少年院出の15歳が殺人 心理鑑定実施
福岡市の大型商業施設で2020年8月、当時21歳の女性を包丁で滅多刺し(刺し傷は15箇所)にして殺害した容疑で起訴された、犯行当時15歳の少年の裁判が始まっています。前回取り上げた公判の模様を1問1答形式で報じた記事がありましたので、そちらをまず貼ります
<被害者側弁護士からの質問>
続いて被害者側の代理人の弁護士が質問に立ちました。
◆弁護士「あなたがこの事件に向き合っていると思えない。変われないからですか?」
◆少年「人間クズはクズのまま変われないと思う」
◆弁護士「更生したい?」
◆少年「できないと思う」
◆弁護士「なぜ?」
◆少年「人はそんなに変われないと思う」
<裁判長からの質問>
◆裁判長「あなたの大切な人が殺されたらどうする?」
◆少年「すぐ仕返しに行きますね」
◆裁判長「自分の大切な人が殺された遺族には何か言わないといけないんじゃないですか?」
◆少年「それとこれとは別なので、特に思わない」
◆裁判長「きのうの(裁判で)ソーシャルワーカーの調書で『少年ならやるだろうと思っていた』とあったが、どう思った?」
◆少年「よく分かっているなと思った」
◆裁判長「家庭裁判所の審判で『1人くらい死んでも構わない』と言った理由は?」
◆少年「それほど他人の死に、あまり興味がなかった」
少年は事件後、被害女性の遺族に宛てて2回、謝罪文を書いたといいますが、送ってはいませんでした。
この謝罪文について裁判長はー。
◆裁判長「遺族への手紙は本心?」
◆少年「…本心ではなかった」
◆裁判長「なぜ手紙を書いた?」
◆少年「そうした方がいいかなと思って書いた。形として謝罪文を残した方がいいと思って書いた」
(テレビ西日本の記事から引用)
少年が遺族への謝罪を拒否している点について、前回触れました。中津少年院を仮退院する際、当初は母親が引き受ける予定でしたが「経済的な事情で困難」と拒絶に転じています。本当のところは経済的な事情ではなく、厄介事を起こす少年を引き受ければまた事件となり、親の責任として損害賠償を請求されるのを危惧したのでしょう。実の親であっても引き受けを拒絶するのは珍しくはありません
少年の方は自分が厄介者扱いされていると感じ取っており、それが親(家族)への敵意となり、さらには被害者遺族への反感に転化しているものと考えられます
なので、弁護士に勧められて謝罪の手紙を書いたものの、投函はしなかった(できなかった)のでしょう
さて、12日の公判では福岡地裁の職権で心理鑑定を担当した山梨県立大の西澤哲教授(臨床心理学)が証人として立ち、「(保護処分での)治療的養育が妥当だ」と述べています
多くの場合、弁護側が情状酌量の材料にするため心理鑑定の実施を求め、犯行に至った経緯や心理的な力動を説明させます。しかし、今回は裁判所が心理鑑定を行わせるという異例の展開です
西澤教授はいわゆる行動療法の系統だと思われますが、虐待を受けたこどもへの治療プログラム実施などで実績のある専門家です。少年は西澤教授との面接で質問を拒絶することなく、あれこれ話ができたようで、悪に染まりきった偏屈な少年ではないとの印象を与えたようです
ただし、刑事裁判は刑罰を科す場であり、今回の裁判で再び「少年院送致が相当」だとして家庭裁判所へ送り返すとは思えません。検察は断固として刑事処分を科すよう主張し、懲役刑を求刑するはずです。少年が更生するかどうかは本人次第であり、検事や裁判官の責任ではないのです
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