犯罪心理学の准教授が妻を刺殺 夫婦の争いとは

さいまた地検は浅野正被告に対し、懲役10年を求刑しています。精神鑑定の結果を受け、妄想性障害による刑事責任能力の減退を斟酌した上での求刑です
ただ、これまでの報道では浅野被告と妻あるいは娘との間に何があったのか、具体的な報道はありませんでした。「FRIDAY」の記事がようやくその辺りを伝えていますので取り上げます
元の記事が長文なので、一部のみ引用します。全文を読みたい方はFRIDAYデジタルのサイトへアクセス願います


犯罪心理学者の夫に殺された妻が書き残していた「夫への怒り」
(前略)
「殺したことは間違いありません。妻と次女は僕を自殺させようとしていました」
浅野被告は5月13日に開かれた初公判の罪状認否でこう述べた。家族が被告を自殺に追い込もうとしていたという話は、被告の妄想だ。これに争いはない。公判で検察側は、被告が当時、妄想性障害の影響で心神耗弱の状態にあったと主張。対する弁護側は、被告が当時、妄想性障害の圧倒的影響下にあり心神喪失の状態だったとして無罪を主張した。
冒頭陳述や証拠によれば、被告はもともと法務省の職員として働いており、同省で法務技官として働いていた妻と知り合って結婚に至った。ふたりには3人の娘がいる。被告はのち退職し、研究の道へ。事件当時は臨床心理学や犯罪心理学を専門とする准教授だった。ところが夫婦は次第に「生活態度や子育てへの姿勢などからお互いに不満を抱き、関係が悪化」(検察側冒頭陳述より)したという。
2019年春、妻の勤務先が変わったことにより、一家はさいたま市内の官舎に転居したが、同年9月、被告と次女だけが、神奈川県内に転居し、夫婦は別居状態となる。当時学生だった次女の通学に便利な場所だったことから決まった転居先だった。
同年10月、不調を感じるようになった被告が精神科を訪れたところ「うつ状態」と診断され、薬を処方された。症状は好転せず「遅くとも2020年1月ごろには精神的不安やストレスにより『妻と次女が自分を追い込み、財産を奪おうとしている』と思い込むようになっていた」(検察側冒頭陳述より)という。
翌月、被告はひとりで埼玉県内に転居し、次女は妻の元に戻ったが、この頃から、妻への殺意を抱くようになる。包丁を購入するなど準備を重ね、3月、犯行に及んだ。
弁護側の冒頭陳述によれば、被告が精神的不調を感じるようになったきっかけは「さいたま市に引っ越した頃から、妻が口をきいてくれなくなった」からだという。
「自分の言動が妻を傷つけたのでは、と何度も手紙を書いたが、全く相手にしてくれない。不安は増していきました。次女と引っ越して、妻と離れていれば、自分の不安も落ち着くんじゃないかと思っていたが、引っ越しても気持ちが休まることはなかった」(弁護側冒頭陳述)
妻が使用していたクレジットカードの引き落としが被告の口座からなされると「自分の財産を取られるのでは」と思い、自宅に忘れて行ったスマホの置き場所が変わっていたことで「次女が自分のスマホを見ているのでは」と疑うようになる。
(以下、略)


殺害された妻が書き残したメモにも記事は触れており、以下のような記述があったと伝えています
「いつも襖を大きな音を立てて閉め、ぶつぶつと文句を言い『家事をしない』と私をさんざん責めた。娘の保育園の送りを私がやらないと怒り、私が家にいると『息が詰まる』と言った。出て行ける立場だったらいつだって出て行く……いつもあなたは『論文を書く時間がない』と言っては寝て、プールに行き、英会話を習い、やりたいことができている。私が住む官舎なのに、未だ、私は自分の部屋を持ったことがない……自分の思い通りにならないと一晩中文句を言う……」(証拠として読み上げられた妻の文章の一部)
浅野被告は法務省の心理技官から大学の教員に転身し、大学では学生から慕われる「良い先生」であったわけですが、家庭内では随分と身勝手な人物だったようです。が、その身勝手さを本人はまったく自覚しておらず、家事も子育ても妻に押し付けたまま不平不満をぶつけていたのでしょう。その挙げ句に被害妄想を抱えて妻を殺害してしまう、という救いようのない事件です

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