犯罪心理学の准教授が妻を刺殺 懲役10年の求刑

先日取り上げた福井市で祖父が孫を刺殺した事件では、殺人事件ではありますが心神耗弱状態にあったと認めて懲役4年6月の判決の言い渡しています。一般的な殺人事件が15年から無期懲役までの判決が下される中にあって、異例なほど軽い判決です
しかし、加害者も被害者も身内という現実に、親族の心中は複雑なものがあると想像します
さて、今日の本題はさいまた少年鑑別所に勤務していた妻を、文教大学で犯罪心理学を教えていた夫が刺殺した事件の求刑公判です
さいまた地検は浅野正被告に対し、懲役10年を求刑しています。これも浅野被告の犯行時の精神状態を斟酌した上での求刑なのでしょう


埼玉県さいたま市浦和区で2020年3月、妻を刺して殺害したとして、殺人と銃刀法違反の罪に問われた、住所不定、元文教大准教授で無職の夫(53)の裁判員裁判の論告求刑公判が30日、さいたま地裁(小池健治裁判長)で開かれた。検察側は懲役10年を求刑し、弁護側は心身喪失だったとして無罪を求めた。判決は6月22日。
論告で検察側は、鑑定医の証言などから夫は「殺人の社会的意味が全く分からないわけではなく、常識的理解が全くないわけではない」と指摘。妄想性障害を患いながらも計画や準備をしていたことなどから「合理的な行動を取っている」と述べ、妄想の影響は大きいが圧倒的とは言えないとした。
弁護側は、夫の行動が「妄想が入りこんでいるからこその行動だった」と主張。妄想が事件に発展したとし、「妄想の圧倒的な影響があった」と主張した。
起訴状などによると、20年3月16日午後6時ごろ、さいたま市浦和区の県庁前の路上でさいたま少年鑑別所の職員だった妻=当時(53)=を待ち伏せ、自転車に乗っていた妻を倒して包丁で胸などを複数回突き刺し失血死させたとしている。
(埼玉新聞の記事から引用)


別の報道によれば、浅野被告は「妻や長女に襲われ殺される」との強迫念慮に苛まれていたのだとか。それがどの程度、浅野被告の精神を蝕み、正常な判断能力を奪っていたのかは判然としません。公判に弁護側の証人として出廷した浅野被告の母親は、事件前に数度、浅野被告が暮らすアパートに足を運んだそうですが、言動に異常が見られたと供述しています
離婚問題がこじれ、妻や長女に殺されるとの妄想に囚われるようになって「妻を殺すしかない」と思い至り、犯行に着手したのでしょう
ただ、だからといって浅野被告の娘たち3人は、父親を許す気にはなれないのでは?
夫婦の間にどのような確執、対立、葛藤があったのか余人には分かりませんし、そのすべてを裁判の場で明かすわけでもありません
犯罪心理学の准教授だからといって強靭な精神力の持ち主とは限らず、聖人君子でもないのは書くまでもないでしょう
判決の方は浅野被告が妄想念慮に支配された部分があったと認め、心神耗弱として割り引き、懲役7年前後の判決になるのではないかと予想します

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