堺市でまたあおり運転殺人も、殺人罪で起訴できず

2019年に堺市で乗用車がバイクを煽って死亡させる事件があり、殺人罪で起訴されました。世間の注目を集めた事件だったわけですが、それを知っているのか知らないのか、再び堺市であおり運転による殺人が起きています
逮捕された介護職員川島睦容疑者は、事故後に自身の運転する車のドライブレコーダーからSDカードを抜いて植え込みに捨て、証拠隠滅を図っています。それだけ自分の犯行が重罪に問われるかもしれないと自覚していたのでしょう
しかし、大阪地検は川島容疑者を殺人罪ではなく危険運転致死罪で起訴しました


堺市南区で今年3月、乗用車があおり運転の末にバイクに衝突し、男性を死亡させた事件で、大阪地検堺支部は19日、殺人容疑で再逮捕されていた介護士、川島陸容疑者(27)=同区=を自動車運転処罰法違反(危険運転致死)の罪に切り替えて起訴した。地検堺支部は殺人罪の適用を見送った理由について「大阪府警とともに捜査を尽くしたものの、殺意を認定するに足りる証拠が収集できなかった」としている。
事故は3月28日午後6時25分ごろ、堺市南区鴨谷台の幹線道路で発生。川島被告の車が同区城山台の会社員、北島明日翔(あすか)さん(28)のバイクに衝突し、北島さんは搬送先の病院で死亡が確認された。
起訴状によると、川島被告は北島さんのバイクの進行を妨害しようと、時速64~120キロで車を運転しながら幅寄せするなどした末、右に急ハンドルを切ってバイク前部に車の右後部を衝突させ、北島さんを死亡させたとされる。
府警によると、川島被告は再逮捕時に「殺意はない」と容疑を否認していた。一方、車のドライブレコーダーからは映像を記録するSDカードが抜き取られ、事故翌日に現場近くの植樹帯で発見。川島被告が事故直後でカードを抜いた疑いも持たれていた。
(産経新聞の記事から引用)


現場での実況見分の際にはオロオロし、両手を合わせ涙ぐむ様子を見せた川島被告ですが、取り調べに対しては一貫して黙秘したと別の報道には書かれています
これは最近の弁護士会の指示によるものなのだとか。刑事事件の容疑者に弁護士が接見(面会)した際、「ともかく何もしゃべるな」と言い含め、警察に供述調書を取らせない作戦です。逮捕時は容疑者がまだ動転している状態ですから、取り調べで警察側の圧力に負けべらべらとしゃべってしまうと供述調書に取られてしまい、いわば言質を取られた格好になり弁護活動がやりにくくなるから、と推測します。容疑者が否認しているケース(否認事件)に限ったものなのかどうかは不明です
警察より先に弁護士が容疑者と接見を重ねてしっかりとその言い分を把握し、弁護方針を定め、裁判で優位に立つ狙いかもしれません
本件も、公判では「殺意はなかった。危険な運転をしているつもりもなかった」と言い張り、危険運転罪には当たらないとして、「業務上過失致死罪が相当」だと争うのかもしれません。危険運転致死罪なら10年以上の懲役でしょうが、業務上過失致死なら2年か3年の刑になります

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