犯罪心理学の准教授が妻を刺殺 公判で心神喪失主張

文教大准教授だった浅野正被告の初公判があり、弁護人は心神喪失であり無罪だと主張しています
さて、これまでにも書いてきたように、自分は浅野被告と同じ仕事をしていた経験があり、この事件に少なからぬ関心を抱いてきました
が、メディアで報じられる情報があまりに少なく、浅野被告と被害者である妻との間に何があったのか、詳細に取り上げた報道はありません
本日の初公判で検察の冒頭陳述があり、犯行の経緯・夫婦関係などが語られたはずです。しかし、今現在、それを取り上げた記事がないのでわからないまま書きます
なお、浅野被告と自分は勤務していた時期が少し重なっているだけで、面識はありませんし、名前も今回の事件で初めて知りました


さいたま市の路上で令和2年3月、妻を刺殺したとして殺人などの罪に問われた元文教大准教授、浅野正被告(53)は13日、さいたま地裁(小池健治裁判長)の裁判員裁判初公判で「僕が妻を殺したことは間違いない」と述べた。弁護側は心神喪失状態だったとして無罪を主張した。
検察側は冒頭陳述で「正常な判断をしていた部分も残されていた」として心神耗弱にとどまると訴えた。また、妻の法代さん=当時(53)=との離婚について被告が弁護士に相談していたと指摘し、自らの財産を妻に横取りされると思い込むようになって殺害を決意したと述べた。判決は6月22日に言い渡される。
起訴状などによると、被告は2年3月16日夕、さいたま市浦和区の埼玉県庁前の路上で法代さんの胸などを包丁で数回刺し、失血死させたとしている。
被告は大学院修了後に法務省職員となり、少年鑑別所や刑務所で勤務した。文教大では犯罪心理学などを研究し、犯罪被害者支援に関する授業もしていた。大学は事件後の2年4月に懲戒解雇した。
(産経新聞の記事から引用)


浅野被告が犯行時、心神喪失状態と呼べるほど見当識を失い、意識が混濁した状態であったのか疑問です。心神喪失は善悪の判断ができない状態とされます(従って刑事責任を問えない)。妻を殺害するために凶器を準備し、妻が出かける時間を見計らって待ち伏せをしていた行動からすれば、心神喪失だったとは言い難いのでは?
離婚のための話し合いがどこまで進んでいたのか、親権の扱いはどうだったのか、離婚の責任を巡ってどのようなやりとりがあったのか、上記の記事では何も分かりません
事件前まで浅野被告が異常な言動を示したり、講義を休講するなどの異変があったかどうかも気になります。そのような報道は見ていません
なので、犯行の直前になって心神喪失に至った、との主張はあまりに都合が良すぎるわけであり、前駆的な症状が出て周囲も異変に気づくのが通常です。あるいは自殺未遂とか、心療内科に通院するとか
その辺りを次の公判で主張するのでしょう
法廷戦術としては上記のように「心神喪失で無罪」を狙う一点突破で、他に作戦はないようです。が、検察は心神耗弱までは認める方針のようですから、責任能力の一部を欠いていたと斟酌し求刑は懲役15年とか加減したものになると思われます

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