吉野家「生娘シャブ漬け戦略」を考える
小中学校の授業は文部科学省の学習指導要領に従い、どの教科書を使用して何を習得させるか、細部まで決められています。学習指導要領という枠組みに沿って全国どこの小中学校でも同等の教育が受けられるようになっているわけです
しかし、大学の講義となると教員に委ねられている場合が多く、どのような教材を使い、何を学習されるかは教員次第となります
「〇〇学概論」などと銘打たれていても、中身が伴っていない場合も珍しくありません
さて、早稲田大学では社会人向け「デジタル時代のマーケティング総合講座」と題し、吉野家の取締役を講師として招聘し、講義をさせたのですが、そこで「生娘シャブ漬け戦略」なるものを披露し轟々たる批判を浴びました
「吉野家」常務取締役・企画本部長だった伊東正明は解任され、自身の「生娘シャブ漬け戦略」について何ら説明しないままですが、その後、受講していた社会人女性らが抗議活動をしていますので取り上げます
牛丼チェーン「吉野家」の元常務取締役が講師として登壇した社会人向け講座で「生娘シャブ漬け戦略」など、女性を蔑視(べっし)する不適切な発言をした問題で、早稲田大学は「学外講師への注意喚起が不十分だった」として、再発防止策を公表した。
登壇を依頼する際には、偏見に基づく言動や人権侵害、ハラスメントに該当しうる言動は厳に慎むよう注意喚起し、契約書にも同様の条項を追加する。講座中に不適切な発言が確認された場合は、早大ウェブサイトに公表し、講師を辞めてもらうなどとした。
(読売新聞の記事から引用)
6月20日、実際に講座を受講した女性らが吉野家と早稲田大学に対して▽意識改革▽セクハラなどの実態調査▽コンプライアンスのルール策定や教育の徹底ーーなどを求める2万9200筆の署名を送付した。
署名の送付前に記者会見を開いた受講生の女性は、問題となった発言について「発言者を解任することで幕引きとなったが、発言者本人だけでなく吉野家や早稲田大学の組織としての課題がゼロとは言えません」と指摘。
その上で、「お飾りのハラスメントガイドラインやダイバーシティ推進では意味がない。日本社会で学び、働くすべての人が平等に安心して活躍できる環境づくりを求めたい」と訴えた。【金春喜 / ハフポスト日本版】
発言者の解任で幕引きに
ことの発端は4月16日に早稲田大学が開講した社会人向けの「デジタル時代のマーケティング総合講座」で飛び出た発言。若い女性をターゲットにしたマーケティング手法を「生娘をシャブ漬け戦略」と言い表したのは、講師として登壇した吉野家の常務取締役企画本部長(当時)だった。
「田舎から出てきた右も左も分からない若い女の子を無垢・生娘のうちに牛丼中毒にする。男に高い飯を奢ってもらえるようになれば、絶対に(牛丼を)食べない」と説明したという 。
発言のあった講座を受講した女性は、発言を聞いて「怒りに震えた」と振り返る。「38万5千円も払って受講しようと思ったのは、履修証明が発行される講座のため、質が間違いなく担保されていると期待したから。講座初日から、どこでも聞いたことがないレベルの差別発言を聞き、誰も止めないことがショックだった」
発言はネット上で拡散し、批判の声も上がった。これを受け、吉野家は公式サイトに謝罪文を掲載し、「当該役員が講座内で用いた言葉・表現の選択は極めて不適切であり、人権・ジェンダー問題の観点からも到底許容できるものではありません」との見解を示した。
講師は吉野家ホールディングスの執行役員と、吉野家取締役から解任された。
講座を主催した早稲田大学も、公式サイトに謝罪文を公開した。
発言について「教育機関として到底容認できるものではありません。早稲田大学として受講生の皆様に心よりお詫びするとともに、当該講師に厳重に注意勧告を致します」とした上で、講師については「講座担当から直ちに降りていただきます」と説明していた。
(中略)
吉野家ホールディングスと吉野家の河村泰貴社長に宛てた文書では、「講義の中では、今回の差別発言が株式会社吉野家社内であたかも日常的に使用されているかのような言い回しが散見され、発言者個人のみの問題であるというより、組織文化が醸造した影響がゼロとは言えないのではないか」と指摘。
「全ての人が安心して働ける環境を整える義務がありますし、消費者に対しても安心してサービスを享受できるよう真摯な対応が必要」として、同様の発言が日常的に使用されていなかったかについての実態調査や、コンプライアンスルールの策定などを求めた。
(ハフポスト日本版の記事から引用)
「コンプライアンスルールの策定とか、牛丼屋に難しい要求をするなよ」と、「吉野屋」の役員たちはボヤいているのでしょうか?
まあ、どこかのコンサルタントに丸投げして立派な「コンプライアンスルール」を作成させるものと思います。実効性があるかどうかはともかく、お金さえ払えば面倒くさいコンプライアンスルール37箇条とか、意識改革のためのガイドラインとか、教育プログラムなどいくらでも作れる時代です。ただ、役員や管理職にそれが浸透するかどうかは別の話です
早稲田大学の方はどうなのでしょうか?
マンモス大学になり、教員や講師の数も増え、個々の講義の中身や質までチェックが及んでいないのでは。もともと大学教育の場は教員任せの気風があり、他人の講義内容をとやかく評したり、訂正を求めるようなケースは稀でしょう。社会人向け講座であって学生向けの講義ではないとしても、事前に指導案なり授業計画を提出させ、内容に目を通しておく必要があったと思います
講師任せにした結果がこれです。が、早稲田大学の対応は講師をクビにしただけで、本気で改善しようという意欲が見えません
さて、これと類似した事件が、東京五輪開会式演出を巡るドタバタ劇です。電通の元CMディレクターだった佐々木宏が自分の実績をひけらかし、渡辺直美をブタにして登場させたらウケる、などという馬鹿げた演出案をゴリ押して批判を浴び、降板した件です
自身のアイディア、実績に執着し、周囲の意見など無視して突っ走ってコケるパターンです
マーケティングの失敗例として、早稲田大学は社会人向け講座で取り上げるべきでしょう(皮肉です)
ただし、マーケティングの成功例だけ並べて学習しても十分な成果は得られないのであり、失敗例も研究する意義は十分にあります
(関連記事)
吉野家常務「生娘シャブ漬け」発言でクビ
渋谷区副区長 新人女性議員を「ブタ」呼ばわり
渡辺直美をブタに 組織委員会が文春にブチ切れ
渡辺直美をブタに 五輪開会式演出を乗っ取る者とは?
渡辺直美をブタに 東京五輪演出家佐々木宏とは?
渡辺直美をブタに 五輪開会式演出騒動の不快感
渡辺直美をブタに 五輪開会式演出騒動
新入社員を自殺に追い込む研修 ゼリア新薬工業
追手門学院で研修という名のパワハラ
「すき家」でストライキ?
社訓を暗唱できない者はクビ、という会社
採用内定辞退を強要 「くら寿司」のブラック度
「餃子の王将」 スパルタ研修で批判される
日立の企画本部長がチンチン出して逮捕 その後は
日本IBM元社長が盗撮で逮捕
ワタミ過労死事件 「責任はないけど金は払う」態度
ワタミ会長 ブラック企業呼ばわりに反論
ワタミ過労自殺 いまだ会社側は説明せず