講談社編集次長 妻殺害は冤罪と主張

講談社の元編集次長で妻殺害の容疑に問われ、現在は最高裁に上告している朴鐘顕被告が「AERA」の取材に応じ、事件についてあれこれ語っています。記事を読むと記者がすっかり朴被告の言い分を真に受け、感情移入してしまっているよう感じられます
冷静に読めば朴被告の言い分におかしなところがいくつもあるのですが、取材で話しを聞き取り、文章にまとめた記者はまったく気がついていないようです。もう少し、取材内容を吟味し、検討し、他の人の意見も聞いた上で原稿にまとめる訓練をした方がよいのでは、と思ってしまいます。あるいは「AERA]の編集部はこの記事で何も問題はない、と判断したのでしょうか?
長文の記事なので、部分的に引用します。全文を読みたい方は「AERA」のサイトへアクセス願います


「妻殺害」容疑で収容中の「モーニング」元編集次長がメディア初告白「子どもたちのところへ帰りたい」
妻はこのことを伏せていて、私は裁判で初めて知りました。あの夏、妻から毎週のように「やることがいっぱいあるけど、どれをすればいいかわからない」と電話が来ました。宿題のプリントを投げつけるなど、子どもに当たってしまう日もありました。そんな夜、妻は眠れずに泣き続けるので、私は「明日ぎゅっと抱っこしてあげよ。そしたら全部大丈夫」と背中をさすりました。
そのうちに妻は「幼稚園の送り迎えのとき、通園路沿いの家の人が私たちを観察している」と言うようになりました。「カウンセリングに行ってみない?」と持ちかけたのですが、「私は病気じゃない!」と怒鳴られ、引き下がってしまいました。

ノイローゼ気味になった妻が職場にいる朴被告宛に何度も電話やメールをしているわけですが、それは助けを求める叫びだったはずです。が、朴被告は単に返信のメールを返しただけなのでしょう。
会社を出て自宅に駆け戻るという選択肢は思い浮かばなかったようです(死亡当日は別にして)
「明日ぎゅっと抱っこしてあげるよ」などと、いかにも妻を思いやり優しい言葉をかける夫、という風に装っていますが、妻が求めていたのはそんなことではありません。朴被告は妻が何を求めていたのか、最後までわかろうとしないままであり、わからなかったのでしょう
現実問題として、妻がカウンセリングに毎週通うとして、その間は誰がこどもたちの面倒を見るのか、朴被告はまったく考えてもいなかったはずです。意識高い系の無能な夫、を絵に描いたような人物です

第4子出産後すぐの16年1月、子どものうちの一人に脳性麻痺があると発覚し、「出産時に産道で酸欠に陥った可能性がある」と診断されました。まじめで責任感が強い妻は、自分のせいだと打ちのめされました。
私は「佳菜のせいじゃ絶対ない」「この子は強い。これは個性のうちだよ」と何度も言いました。でも私の楽観は結果的に、障害の重荷を妻一人に負わせてしまったのかもしれません。以降、「私はみじめだ」という妻の嘆きを繰り返し聞きました。子どもの診察には度々同行しましたが、「将来車いすになる可能性がある」などと聞くたびに妻は疲弊し、怯えました。鍼灸の名医を訪ね、毎日子どもの足をマッサージしても治らず、次第に子育て全般に嫌悪感や徒労感をこぼすことが増えました。今思えば、あの激しい落ち込みや強迫観念にも産後うつが影響していたのかもしれません。

すべては「産後うつ」のせいにしたいのでしょうが、4人ものこどもを妻がワンオペで育てていたという事実を無視しています。朴被告には4人のこどもを妻が1人で育てる大変さ、しんどさが理解できないのでしょう
むしろ、その無理解こそが妻を精神的に追い込んだのでは?
「妻が自殺した」と朴被告は言うものの、自分が妻を追い詰め自殺に至らしめたとの自覚を欠いています
そして、妻の死を偽装した朴被告の行為について、びっくりするくらい簡単に触れただけです

――その後、朴さんは119番通報をし、駆けつけた警察官に「妻は階段から落ちたことにしてください」と話し、その日の取り調べでは「妻は階段から転落した」と話しています。ところが翌日、「自殺だった」と説明を変えた。なぜ嘘を?
間違ったことだったのかもしれません。しかし私は、こんなことは妻に起きてはいけない、子どもたちにも決して言えないと思いました。

たったこれだけです。記者はなぜ、もっと踏み込まないのでしょうか?
妻の死を偽装し、なかったことにしようとする朴被告の心理、妻を思いやる良き夫だと装うのに懸命な朴被告の心理にこそ、この事件を読み解く鍵があるように自分は思うのですが
朴被告が遺体を動かし、血痕を拭き取り、現場を改変してしまったがゆえにこの事件はややこしくなっているのであり、検察は殺人の痕跡を隠そうとしたものと疑うわけです。記者ならばもっと踏み込んだ質問を投げかけるべきでしょう
朴被告がもっと子育てに主体的に関わり、保育園の送り迎えをし、風呂掃除をし、洗濯物を畳んだりしていたのなら、また別の展開もあった気がします。しかし、朴被告は妻を思いやる優しい夫を演じるだけで、妻が思い詰めるのを放置していたように思えてなりません

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