新潟の中学生 美術品破壊の波紋
修学旅行に出かけた新潟市立黒埼中学校の生徒が美術館の展示品を破壊した事件の続報です
作者であるクワクボリョウタさんは寛大な方で、破壊した生徒を咎めず、「作品はまた作れる」と発言しています。それはともかく、責任はやはり軽率で愚かな行動をした生徒にあり、きっちりと問うべきでしょう。庇い、隠すのが教育ではありません
ただ、新潟市長の会見を読む限り、事態収拾を焦って勘違いしているのではないか、という気がします
新潟市の中学生が修学旅行中に大地の芸術祭の作品を壊した問題で、新潟市の中原八一市長は「責任を果たす」と話し、十日町市と協議していく考えを示しました。
【新潟市 中原八一 市長】
「心からお詫びを申し上げたいと思います」
10日、会見で謝罪した新潟市の中原八一市長。
今年4月、修学旅行をしていた新潟市の中学生が十日町市の美術館に展示されていた大地の芸術祭の作品2点を壊しました。
このうち、クワクボリョウタさんの『LOST#6』は全壊し、修復ができない状態に。
美術館側は警察に被害届を提出し、十日町市は新潟市に損害賠償を求める方針です。
【新潟市 中原八一 市長】
「現在、警察による捜査が行われているというふうに承知している。その結果をまずは待つとともに、十日町市と損害賠償について協議を進め、新潟市としての責任をしっかり果たしていきたい」
一方、中原市長はインターネットなどで生徒たちへの誹謗中傷が相次いでいると指摘。市では生徒たちの下校時の見守りを強化していて、今後、スクールカウンセラーの派遣も検討する方針です。こうした中…
【クワクボリョウタさん(SNSより)】
「誰でも若いうちはちょっとした失敗をするもの」
クワクボリョウタさんが9日、自身のSNSでコメントを発表。
「今回結果だけ見れば一線を越えていたかもしれませんが、誰かに怪我を負わせたわけでありません」と生徒を擁護し、作品の作り直しにも意欲を示しています。
新潟市は今後、修学旅行などでの児童・生徒の事前指導を徹底する方針です。
(新潟総合テレビの記事から引用)
新潟市の中学生がしでかした不祥事に、市長が迅速に対応するのは当然と思われる方もいるでしょう
しかし、当ブログで繰り返し指摘しているように教育行政(生徒間のいじめ、教師の体罰も含め)は市長の所管ではなく教育委員会の所管になります。なので、教育委員会を差し置いて市長が前面に出るのはどうか、と感じます。本件でも会見して釈明するのは教育長の役割です
もちろん、新潟市の市長は教育委員会任せにせず、迅速かつ誠実に事態を収拾しようしている点は評価できます。が、原因究明や修学旅行での引率に問題はなかったのか調べるのは教育委員会の責任であり、仕事です
さらに「警察の捜査が行われているので、教育委員会は何もできない」との考えは大間違いであり、教育委員会は引率教師から事情聴取ができるはずです。仕事をしない理由を「警察が捜査中だから」と、責任を転嫁しているだけです
そもそも、警察による捜査がすべてに優先する、などという規定は憲法にありません。警察権が教育行政より優先されるというのは勘違いです(過去には、教育現場には警察といえども介入できない、などという教師の勘違いもありましたが)
非常事態でもなく、人が殺されたわけでもないのですから、警察権と教育行政のどちらかが優先されるべき状態ではなく、対等な立場です。教育委員会は堂々と生徒に面会を要求し、聞き取りを進めるのが筋です。警察側から、「今、取調べ中だから」と言われても引き下がらず、反論しなければダメでしょう
ましてや当該生徒は逮捕されているわけでもなく、警察から任意で事情聴取を受けている段階だと考えられます。任意で話を聞くなら警察も教育委員会も立場は対等です
引率教師が現場を見ていなかった可能性もありますが、ならば引率の仕方に問題があったと考えられますし、修学旅行前の事前教育がきちんと行われていなかった(生徒が物見遊山気分で野放図な状態にあった)と受け止めなければなりません
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