劇場版アニメ「バブル」は配信バブルの産物か

Netflixによって配信された韓国のドラマ「イカゲーム」が大ヒットし、韓国のテレビ業界には「イカゲーム」に次ぐ作品を求め多額の制作費が流れ込んだと韓国メディアが自慢気に報じていました
柳の下にドジョウが何匹いるのかは分かりませんが、「イカゲーム」がヒットしたから韓国ドラマが次々と高値で売れウハウハ状態が続く、と考えるのはあまりに楽観視しすぎでしょう
さて、今日の本題は荒木哲郎監督による劇場版アニメーション「バブル」公開の話です。こちらもNetflixによって世界中に配信が決まっており、5月13日の劇場公開より先に配信が始まっています
制作費の何割かはNetflixが出しているのでしょう


テレビアニメ「進撃の巨人」の荒木哲郎監督とWIT STUDIOが再タッグを組み、重力が壊れた東京で出会う少年少女の物語を描いたオリジナル長編アニメーション。重力を操る泡「バブル」が降り注ぎ、重力が壊れた東京。街は家族を失った若者たちの遊び場となり、ビルからビルへ跳びまわるパルクールのチームバトルが行われていた。渋谷を拠点とするブルーブレイズのエースであるヒビキは特殊な聴覚の持ち主で、他人とのコミュニケーションが苦手だ。ある日のプレイ中に重力が歪む海へ落下した彼は、謎の少女ウタに助けられる。不思議な力を持つウタは、ヒビキだけに聴こえる音に反応する。2人の出会いは、世界を変える真実へとつながっていく。主人公ヒビキの声を志尊淳、バブルを調査する科学者マコトの声を広瀬アリスが演じる。「魔法少女まどか☆マギカ」の虚淵玄が脚本、「DEATH NOTE」の漫画家・小畑健がキャラクターデザイン原案、「プロメア」の澤野弘之が音楽を担当。
(映画.comの記事から引用)


荒木哲郎監督はかつてマッドハウスに所属し、「BLACK LAGOON」や「学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD」の絵コンテや演出を担当し、マッドハウス退社後には「進撃の巨人」のテレビシリーズと劇場版の監督を務めています。脚本はニトロプラスで数々のヒット作を手掛けている虚淵玄、キャラクターデザインが人気漫画家小畑健と豪華なメンバーです
しかし、地球の危機を不思議な力を持つ少年・少女が救うという、いつものパターンであり、既視感ありありです
プロデューサーが「君の名は。」や「天気の子」をヒットさせた川村元気ですから、どうしても新海誠作品の二番煎じではないか、との印象が強くなってしまいます
自分は業界人ではなく、単なるアニメファンですから制作側の事情など知りようもないのですが、深海誠作品の二番煎じだと思われないような別系統の作品にする選択はあったはずであり大いに疑問です
しかし、川村プロデューサーにすれば、ボーイ・ミーツ・ガールで不思議な力を持つ男の子と女の子が力を合わせ、地球の危機を救う作品なら必ずヒットすると考えたのかもしれません
前評判として映像表現の素晴らしさを指摘する声もあるものの、「いまさら光の洪水のようなCG画像を見せられてもなぁ」と思ってしまうわけで
Netflixによる多額の制作費注入がバブルを生み出し、それに踊らされて粗製乱造に陥るのは愚かな話です
最近の報道によれば、Netflixのアカウントを複数世帯で共有しタダ観する人が増加しているのだとか。結果としてNetflixの収益が悪化しているのだそうです。これまでのように制作費をバラ撒けなくなる日の近いのでは?

バブル 予告

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