稲美町放火殺人 精神鑑定の期間を延長

昨年11月、兵庫県稲美町で民家が放火によって燃え、小学生の兄弟が焼け死ぬ事件がありました。容疑者として逮捕された伯父の松尾留与(とめよ)容疑者(51)は鑑定留置となり、精神鑑定が続いていました。期間は今月18日までだったのですが、検察は鑑定留置の延長を裁判所に申し立てたと報じられています


兵庫県稲美町で昨年11月、民家が全焼し小学生の兄弟が死亡した放火事件で、神戸地検姫路支部は15日、殺人と現住建造物等放火の疑いで逮捕された無職の伯父(51)について、刑事責任能力を調べる鑑定留置の延長を姫路簡裁に請求し、認められたと明らかにした。期間は6月20日までの約2カ月間。
伯父は昨年11月19日深夜、同町の自宅に火を放って全焼させ、就寝中だった小学6年の兄(12)と同1年の弟(7)を殺害した疑いで、同24日逮捕された。同12月9日から鑑定留置。当初は今月18日までの予定だった。
(神戸新聞の記事から引用)


この報道だけでは何とも判断ができません。しかし、松尾容疑者がホームレスとして暮らしていた経緯から考えると統合失調症だった可能性が考えられます。着のみ着のままで、衛生状態にも無頓着になり、精神的にも荒廃した状態に陥るのが統合失調症のパターンの1つです。統合失調症と聞くと、妄想や幻聴に取り憑かれ暴れるイメージを抱く方もいるのでしょうが、それだけではありません
ホームレスとして生活している人たちの中には、統合失調症の状態にある者が何割か含まれている、との調査結果もあります
問題は松尾容疑者に刑事責任能力があるかどうか、です
刑事責任能力が著しく低下した状態との鑑定結果が出れば、検察も公判を維持できないと判断し不起訴にするでしょう
鑑定留置期間を延長したのも、検察側の望むような鑑定が得られない状態にあるがゆえ、と推測されます
精神鑑定書を見たことがある、という方はほとんどおられないのでしょうから、参考までに検察庁のウェッブサイトを貼っておきます
サイトの右端下段にPDFファイルのリンクがあり簡単な記載例が見られます
もう1つ、東京医科歯科大学の刑事事件鑑定書の作成ツールのページも貼っておきます

精神鑑定書の書式参考例

刑事責任能力に関する精神鑑定の各種ツール

刑事事件の被疑者、被告人の精神鑑定を実施する場合、警察の捜査資料なども鑑定人に手渡されます。検察としては起訴状作成のためにも、被疑者や被告人の精神状態と、事件との関連について鑑定人の見解が盛り込まれるのを期待するわけですが、担当する精神科医によっては詳細に書く人もいれば(学術論文みたいに長大な鑑定書もあります)、事件そのものにはまったく触れない人もいます。精神状態についても、あまりに学術用語ばかりで抽象的な記述ばかりだと、検察官も困ってしまいます

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