福井女子高生刺殺 祖父に懲役8年求刑
2020年9月に自宅で同居していた高校生の孫を殺害したとして起訴された冨澤進被告の裁判が始まっています
いくつかの報道を読んだのですが、明確な殺害動機は語られていないように映ります。被告弁護人は冨澤被告がアルツハイマー型認知症による心神喪失状態にあったと主張していますから、明確な動機を被告に語らせる必要はないと判断したのでしょう。殺意そのものも否定しています
これに対し、検察側の主張は精神鑑定結果にほぼ依存したもので、飲酒酩酊の結果、孫とケンカになり台所にあった包丁を持ち出して首を刺しており明らかに殺意があった上での行動だとしています
以下、精神鑑定を実施した医師に対する公判での質疑を伝える記事から引用します
福井市内の自宅で同居する孫を殺害したとして、殺人罪に問われている88歳の男の裁判員裁判は24日、被告の精神鑑定を行った医師への証人尋問が行われた。医師は「被告の認知症が犯行に影響したとは考えにくい」とし、犯行当日の多量の飲酒による「複雑酩酊」や意識障害などの「せん妄」が影響したとの考えを述べた。
殺人罪に問われているのは福井市黒丸城町の無職、冨澤進被告(88)。起訴状などによると冨澤被告は2020年9月、同居していた孫の友美さん(当時16)を包丁で刺して殺害した罪に問われている。
裁判員裁判4日目の24日、被告の精神鑑定を行った中川博幾医師に対する証人尋問が行われた。
中川医師は冨澤被告の病状について、カルテなどから徘徊といった行動障害を伴わないアルツハイマー型認知症だったとしたが「認知症が犯行に影響したとは考えにくい」と述べた。
犯行当日の冨澤被告は、アルコール検査などから普段より飲酒量が多かったとみられる。その影響で記憶障害や衝動的になる「複雑酩酊」や、意識障害などが起きる「せん妄」の状態になり、「抑制力が欠如して興奮を抑えきれず衝動的に犯行に至ったと推察される」と述べた。
また、中川医師は冨澤被告には「友美さんとけんかするなど犯行動機があり、首を刺していることから犯行は一貫していて合目的性がある」との見解を示した。
今回の裁判では被告の刑事責任能力の有無が争点となり、検察側は「被告は心神耗弱の状態で刑事責任能力を問える」と主張。一方、弁護側は「被告は心神喪失の状態だった」とし、無罪を訴えている。
26日に求刑、31日に判決が言い渡される。
(福井放送の記事から引用)
検察は「殺害の動機は被害者に対する怒りやストレスだ。被告は認知症だが、殺すという目的にかなう行動をしている」としながらも心神耗弱状態にあったと認め、懲役8年を求刑しています
殺人罪で起訴しておきながら求刑は懲役8年ですから、随分と割り引いたものです。アルツハイマー型認知症だから、高齢だからといって不起訴処分にするのではなく、刑事罰を求めて起訴したのは、殺害された友美さんの両親の意向も反映したのでしょう。祖父を許す気にはなれなかったものと推測できます
88歳といえども有罪判決が出れば収監されるのであり(難病など患っている場合は別ですが)、刑に服さなければなりません
事件当時16歳だった友美さんにはまだまだやりたいことがあり、人生はこれからというところだったはずです。それを些細な理由(ケンカの原因、理由などはともかくとして)で命を奪うなど許されるはずはないのであり、きちんと刑罰を科す必要があります。無罪判決で喜ぶのは冨澤被告だけでしょう
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