校教育の限界を完全に超えていた。事件を聞いた時、「少年ならやりかねない」と思った
(テレビ西日本の記事から引用)


少年院に勤務経験のある者として、この少年を更生させられるかどうかと尋ねられれば、「やってみなければ分からない」と答えるしかありません。過去の成功例がこの少年にも当てはまる、などという安易な考えでは通用しないのであり、あれこれ試して何がこの少年の心に響くか探るしかないのでしょう
その意味では、自分が勤務していた時代の少年院は型にはまりすぎており、柔軟性を欠いていたように思います
少年を集団で管理するため、どうしても一定の型にはめて動かそうとするのが先行し、個別的な働きかけは二の次になるからです。頭の良い少年、目鼻の効く少年は巧みに集団の中に溶け込み、与えられた役割をこなすことができます。しかし、不器用な少年や融通の効かない少年は集団に馴染めず、トラブルを頻発させます。集団にうまく溶け込んだ少年は成績良好として仮退院に漕ぎ着けるわけですが、果たして更生したかどうかは別の話です
この少年は集団に溶け込めずトラブルを頻発させる側でしょうから、従来通りの矯正教育の手法は通用しないと予想します
ただ、「扱いが難しい少年」というのは決して珍しくはなく、少年院にはいつも「扱いが難しい少年」が複数名いるわけで、あの手この手で働きかけを続け、放置したりはしません(漫画なら、暴れる者を少年院の中の厳重な独房に監禁し、そのまま数ヶ月も放置するような描写が登場しますが)
医療少年院であれば収容継続して最長、26歳まで収容は可能ですが、それで100%更生させられるなどと考える少年院の職員はいません。やってみなければ誰にも結果は分からないのです

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