18歳成人 高校生のAV出演問題
民法の改正により、今年の4月1日から18歳が成人として扱われるようになります。改正の議論が始まった時は、「世界の多くの国が18歳成人の制度なので、日本もこれに合わせるべきだ」とか、「18歳の高校生を成人として選挙権を与えてよいのか?」など意見が飛び交いました
結局のところ、20歳から18歳の若い年代に選挙権を与えれば野党に投票してもらえるはず、との打算もあって野党側も18歳成人への制度改正に賛成し、民法改正が実現したように自分の目には映りました
しかし、18歳で成人という扱いになれば親の同意なしにサラ金から借金もできるわけであり、成人としてさまざまな契約を結べるようになります。その延長で問題視されているのが、「18歳で成人なのだから親の同意なしにアダルトビデオ出演契約を締結しても合法」という問題です
契約行為としては民法改正後には有効されます。アダルトビデオだから例外、というわけにはいきません
そんなこんなで国会において議員が集まり、出演契約をどう扱うべきか議論がされています
民法の改正で4月1日から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられることを受け、高校生のアダルトビデオ(AV)出演が解禁され、出演の強要など被害が深刻化するとの懸念がある。
23日、超党派の国会議員らが集まり、法整備などの対応を求める集会が行われた。
国会内で開かれた集会で、立憲民主党・塩村あやか議員は、「4月1日からもう被害が生まれようとしている。高校生AVがポピュラーになってしまう。日本は『アダルト大国』と言われていてる。こんな恥ずかしいことを許していいわけがない」と指摘した。
現在の法律では、18歳未満であれば児童ポルノ禁止法でAV出演が認められず、18歳と19歳については、親などの同意のない契約を、民法の「未成年者取消権」を行使することで、取り消すことが出来る。
しかし、改正民法が施行され、成人年齢が引き下げられる4月からは、18歳になれば親などの同意を得なくても契約を結ぶことが可能となることから、AVへの出演を強要されるなど被害が拡大する懸念がある。
集会には、過去にアダルトビデオに出演させられた経験のある当事者も参加した。
社会奉仕活動家・くるみんアロマ氏は、「世に出回ったものはなかなか消えない。まさに取り返しのつかないこと。私も。新しいことを何か始めようという時に、こういう過去のこと(AV出演)があるから、迷って自信が持てなくて始められないことも多い。一生かかっても消えない傷になる」などと述べた。
このほかの参加者らも「法律の隙間に乗じ、被害が深刻化する」などと指摘し、与野党を超えて法整備を進めるべきだと訴えた。
(FNNプライムオンラインの記事から引用)
現状で政府の対応は、参議院のウェブサイトにアップされた答弁書を読むと分かります。「成年年齢引下げに伴い必要となるアダルトビデオ出演強要問題への対応に関する質問主意書への答弁書」(3月1日付け)
成年年齢引き下げ後、特定の政策目的から、特定の取引類型について、当該取消権を行使することができる者を成年となった18歳、19歳の者にまで拡張することは困難であるが、いわゆるアダルトビデオ出演契約を締結したとしても、不当な手段によって締結された契約については、詐欺、強迫等を理由とする取消権を行使することが可能である。
要するに、「アダルトビデオ出演契約であっても18歳の成人に達した者であれば保護者の同意なしに締結しても有効である」とするのが政府の考え方です。ただし、契約締結にあたって詐欺や脅迫の行為があった場合は取り消しが可能だとしています。詐欺や脅迫がなければ合法的な契約として通用するのであり、これを取り消そうとするなら違約金の支払いを請求されるのでしょう
つまり10万円でアダルトビデオに出演すると契約し、その後出演を取りやめようとするなら相手方と交渉し、違約金を支払う(男優やカメラマンの人件費、スタジオの賃貸料など100万円くらいになるのでしょうか)という手続きになります。あらかじめ契約書に違約金が明記されているのなら別ですが、そうでないなら相手の言い値を支払うか、民事訴訟で争うしかありません
政府は「それで構わない」と考えているわけです
アダルトビデオ業界といえどさまざまな人がいるわけで、「現役女子高生AV」を謳って儲けようと企む業者もいるはずです。皆が善意の契約者とは限らず、さまざまなトラブルが生じるものと予想されるわけですが、政府は「それで構わない」との構えです。18歳で成人ですから、たとえ高校生であろうと特段保護すべき対象ではない、という扱いになります
政府が対応しないのであれば、議員立法によって民法の例外規定となる「特別法」を提案し、審議させ、成立を目指すのが筋です。残念ながら今の議員たちにはこの議員立法を通そうという気概に欠けている気がします
あくまで政府を突き、政府によって民法の修正案を提出させるとか、政府の側から「特別法」を提出させようとしているように映ります
以前にも書きましたが、田中角栄元首相は議員時代に官僚と勉強会を開催し、法案の書き方も教えてもらい、議員立法を33本成立させるという結果を残しています。政府提出法案を審議するだけが議員の仕事ではありません
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