光市母子殺害事件 第2次再審請求棄却
光市母子殺害事件で死刑判決が確定している大月(旧姓福田)孝行死刑囚が2度目となる再審請求を申し立てていたのですが、広島高等裁判所がこれを棄却していたと報じられています。棄却の決定は3月31日付けでした
ちなみに最初の再審請求は心理学者らによる精神鑑定書などを提出し、大月死刑囚に犯行当時殺意はなく、殺人罪ではなく傷害致死罪が成立するという内容でした(傷害致死罪には死刑が適用されません)。強姦についても物事が十分判断できない状態であり、無罪であると主張していましたが退けられています
1999年の山口県光市母子殺害事件で、少年時の殺人、女性暴行致死などの罪で死刑が確定した大月(旧姓福田)孝行死刑囚(41)の弁護側が、広島高裁に第2次再審請求を申し立て、同高裁が3月末に棄却する決定をしていたことが22日、分かった。弁護側は同高裁に異議を申し立てた。
弁護側は第2次再審請求で、新たな証拠とする報告書など9点を提出。学術論文などを基に「父親の虐待による脳への後遺症があったのに、それを配慮しない違法な取り調べが長時間行われた。供述の任意性や信用性に疑いがある」などと訴えた。
広島高裁の伊名波宏仁裁判長は3月31日の決定で、「一般的な論説の域を出ないもので、証拠価値が著しく低い」と指摘。「19歳時点の被告人質問の供述にも意思疎通に問題は見受けられない。完全責任能力があったことは明らか」と弁護側の主張を退けた。
弁護側は中国新聞の取材に対し「事実関係をきちんと究明しようという意思がない」と決定を批判した。
大月死刑囚は事件当時18歳1カ月。一審山口地裁と二審広島高裁は無期懲役としたが、最高裁が2006年、二審判決を破棄。差し戻し審で同高裁は08年に死刑を言い渡し、12年に最高裁が上告を棄却して確定した。弁護側は再審請求したが同高裁は15年に棄却し、19年に異議も退けた。最高裁は20年に特別抗告も棄却し、弁護側は同年、第2次再審請求を申し立てていた。
(中国新聞の記事から引用)
第1次の再審請求では、大月死刑囚側の主張があまりに荒唐無稽だと世間一般から批判されました。下記の過去記事を参照願います
第2次の再審請求では、虐待や暴行を受けたこどもは脳に萎縮が見られるケースがあり、心身の発育に悪影響が生じるとする学術論文を踏まえた内容でしたが、こちらも「一般論にすぎない」と棄却されています
弁護団はまた高等裁判所の棄却決定に対して異議申し立てをするのでしょう
あるいは第3次の再審請求の準備に取り掛かるのかもしれません
以前は再審請求を申し立てていれば、その決定が出るまで死刑の執行はないと言われてました。そのため、無理を承知で再審請求をする死刑囚が何人もいたわけです。しかし、再審請求中でも死刑が執行される例が相次ぎ、再審請求が「絶対的な切り札」ではなくなっています
死刑の執行は必ずしも確定した順、ではありません。世間の注目を集めた凶悪事件の死刑囚が先に執行される例もあります。大月死刑囚も41歳であり、少年と呼べるような年齢ではないため、近く執行されるのかもしれません
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