福井女子高生刺殺 祖父に懲役4年6月の実刑判決
福井市で同居していた女子高生の孫を殺害したとして起訴された冨澤進被告に対する判決公判があり、福井地裁は懲役4年6月の判決を言い渡しています
検察側はアルツハイマー型認知症の影響はなく、強固な殺意に基づく犯行として懲役8年を求刑していました。弁護側は認知症と飲酒の影響により心神喪失状態であり、無罪だと主張していました
判決は冨澤被告の殺意を認めながらも、認知症による影響で心神耗弱状態だったと判断して求刑から大きく割り引く形で懲役4年6月の量刑としています。いわば折衷案です
女子高校生の孫を包丁で刺し、殺害したとして殺人の罪に問われた福井市黒丸城町の無職冨澤進被告(88)に対し、福井地裁は31日、懲役4年6月の実刑判決(求刑懲役8年)を言い渡した。(5月31日)
判決文などによると、冨澤被告は2020年9月、同居していた孫で高校2年生の友美さん(当時16)の首などを包丁で複数回刺し、殺害したとされる。
裁判では、犯行当時の被告の刑事責任能力の有無が争点となった。福井地裁の河村宜信裁判長は「心神耗弱の状態だった」と認定した上で、「強固な殺意があり、結果は重大だった」と指摘した。
(福井放送の記事から引用)
判決を伝える記事はどこのメディアもあっさりしたもので、家族内にあった対立、葛藤、不和を詳細に取り上げたものはありません。夫婦間の殺人、家族間の殺人の常です
どの家族にも表沙汰にはできない部分があり、本当の事件の原因はそこにあったりするのですが
殺害された友美さんの母親は中国から斡旋されて嫁いできた事情があり、冨澤被告とは不和であったと伝えられています。そのためもあってか、友美さんの父親と冨澤被告も不和であったのだとか。また、友美さんも自分のアイデンティティを巡って葛藤があり、両親と不仲になっていたため祖父宅で同居するようになったという経緯があります
が、祖父と孫との間で何があって殺人事件にまで至ってしまったのか、法廷で明かされた部分があったとしても報道されておらず、よくわからないまま決着しそうです(冨澤被告が控訴し、さらに判決確定を先延ばしする可能性もあります)
しかし、弁護側がアルツハイマー型認知症を理由に「心神喪失状態だったので無罪」と主張したのは、いかにも無理筋という気がします
さて、刑務所において高齢受刑者の処遇がどうなっているのか、法務省での勤務を離れて随分と日時が経過しているため最近の状況はよくわかりません
一般論として中部地方の場合、35歳未満で初犯の受刑者は福井刑務所で服役し職業訓練中心の処遇をしています。35歳以上で初犯の受刑者は三重刑務所に服役し、刑務作業中心の処遇となります。精神障害(覚醒剤による中毒症状を抱えた者を含む)のある受刑者は岡崎医療刑務所に収監していますが、高齢により認知症の症状がある受刑者が含まれるのかどうか、分かりません
自分の知る限り、高齢受刑者は洗濯工場で衣服の修繕やボタン付けという、負担の軽い作業をこなしていました。今では高齢受刑者も増えたため、介護を必要とする受刑者の世話を受刑者がするという、老老介護の状態にあるとテレビ番組では紹介していました
それにしても、孫の命を奪った事実を冨澤被告自身がどう思っているのか、その肝心な部分の報道がないのが残念です
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