三島由紀夫を盗作した韓国作家 どうなったのか?

時折、新聞の文化欄で「韓国文学がすごい」とか、「日本の純文学は衰退しているが、韓国文学は台頭が目覚ましい」、「日本の書店でも韓国文学が人気」という記事を見かけます
ま、受け止め方はそれぞれなので、批判する気はありません。ただ、韓国は本が売れない国であり、純文学の新刊が飛ぶように売れる事態は想像できません(村上春樹の新刊くらいでしょう)
さて、そんな韓国文学の旗手として華々しく登場したのが女性作家申京淑でした
しかし、2015年に発表した小説「伝説」が三島由紀夫の「憂国」を盗作したものと露見し、各方面から叩かれる事態になりました。なお、日本語のWikipedia「申京淑」のページにこの盗作事件はまったく言及されていません
当ブログでも申京淑による盗作事件について書きましたが、その後どうなったのか気になったので調べてみました
朝鮮日報日本語版の記事によれば、出版社と編集者が盗作疑惑を否定して開き直り、申京淑擁護に乗り出した、と書かれています。誰が読んでも盗作だと分かるものを、「あれは盗作ではない」と言いくるめようとする朝鮮論法が発動したわけです


【記者手帳】三島「憂国」盗作騒ぎと未必の故意
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/09/05/2015090500543.html
韓国の女性小説家・申京淑(シン・ギョンスク)氏の盗作問題にあらためて注目が集まっている。盗作が問題となった小説を出版した創作と批評社が、編集人と編集主幹名義で盗作を事実上否定し始めたからだ。
同誌の編集人でソウル大学名誉教授の白楽晴(ペク・ナクチョン)氏は27日、自らのフェイスブックを通じ「盗作疑惑が指摘された部分に、疑いの目が向けられるだけの類似性があることは確認したが、これを意図的なもの、つまり破廉恥な犯罪行為であると断定することには同意できない」と主張した。
これに先立ち編集主幹で延世大学教授の白永瑞(ペク・ヨンソ)氏も同誌秋季号の巻頭言で「問題の作品の中に、盗作疑惑を呼び起こすに十分な類似性が見られるという事実は認めるが、その類似性を意図的盗作によるものと断定することはできない」との見方を示した。
この結果、この問題はまた原点に戻ってしまった。今年6月、申氏が自らの短編小説『伝説』に日本の極右作家として知られる故・三島由紀夫氏の短編小説『憂国』の一部を盗用したとの疑惑が表面化した直後、出版元の創作と批評社が「問題とされる文章に類似性は認められるが、作品全体に占める割合は低いので盗作ではない」との立場を表明したところ、批判の高まりを受けてこの見方を1日で撤回した経緯がある。
その創作と批評社が今回、再び盗作の否定に乗り出したわけだが、その主張のポイントは要するに「『見た目』はそうかもしれないが、『意図』はなかった」ということだ。この言い分は非常に巧みで絶妙なものだ。しかし批判する側が問題としているのはそのような点ではない。「誰が見ても盗作」と見えるものを「そのような意図はなかった」という論理で批判をかわそうとしているところに問題があるのだ。
このままだとこの問題は迷宮入りしてしまうだろう。文章を読んでそれを評する人間は、それを書いた人間の心の中まで見ることはできないし、また人間は誰でも自分の思いが自分でも分からない時が多い。これは現代の科学が教えるところでもある。
この問題を最初に指摘した小説家のイ・ウンジュン氏は、問題となった申氏の『伝説』の文章と、詩人のキム・フラン氏が翻訳した三島由紀夫の『憂国』の複数の文章とを比較し、その上で「世間の常識」に判定を求めた。
その結果はどうであったか。ここで全ての名前を挙げることができないほど多くの作家が、イ・ウンジュン氏の提起した盗作疑惑に同意した。当の申氏でさえも「盗作との指摘は正しいのかもしれない」と語った。しかし申氏はその一方で「私も自分の記憶が信じられない」ともコメントしたため、とても素直に反省しているようには見えなかった。
(中略)
ただしたとえそうだとしても「誰が見ても盗作に見えるもの」を「意図的ではなかった」という一言で片付けるのは、どう考えても厚顔無恥だ。刑法にも「未必の故意」という言葉がある。多くの知識と経験を持つ作家や創作と批評社の高名な関係者たちであれば、当然誰もが知っている言葉だろう。


2015年の記事です。朝鮮日報日本語版の記事は数年で削除され、読めなくのが常ですが、この記事は長くウェッブサイトで閲読可能になっています。朝鮮日報は盗作事件を苦々しく思っているのでしょうし、その思いは記事の文面から十分に伝わってきます
「意図的な盗作ではない」との弁解も作者である申京淑が申し開きとして述べるならまだ分かりますが、編集者らが躍起になって主張するのはかえって不可解です。申京淑の頭の中でも覗いて確認したのでしょうか?
他人の家に上がり込んで家財道具を盗んでおきながら、「意図的な窃盗ではない」と主張しても通用しません
盗作騒動がスッキリとした解決を迎えられなかったのは申京淑が上記の記事にもあるように、自身の盗作をはっきりと認めず「三島由紀夫の小説は読んだことがないのに、盗作と言われて驚いた」とか、「自分の記憶が信じられない(盗作をしたのかしなかったのか、記憶がない)」などと曖昧な主張を繰り返したためです
結果として、日本では出版社が申京淑の作品から手を引いてしまい、新たな翻訳が出なくなりました。折角翻訳・出版しても盗作だと騒がれ、販売を中止して回収しなければならない作家の作品など地雷も同じで、とても出せません
申京淑は作家活動を再開しているようで、近況が報じられています
申京淑さん『父のところに行っていた』トークイベント
https://k-book.org/publishing/20210623/

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